お葬式 | 夫はフランス人、膵臓癌になりました (ワイン畑の中の3人家族)

夫はフランス人、膵臓癌になりました (ワイン畑の中の3人家族)

フランスで出会い、嫁ぎ、娘が生まれて7か月、夫が膵臓癌になり、2020年4月に旅立ちました。闘病の記録として始めましたが、その後の日々の生活や想いも綴っていこうと思います。


夫がなくなった翌日

10h30に葬儀屋と義理母、義理弟と打ち合わせ。
コロナにより葬式の人数は10人まで、数日前までは20人だったのに。
夫の体はこの葬儀屋さんの霊暗室に移動して保管、こうすることで葬式参加できない人も彼にお別れをしに来やすい。病院だとコロナ対応厳しいのです。といっても外出禁止の情勢、霊暗室の暗証番号は絞った方々のみにお知らせ。
別途に式は外出禁止が解禁になった後にしようと話してました。

夫がなくなった翌々日(一昨日)
同じく3人で10h30に葬儀屋さんとミーティング。
棺と中の敷地の選択は「彼の最後の家だから妻が選びなさい」ということで困ってましたが、H氏に
艶のあるオークの立体感ある棺、スーツが紺色なので白地基盤にワインレッドが差し色になってる敷地を勧められて決めました。
費用は、先日私の口座の3/4くらいを使い何とか足りました。夫が亡くなる前日に移動してなかったら払えませんでした。夫、やっぱり待っててくれたんだね、ありがとう。

この葬儀屋さんH氏、とてもプロフェッショナルできめ細かく親身でした。
生粋のフランス人ですが、ものすごく品のある敬語を話せそうなイメージ。
式で読む詩の英訳と和訳を事前に送ってくださったり、ネットで日本の風習を調べて「銀杏」が別れのシンボルらしいと棺に入れるメッセージ用の紙に銀杏の葉のモチーフを入れて下さったり、諸々。
正直なところ、銀杏については全然知らなかったのですが、その心遣いの温かさは救われるものがありました。
義理家族は元々突っ走る人々、フランス人気質もあり、私は夫の亡き後は彼らにはものすごいストレスを感じてました。たった3日の間に。私も精神的に冷静ではないし、心の寄り添いが必要なのに、言葉と文化と国民性の違いによって
疎外感しかなくて辛かったのです。

お葬式は前もって準備出来る事です、新しい事ではないし、段取りや決めなければならない事多いし、費用も小さくはありません。
でも日本人もフランス人も前もってやる人は少ない。
かといって、いざとなると感情的にもいっぱいいっぱいなのにほんの数日以内に行わなくてはいけません。
H氏、もう式の数以上に大切な人を亡くしたばかりの人と接してきたに違いありません。
だからこそ、仕事を完璧にすることでの安心感、包容力と傷ついた人への惜しみない配慮と、絶妙な距離感がおありなのでしょう。

こういう事は言葉も国も関係ない、そう思いました。私は彼に感謝してます。

4月8日
15時半に私を最後に霊暗室で全員が夫に挨拶し車で移動しました。
途中で私達の家に車から降りずに寄って頂くようにお願いしてました。家に着いた際、私は車から降りて夫の愛犬happy (アピ)を呼んで夫のいる車に向けて「おやすみ!ってアポ賢いからわかるよね!」と連れて行き、その後は霊園へ。

天気良く16時に式は始まりました。
花もコロナで難しいにもかかわらず立派なのが色々届いていました。
ジョニーのLaura とquelque chose de Tennesseeを交えて静かに、鳥の鳴き声と穏やかに 勧められて、
私達の結婚とMの誕生の喜びの思い出の言葉も沢山頂き、最後夫は深い穴に運ばれました。棺が見えなくなるまで私は見届けて、帰路につきました。

Mは夫の親友夫妻に預けてました。夫を第二の息子のように可愛がってた夫婦。彼らには1人息子がいて、息子さんは20代の若さで交通事故で亡くなられてます。
迷ったのですが、こういう形で良かったかな、と思ってます。

明日はどうなるかわからない。
でも夫らしい自然で穏やかな、優しい式になってよかったです。