前回までの話はこちらです。
①http://ameblo.jp/madame-otome/entry-12024033762.html
②http://ameblo.jp/madame-otome/entry-12026117165.html
③http://ameblo.jp/madame-otome/entry-12026191725.html
(番外編http://ameblo.jp/madame-otome/entry-12037734614.html )
土地を更地にするために取り除かれるのは、地表にある古い納屋や樹木たちだけではありません。
長い間、私たち家族と何代か前の先祖に命の水を与え続けてくれていた井戸も役目を絶たれ、その存在すらも消されてしまうのです
井戸を埋めるのは良くない!・・・ということは、よく聞く話です。
井戸には神様が宿っているといいます
毎年、大晦日の除夜の鐘が鳴る中、井戸端に神社から頂いた垂を挿し、日頃の感謝と新年の挨拶をしています。
神が宿るというくらいだから、井戸にも意識があるのではないか?
できればその存在の言葉を聞きたい・・・と、またまた芳野木蓮さん
に、ダメ元でお願いしてみました。
「あの~、銀杏と柿の木のあとに、もしも・・・もしも出来ることなら、井戸とコンタクトを取ってみてもらえませんか?」
毎度申しておりますが、
芳野木蓮さんはアニマルコミュニケーターです。動物と会話するのがお仕事です。
芳野さんは、快くチャレンジしてくれました
「ああ、これはいろんな意識の集合体みたいですね。」
そう言いながら、主となる井戸の意識を捉えて、その言葉を伝えてくれました。
井戸は、もう自分の運命をわかっているそうです。
人の世の移ろいに逆らうことは出来ないと・・・。
その語り口調は、古い時代の長老のような感じで、
「昔、この辺りには色とりどりの花が咲いて、いい香りが漂っていた
わしの周りを赤い着物の女の子がクルクルと回って遊んでいて、蝶が舞うようで綺麗だった。
近頃はその子の姿を見なくなったのぉ・・・。」
と、思い出を語ってくれました。
着物を来た女の子は、何世代前の子供なのでしょう?
木達の感覚もそうでしたが、彼らにとっての時間は、人間のそれとは大分違うようです。
人間の数十年が、彼らにとってはほんの数年くらいの感覚なのかもしれません。
「ここの空気は嫌な匂いがするようになった・・・。」と、井戸は言います。
小さい子供が日常的に着物を来ていた時代、多分この辺りは畑や野原が広がっていたのでしょう
今では、うちの畑が少し残っているくらいで沢山の住宅が立ち並び、少し離れてはいますが幹線道路が通って交通量が多いので、空気そのものも変わったようです
井戸を埋めてしまう方向に話が進んでいることと、最後に私たちに何かして欲しいことがあるか?ということを聞いてみましたが、「何も無い。」ということでした。
私は、井戸を埋める=祟りがある!?という巷の定説のように、井戸が怒ったり恨んだりするのではないかと思っていました。
でも、そうではありませんでした。
私たち家族が、
井戸そのものと、その恵の水を大切に思う気持ちや日頃の感謝も、
より良く人生を歩むために大切なものを手放す決断をしたことも、
井戸は全て承知していました。
人の暮らしと共にある自然界の存在たちは、ひたすら人間に与え続け、人の思いや時代の変化を受け入れて、自然にとっては理不尽な人の行いをも赦す大きな愛そのものだと感じました
ますます井戸を埋めるということに躊躇いを感じている私に井戸は言いました。
「悲しむことはない。悲しみは心を弱らせる・・・。」と。
つづく