​2024年2月3日京都市京セラ美術館
で開催の「村上隆もののけ京都」大規模個展初日!

ではなく、
オープニングアーティストトーク
に行ってまいりました。村上隆さまご本人がお話しになる模様!!ワクワク!

​会館2時間前で数人の方が美術館入り口でお並びでしたが、
みなさん、個展への大行列に吸い込まれていかれ、拍子抜けでした。
とはいえ、トークイベントという貴重な機会、始発の新幹線をご利用の上で並ばれている方もいらして、皆さん、村上先生への敬愛に溢れておいでで…列に並んだ見知らぬ方同士で、さまざまに、先生のお話や、個展、関連する美術談議に花を咲かせておられました。
私はというと、人見知りかつ、先生の作品といえば、2000年代に衝撃を受けた、某協賛世界ブランドと先生のコラボシリーズの大ファンであったというくらい、かなりミーハー枠での参戦のため、大人しく整理券配布開始をお待ちしておりました。晴れていて何よりですが、寒いわぁ。

すでに皆さんご存知かもですが、ファンのかたの会話で得た知識は、

①トレカを先着三万枚に配布されるので、そのために行列されてる方が大多数

②トレカは転売を目的にされている方が多く、そういった側面も含めて、先生の「しかけ」なんじゃないかという推理

③ふるさと納税を利用した大口寄付により、京都市在住や在学の学生さんは無料

このように注目要素満載、話題性のある個展だということでした。
皆様、下調べがすごい!

​およそ2時間、寒さに震え、無事一桁の整理券を入手で安堵。
さて、10時から15時まで何しよう…
個展の行列は美術館を2周するんじゃないかと思われるような長蛇の列で
参戦する気力もなく、美術館のカフェでブランチをいただいて、
御所あたりまで散策して、ちょうど14時半

アナウンス通り講演会開場時刻にもどると、なにやら、殺伐とした空気…
どうやら、

会場の運営の方のアナウンスミスで、
①整理券番号順の入場案内
②整理券番号関係なく、入場時刻に早く並んだ方から入場可能

この2つの情報が錯綜して、
整理券の若いチケットを持っている方と、開場前に並んで、早く入場しようとひと時も場所を動かず並び続けた方
の両者のうち一部の方が、運営に、どちらを先に入場させるのか、つめより、
不穏な空気に…

私も内心「えー!?時間潰しに外に出なきゃよかったー」っと驚愕でしたが、気を取り直して、まぁ、きけるから、いっか。という感じだったのですが、

なぜか、運営の方が
「案内ミスがあったので、まずは10人並んでいた人を先に入れて、次に整理券の若い人10人入れます。交互に、並んでる人と、整理券の若い番号の人を入れます」
と謎の折衷案アナウンスをされました。そんなん、ほんまにできんの??この空気で…運営の人非力そうな、数名のスタッフさんやん。ガードマンみたいな人じゃないと、いうこときかんで…みんな…不安。

ご納得されない方は口々に不満を述べられ

開場時刻が迫るにつれ、怒号に近いクレーム、殺気を帯びてくる皆さまの空気にちょっともう、帰りたいなって怖気付いておるところ、

くだんの、新幹線で朝イチで来られた方が

「村上さんの初日に、せっかく直接ご講演いただけるのに、こんな空気でお迎えするの悪いですよ。100名はちゃんと会場に入るしいいじゃないですか。気持ちよく講演していただきましょう。私は後で入場でもいいですよ」

と、真のファンたるもの、本当に平和な発言をされて、私は心和んだのも束の間。

運営の方の
それでは並んでいる方からご順に…
アナウンスが終わる前に、入場が始まりかけた瞬間、並ばれている列の後方の方が数人フライング入場され、それを止めようとされながらも、列はどんどん入り、10人どころでなく入場されたもので、整理券若い順で案内を大人しく待っていた私どもの列も、焦った後ろの方からどんどん押され…
前方は混乱のうちに、雪崩れ込むように開場となりました…
どなたもお怪我なく、よかったです。
なんだか恐ろしいので、できるだけ、通路側の席を確保し、おとなしーく開会をお待ちしていました。

何はともあれ、
ほぼ定刻に、安全に
​村上隆さまをお迎えして、
高橋信也さまが聞き手となり、オープニングトークが開始されました。

開口1番
「たくさん集まりましたよもののけが」と
仕掛けの狙い通りに会場に、多くの方が集まられたことに、にやり。といったフテキな風情の先生。
コメントがお茶目。(一瞬で大好きになってしまいました。)
(もちろん、周辺含め、混乱状況に至らないよう対策も念頭にされたコメントまでお忘れなく、コンプラ関連もぬかりなしです。ステキ)
初めてお話をお聞きしましたが、ちょっと斜めなやんちゃな風情が、失礼を承知で表現すると、so cute→で、簡潔でわかりやすい表現を用いてくださり、あっという間の2時間でした。

いくつも心に残るお話などなどがあったのですが、私が、先生のお話を聞いて受け取った(勝手にそう解釈した)ベスト3に絞ってみますと(記憶力が🦜🐓鳥並… 悲しい)

1.風神雷神図が先生の、今回のマイベストのご様子。
過去の偉大な風神雷神図の作品は、いずれも、作者が当時の最先端の芸術作品に(海外からの表現技法)触れた驚きを含めて、作者自身が、異文化最先端の表現を咀嚼した上で製作されているからこそ、今なお、私たちの心を打つのではないか?という前提の理解をいたしました上で、

創作のモチベーションとなるような、これまでと異なる新しい技術との邂逅による感動体験の具体例として、コロナステイホーム真っ最中、先生とお子様の会話をお話しされたのです。

(お子様)「ねぇ、チッチ」
(お子様が先生を呼ぶ際の言葉チチと言わせたかったそう。そして見事チッチになられたそうです。(もちろん、SPY×FAMILYより早くね))

(お子様)
「今日花火大会やるんだってーたのしみー」

(村上先生)「ん?こんなステイホームなご時世に!?無観客とか?すっごいなー」そんなことあんの???

