「神戸ニニンガ日誌」(第3,265号)
○高知からのバスで空を見た。九月だが空は真夏だ。積乱雲か入道雲か、夏雲がモックモクしておる。
○空の青色も濃ゆい。群青に近い空にモックモク雲。冷静になってみると、青色が濃いのは窓の色の加減もある。
○高村光太郎に「あの雲を見たまへ」で始まる「雲」という詩がある。「地面からたつ水蒸気の冷えてできた小さな小さな水玉の集團があの雲だ」「見ているうちに形をかへてぐんぐんと進んでゆく」「太陽に色どられた空中のパレット」「光とかげとの運動會」そして「雲はいいなあ。おもしろいなあ」で終わる。
○寺田寅彦は「茶碗の湯」で、それを見るだけで「自然の現象を観察し研究することの好きな人には、なかなかおもしろい見物です」という。雷雨のときの渦などの壮大な話に譬え「ちょっと見ただけではまるで関係のないような事がらが、原理の上からはお互いによく似たものに見える」と。
○こうなってくると、山村暮鳥のように、「おうい雲よ」と叫びそうになる。岬めぐりのバスは走る。
ⓜⓐⓓⓐⓘⓜⓐⓓⓐ まだいまだ。