はや、年開けから5日経ってしまいました。
今年は家族の集まりも自粛。ビデオ電話で集まり挨拶を交わしました。最悪の予想通り感染者数の驚く数字が続く中、3日初日の新橋演舞場に行ってきました。劇場は安全。


歌舞伎稲荷に初詣。歌舞伎の幕が無事開き、つつがなく千穐楽を迎えられますようにとお願いしていました。


演舞場をめざせる嬉しさをかみしめた信号待ち


鏡餅、羽子板は今年はありませんでしたが、海老蔵歌舞伎の初日を迎えられた春のような暖かい空気に華やぎを感じました。お顔なじみと交わす笑顔の花が咲きこぼれます。


春調娘七種 はるしらべむすめななくさ
江戸時代からお正月の初芝居には必ず蘇我狂言。
これは今も私達が頂く七草に因む長唄歌舞伎舞踊。曽我五郎に右團次、曽我十郎が壱太郎、ふたりとも鼓を持っています。意外やこの二人に加わるのは七草の入った篭を手にした児太郎の静御前。

私は七草を刻んでますが、擂粉木(すりこぎ)で打つものだったそうです。しったんしったんどんがらり、どんがらり、とその様子が唄われたところがとても楽しく印象に残りました。鼓を打つ、七草を打つ=討つ、曽我兄弟が討ちたいのは工藤祐経、静は義経の兄、頼朝。

児太郎はやはり華がありますねぇ。壱太郎はうまいですし、今回は立役。十郎の和事の柔らかさがぴったりでした。五郎の右團次と三人適材適所。新鮮で華やかで謡も楽しめ、リズミカルな鼓も楽しく、国土安穏、そして千穐楽々万歳の祈りもこめられ、幕開けにふさわしい一幕に高揚感がいやましました。

歌舞伎十八番の内 毛抜
おおらかで、笑う場面も多く、サスペンス仕立てになっているこのお芝居大好きです。平成30年26年5月の鳴神不動北山櫻 の通し狂言の面白かったことを思わずにはいられませんでした。五つの見得プラス二つ合計七つの見得の美しさに心沸き立ち、歌舞伎十八番の中でも(歌舞伎の中でもかもしれません) 台詞が極めて多いお役。荒事に加えて弁舌術にも優れたとされる成田屋。当代海老蔵の豊かな声量と言い回しを存分に楽しめました。

襲名公演は延期になりましたが、みるたびに大きくなったと感じられ、團十郎がいるのにいない歌舞伎界の寂しさが晴れる日がやはり待ち遠しいです。

お年玉 として
市川ぼたんの藤娘 これはまさに藤の妖精でしたね〜、そして空間を支配できてましたし、お子さんの発表会レベルではない、舞踊家市川ぼたんのみごとな藤娘でした。この素晴らしさはすでに評判になっていますよね。私も事前に予習し、舞踊の動画もかなりみましたがこれほど品がよく、またきっちり基本に忠実で愛らしい藤の精をみせて頂けるとは❣️潮来、藤音頭を加えた藤娘を踊ってくれる日が楽しみでなりませんがこの妖精のような藤娘を拝見できたこと、また筋書の歴代の名優と並んた市川ぼたんの名に、歌舞伎史の上でも大変なことを成し遂げられたと感動しまくりです。
過酷な運命にあいながらも海老蔵さんの深い愛情に包まれ、豊かにすくすく育ち弛まぬ努力で天分を花開かせていく姿に胸が熱くなります。

橋弁慶 の勸玄の牛若丸も浮世絵から抜け出たよう。華やかで立派な出立ちの海老蔵の弁慶にはときめきました。たっぷりみせる所作だての決まること決まること、痛快でした!カンカン牛若丸になりきって弁慶を打ち負かして得意顔。牛若丸の衣の埃を払う弁慶、見送る弁慶に父海老蔵を感じ、ほほえましくもいろんな想いが押し寄せぐっときました。弁慶の引っ込みがまた華やかで心沸き立ち、心の大運動会を楽しみ、コロナ禍のなか、オーバーですがいのちがけ、みたいなある種強い覚悟と意志をもって観にきた甲斐があったと。喜びに満ちて帰路に着きました❣️