覚悟はしていたけれど、父のしにめに会えなかった。考えてみたけれど、お葬式にも出られない。
思えば縁の薄い親子だった。私は最後まで親不孝な娘だった。逆縁の不孝をしなかったのがせめてもの救い。
・・・でも、お父さんは分かってくれると思う。
人間関係というのははたとえ親子でも、血がつながっていても、お互いが努力して気を遣って積み上げていくものだと思う。
温かい家庭を見て育っていないお父さんにとっては、家庭的なよき父親になることは難しかったのだろうと思う。
というより、戦争にズタズタにされた人生だったとも思う。
人のやさしさや善良さ、崇高さに触れることの少ない人生だったとも思う。
(涙の数だけ優しくなれる、みたいなのはウソだと私は思う。そうなるひともいるけれど、そうじゃないひともたくさん見てきた。
ヘンな苦労はしないのがいちばんなんじゃないだろうか)
若いときに取り返しのつかない傷をつけられると、オトナになってもまっすぐにはなれない。なかなか。
晩年は弟妹達に大事にされて、ほんとうによかったと思う。
弟妹達にはお礼を言いたい。
お父さん、さようなら。サポートしてもらったとは言い難いけど、私が大学に進学するのを止めないでくれてほんとうにありがとう。
Because of you, I have become the best version of myself. と言いたいけど、お父さんは英語わかんないよね。
親不孝だったけれど、私がほんとうにやりたかったことは止めないでくれてありがとう。
自転車で堤防に連れていってくれてありがとう。
二段ベッドで寝ていて、落としたふとんを拾ってかけてくれてありがとう。
ようやくお父さんのお父さんやお母さん、大好きだったお姉さんに甘えられるんだよね?
安らかに。