私はひとのダンナを盗んだことはあっても、雨の日に傘を盗んだことはないよ。ひとの傘を盗むくらいなら濡れていくよ。


あと、負け癖がついちゃうと、すんごいレベルの低いオトコに声をかけられたりちょっかいを出されたりしただけで舞い上がっちゃうから危険。「私、すごくモテるんです~。しょっちゅう口説かれるんです~」という女性と出かけたことあるけど、ゴミみたいなオトコに山ほど口説かれてて、びっくりした。


だって、隙だらけなんだもん。私は普段は、「お前のような下賎な者が私を見てはイケマセン」光線を出してるから、ほとんど誰も言い寄ってこないよ? ゴミみたいなひとに始終言い寄られてるなんて、時間とエネルギーがムダじゃない?


心意気というのは顔に出るよ。オトコもオンナも30を過ぎたら自分の顔に責任を持てと言うよね。「顔立ち」と「顔つき」というのは違うよね。特に整った顔立ちに生まれなくても、志が高いひとは顔に出るよね。「Hasta la victoria siempre.」で有名な、チェ・ゲバラも、ハンサムかどうかは知らないけれど、いい顔をしてるよね。死後数十年が経ったいまでも、あれだけTシャツやポスターが売れてるのもムリはないよ。


私がヨーロッパで見た、いちばん美しい女性は、80を超えてたよ。もしかしたらエステと整形にすんごいお金を使ってるのかも知れないけど、そうでもそうでなくっても、彼女は美しかった。見事な白髪をふんわりと結って、薄い色のスーツをきちんと着てヒールのある靴を履いていた。そしてなによりもその表情。南欧でよく見かける、天使のような表情をしていた。笑顔が素晴らしかった。卑しいことなんか考えたこともないような表情だった。


私はほとんど日本に帰国しないけれど、たまに東京に行くと、すごくびっくりする。みんな生きているひとの目をしていないんだもの。生気がない。吸い取られた後のゾンビみたい。顔立ちは可愛くても、キレイにお化粧していても、ぜんぜん魅力的じゃない。工場の規格製品よりも個性がない。姿勢が悪い。きちんとした口の利き方ができない。ひとにぶつかっても「すみません」とも言わない。喫茶店やコンビニでアテンドしてくれた店員さんに「ありがとう」も言わない。どうして?


もちろん、南欧でも顔つきの卑しいひとはよく見かけるよ。考えてることはみんな顔に出るんだろうね。そう考えるとコワイ。エルメスのバッグにプラダのスーツ、足元はシャネルのサンダルを履いていても、顔つきが卑しいひとというのはいる。「どうしてそんなに険がある顔をしているの?」、「顔がすっかり歪んでるじゃない」というひとも見かける。たぶんお金には不自由していないようだから、夫が浮気するのか、夫に殴られてるのか、子供が問題児なのか、親戚づきあいで苦労してるのか・・・?


現実は苦しくても、志だけは高く持とうよ。背筋を伸ばして歩こうよ。私もあんまりスマイルがいい方じゃないけど、子供に微笑みかけられたら、微笑み返すくらいのことはするよ。それで、つまんないオトコにまでコビを売るのは止めようよ。多少の近寄りがたさは身に付けてね。