…なんのことはない、あつまれどうぶつの森のゲーム内イベントの花火大会だったと判明…

(花火イベント定刻)
(お子様)「始まったよー(画面を見つつ)わぁ〜キレー!!」

(村上先生)
(内心)『これ花火じゃないよ。ドットだよ…』
(大人としてのリアルの発話)「きれいなの?」

(お子様)「花火綺麗だよー」(と心からの感動)

と、たあいない親子のやりとりでございますが、先生は、このとき、お子様がゲームの中の花火大会に、心から感動を覚えておられる姿を目の当たりにして、衝撃を感じられたとおっしゃいました。
新しい技術の上に成り立つ、バーチャルな空間をお約束ごとの世界としてではなく、もうひとつの現実かのごとく、実体験として、感動している幼い人を見て(自分たちとは違う時代を生きていくであろう、その子の体験を見て)先生が覚えられた衝撃、これが、今回先生が製作された「風神雷神図」を言葉で表現した時の、ひとつのエピソードであるそうです。

メタバースやデジタル空間で展開される様々な表現に接して感じる驚きを言葉で聞いた後に、改めて、作品を拝見すると、

ムッキムキで、全部とてつもない腕力と神力で何もかも解決してくれそうな眼力ありまくりのアナログ風神雷神がこれまでの、スーパースペシャルなキャラクターのスタンダードだとしたら、

今回、ヒョロリとした手脚、ちょっとぽっちゃり感あって、いまひとつパッとしない風なんだけど、デジタル技術を駆使して何故か、魔法のようになんでも、指先操作ひとつで解決しちゃう!凄腕な風神雷神が現代のなんかすごいことできちゃうもののスタンダードキャラのデフォなのよ。と言ってるようにも見える…かもしれない…


2.国家の基幹的な産業として、なろう系派生のジャンルや、アニメーションなどなど、集積させて(稼いでいく)ことになんで取り組まないのかなぉ。なお、芸術への予算投資がちょっと本気足りないんじゃないですか?にっぽん??という語り口調に感じられました。
なんなら、今回の個展も、来場者を稼ぐ、ペイできるように成り立つように、ありとあらゆる仕掛けを考えられた中に、ふるさと納税の活用があったそうです。
結果、京都市内に在住在学の学生は無料で個展を見られるのです。経済的に困窮な世帯であっても、見たいという気持ちがあればチャンスがある。なんてステキなことでしょうか。学生の街京都でそんな粋な図らいをなさるなんて…(もう。すでに大好きになっている。)

フランス革命では、それまで貴族の特権であった芸術が、庶民に解放されたことも、しばしば注目されますが、今回の学生無料は、同意義の画期的なパフォーマンス、ある意味スーパーフラットなお取組だと思いませんか?(スーパーフラットは正しくはこんな意味じゃないですよ。それくらいはちゃんと勉強しましたよ。)

なんとも、わびしい話しだとおもうのですが、このふるさと納税に関しても、ある記者さんが、先生への質問として「ふるさと納税は本来納めるべきであった自治体の税収が減じてしまうことが問題点だ言われてますがその点村上先生はどう考えますか?」と問われたそうです…
ほんと、そんなんゆうなら、ふつーに、京都市美術館へ、国や府や市が予算配分なさいよ…文化庁京都移転記念イヤーなんでしょう?!
先立つものがないから、芸術家が事業の予算づくりまでまかなわれてるのよ…フランス革命以前は、パトロンが全部面倒見てたのではないですの?…という、なんだか、ほんとに、トホホな現在の日本の惨状でございます。
芸術が、経済活動や産業をも内包する面と、卑しくも称賛されるべきハイパフォーマンスなトピックスに足引っ張りをする、貧しいマインドとなっている、私たち大衆の民度の低下に危機感を覚えるのでありました。

3.全然、お話しじゃないんだけど、先生の装いがすてきで…
キャメル?黄身がかった茶系のお召し物がよくよくお似合いで、さらに、シルバーの(ゴールドでなくシルバーってゆうのがほんとにオシャレ)キラッキラのストーンがふんだんにあしらわれた、パンダのネックレス!!かわいすぎてずっと拝見していられます…スタイリストさんのセンスなの?先生のチョイスなの?ステキすぎます…ほんとは、質問コーナーで思い切り挙手して聞いてみたかったんだけど、聞かなくてよかった。みなさん、美術芸術に関するご質問ばかりで…

以上が、私がトークをお聞きして感じたことの一切合切でございます。
先生が万一ご覧になったら、「そんなこと言ってない」「全然違う」と即座に言われてしまいそうな気もする。というか、そんな気しかしません。人は聞きたいように、みたいようにしか、認知しない生き物なのかもしれませんので、悪しからず。

過去一、たくさん書きすぎて、もう、こちらもヘトヘトでございます。
長々と駄文にお付き合いくださいまして、誠に、ありがとうございます。御礼申し上げます。会期は9月まで。みなさま、4回くらいは足を運びませうね。