「神戸ニニンガ日誌」(第2,992号)
○桜木紫乃『緋の河』。儚いけれど豊かで、独りだけれど繋がっている。夕陽に染まる北の河川。心が騒ぐ読書体験をいつまでも終えたくなかった。
○昭和17年釧路出身の秀男が「カーニバル真子」になるまでの物語。あのカルーセル麻紀の半生をフィクションで描いた。直木賞作家が初めて現存する実在の人物を素材にした。解説の仲野徹は「面白くないはずがないではないか」と書く。
○1970年前後「11PM」をこっそり視ていると艶やかな衣装とムードのカルーセル麻紀が圧倒的な存在感を示していた。白黒テレビ前の小僧(私)は、女性よりもきれいな(女の)人を正しく理解できなかった。
○桜木紫乃は麻紀を「パイオニア」と呼ぶ。丸山(美輪)明宏の存在を知り「自分のかたちは自分で決める」と決意。LGBTQの概念も固まり切っていない時代に秀男は強く生きた。
○彼女が居なければマツコもはるな愛もナジャも今の地位を確立できなかったかも知れない。物語には続編『孤蝶の城』がある。
ⓜⓐⓓⓐⓘⓜⓐⓓⓐ まだいまだ。