夏といえば会談。怪談。
私の話は嘘くさい。
嘘くさいようなホントの話よ。
だから書くの。
私は昔から幽霊を見かける。
嘘くさい。
私もそれが見えても余り信じてはいない。
信じたらアウトな気がするのです。
ちまたの怪談って夜が舞台じゃないですか。
でも私が見るのは昼間や夕方なんです。
ひと気のない場所や廃墟が舞台じゃないですか。
でも私が見るのは人ごみの中なんです。
それ幽霊なの?
幽霊っぽい人でしょ?
そう思いますよね。
私が「まずい。幽霊だ・・・」と
始めて確信したのは高校生の時です。
【バス停にて】
学校の帰り。
バスに乗って帰りの電車の駅前まで向かいます。
15分くらいの道のりです。
学生時代って公共の乗り物でも
なんか決まった車両だったり、
決まった席に座るもので、
私はいつもバスは一番後ろの席
長椅子の窓際に座ってました。
とある電車の駅前が
バスの終着になるわけですが、
私はバスの一 番後ろ、
窓際の席にいるので、
降りる際は必然的に「最後の客」になります。
最後だから込み合ったバスの中で
皆が降りるまで一番バスの中にいる人です。
だから降りるまでに、
車内のポスターやら
座席の染みやら
外の景色を何となく見ている時間がある。
ふと外を見ると、乗車待ちのお客さんが
外で並んでいます。
これはいつもの風景なのですが、
ひとりの女性客に違和感を持ちました。
乗車待ちのお客さんは1列に並ぶ。
その女性は列から少し離れて、
こちらに体を向けてじっと見つめてくる。
それはきっと私が見たから
女性も私を見たのだろう。
しばらく目が合ってました。
特別綺麗でもなく、ごく普通の女性。
いつまでも見つめ合っててもねぇ。
私は視線を外し、バスから降りている人たちの
姿を目で追いました。
特に何を感じたわけではないのですが、
再び外の乗車待ちの客の列に視線をやった。
また違和を感じました。
先程の女性が見当たらない。
さほど驚く事ではありません。
列からいなくなっただけですから。
ただ、時間にしたら4秒くらいです。
私が視線をはずしていた時間がです。
周りに隠れる場所はないし・・・。
私はバスの中から外をぐるりと見渡しました。
あの女性はいません。
それでも何とも思いません。
ただ、見当たらないなぁ程度です。
私が最後にバスを降りて
外の日射しと暑さに、
始めて「本当の違和感」に気づきました。
外は晴々としたいい天気なのです。
なのにあの女性は、
髪はびっしょりだったし、
白い服も肌に張りついたような
たぶん服もびしょびしょだったのでは・・・。
その女性の髪の毛から、
ポタリと水滴が落ちたのを
私は見ていたのです。
それが違和感の正体ということに気づかなかったのは、余りにもはっきりと見えていたからです。
まだ夕方というには早い明るい時間でしたから。
この日、雨なんて降ってない。
【T字路にて】
私が唯一、夜中に霊を見た話を。
土曜日の夜、寝るのがもったいなくて
いつまでも起きていて、
趣味に時間をついやします。
趣味の話は置いておきますよ、怪談ですから。
夜中の2時くらいになると
お腹が空いて来るわけです。
よりにもよってマックとか
ポテトチップスが食べたくなる。
しかも、我慢できなくなる。
もう寝る前のどうでもいい格好してるわけですよ。
膝が溶けてるジャージとか、
首が伸びてるトレーナーとか、
胸にユニバーサルシティとか
プリントされてるようなヤツです。
なんか最悪です。
だから車でコンビニに行きます。
このだらしのない姿を見せられるねは、
深夜のコンビニ店員の兄ちゃんだけ。
アパートからしばらく走って
T字路を左折して、
まっすぐ2分くらい走ればコンビニがある。
早々に買い物を済ませて
帰路を急ぎます。
見慣れたいつものT字路を右折する瞬間、
車のライトの中に人の姿が浮かび上がった。
グレーのパーカーを着ていて、
フードもかぶってました。
たぶんですが服装から高校生くらいの
女の子だったかと。フードから長い髪の毛が
出ていましたから。
私は何となく「うっ・・・やべぇ」と思った。
何故なら、夜中の2時過ぎ
女の子が一人。
ここまでは普通かもしれませんが、
その女の子のいた場所がマズイ・・・。
「ガードレールの上」に
ただじっと立っていたのです。
あんな細いトコに立てますか?
しかも夜中に一人でそんなトコに立つ?
私は一度は通りすぎたのですが
見間違いで怖い思いをしたくない。
私は車を止めて、降りて外に出ました。
歩いてT字路のガードレールへ向かいました。
何でこんな行動をとったのか、今でもわからない。
いる。間違いなくいた。
暗くてシルエットだけですが、
ガードレールの上にじっーと立っている。
私はしばらくそれを見てました。
微動だにしないのです。
聞こえるのは自分の息づかいだけ。
このまま見続けてたらヤバい
そう思いながらも動けなかったのです。
怖くて動けなくなってたと思う。
で、私の視線の中で
それは力なく道路側に飛び降りて
音もなくこっちに走ってきたんです。
ヤバいヤバいヤバい!
私は車に走って戻りドアを閉めた。
で、急発進しようとする横で
それは私の車を通り過ぎたのです。
私はとっさに車のライトを
ハイビームにして道を照らしたのですが、
いないんです。
確かにそれは車の横を駆け抜けたはずで、
すぐにライトで照らしたのに。
そしたら車がゆれた。
後部座席に誰かが座った揺れですね。
当然ルームミラー何かで後ろは見ないし、
振り返りもしてません。
白々しく窓を全部開けて
またさっきのコンビニにUターンしました。
コンビニについてすぐに車を降りて
コンビニに駆け込んだ。
ビックリした顔をしたのは
店員の兄ちゃんです。
コイツまた来たのかよ!的にです。
私は雑誌を読むふりをしながら
店内のガラス越しに
外に停めてある自分の車を盗み見ました。
ちょっとこの先は
話すのやめておきます。