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図書会誌 第一話 (4)


「気が付いたかい?」
「離してください。こんな……、こんなことが許されるはずがない」
「許す許さないは君の判断ではないよ」
「くそっ! こんなことをする意味が分からない!」
「知らなくいいことが世の中に多いことを理解して置くんだな。少なくとも、我が組織ではそういう行動こそ命取りになると弁えたまえ」
「ちっ!」

「あの、ちょっといい?」
 なんですか? 朝見さん。
「これって、そんなシリアスな話しじゃないと思うよ。第一、組織って何?」
「サナカも朝見さんに同じ」
 だよな。そうなるよな。
「では、悪ふざけもそこそこに第一回会誌作成のための会議を始めますが、反対意見はありますか?」
 しばしの沈黙…………。
 そして、サナカを言った。
「無し!」
 続けざまに朝見さん。
「特にないよー」
 そして、俺!
「あります!」
「じゃあ、本日のテーマは────」
「無視か!」
「君、うるさいよ」
「は、はい」
 気負いされる俺。情けない。
「仕切り直して、本日のテーマは図書会の明確な活動についてだけど……ある人は挙手してください」
 再び、しばしの沈黙…………。そして、サナカは言った。
「無い!」
 続けざまに朝見さんはこう言った。
「今まで通りでいいよー。できたら、去年みたいにのんびりゆったりほのぼのがいいな」
そして俺は────
「俺も特になしです」
「よし、これにて終わり!」
「えぇ! これでいいんですか!」
「いいの、いいの。あとはサナカちゃんがどうにか膨らませて執筆くれるからさ。春君、心配してるってことはいよいよ、腹決めたってことか。男らしいね」
「いや、そういうわけではないですよ。ハハハ」
 あの、腹決めるって何ですか?
「それでは、今日はこれで第一回図書会活動を終了します。ご苦労様でした」
 こんなに早く終わっていいのか? 一応、メインイベントなんじゃ……。

「じゃあ、私お先に」
「俺も先に帰るから、サナカちゃん、鍵、お願いね」
「了解です。さようなら」
 二人は別れを告げるとすぐさま帰って行った。朝見さんには行ってほしくないよ。
「いよいよ二人きりね。春彦」 サナカが目を輝かせ、こちらを見る。背筋が凍った! だが…………。
「私のこと、好き?」
「い、いきなりなんだよ!」
「別にからかいたかっただけよ。フフッ」
「そうかよ……」
 含み笑いが嫌に可愛らしい
「あの二人どう?」
「どうって、感じの良い先輩だと思う」
「なら良かった。少し後悔してね。あんたをこの会に連れて来たこと。でも、あの二人が良い印象だったなら嬉しいし、連れて来てて良かった」
 サナカのこういう、たまに見せる女の子姿は卑怯だ。いつもは変なのに。
「明日からあんたの好きにしていいよ。ここに来るなり、バイトするなり」
「えっ?」
 意外だ。てっきり強制入部かと……。
「お金貯めるんでしょ?」
「そうだけど……」
「だったら、好きにするといいよ。私は春彦と一緒に部活とか出来たら嬉しいなって思っただけ。中学は別々だったわけだし。でも、クラス同じだから別に問題ないよ」
「そう……か」
 言葉に詰まってしまう。
「でも、やっぱりちょっと寂しいかも。なんてね」
 くそっ! そんなことを言われたら……断れるわけ…………

「チクショウ、分かったよ。部活動登録書にサインするから、綱ほどいてくれ」
「いいの?」
「お前がそう望むんだったら、俺はそうするしかないだろ。俺はお前にいつだって抵抗はしないだろ?」
「春彦……」
 サラサラと登録書を書き終え、拇印を押した。
 そして、いい感じの雰囲気。
 だが、それをいきなりぶち壊したのは────
「羽鳥先輩、朝見さん成功しました!」
サナカだった!
「よくやった、サナカちゃん。君を昇級して、副会長に任命しようじゃないか」
「流石だね。もう、朝見感激!」
 俺は事情を察した。謀られた!
「ちょっと待って、そんな、騙すなんて……」
「騙してないわよ。あんたと離れて、いじめる相手がいなくて寂しかったよ、すごく。フフッ」
「これからよろしく頼むよ」
「春君、ガンバッ!」
「とりあえず、明日はスタンダードに鞭にするよ」
 三人それぞれが自分の思いを伝えて帰った。三者三様っていうのかな。

 そして俺は一人残されて、すごく寂しかった。

 チクショウ!


 後日談。

 俺は色々聞きたいことがあったので、朝見さんとダベった。
「なんで最初の日、遅れて来たんですか?」
「ああ、それ? ここのドア開けるのに時間かかるでしょ? ちょっと手こずっちゃってね」
 ここの扉にはちょっと細工されていて、簡単には開かなくなっている。開け方は人に言えるような生易しいことではない。ある意味、法律に引っかかる可能性も…………。
「ああ、あと、部活の呼び込みの時のあの格好何だったんですか?」
「見たんだ、あれ……」
「見ちゃいました、あれ……」
 顔を赤くする朝見さん。ああ、もうなんて可愛いいんだ!
「じ、実はあれはね、誠の趣味なのよ。あいつ、ぱっと見た感じ格好いいのに、趣味が完全にあっち系統だからさ」
「あっちとはつまり?」
俺は確信に触れた! 確信って何だろうね?
「オタクなのよ、あいつ。だけど、モテるにはモテるけどね」
「そうなんですか。あっ、そういえば、羽鳥先輩とサナカは何してる────」
「遅れてゴメンよ。会誌の見本数ページ出来たから見てくれよ」
 走って入ってきたのは、羽鳥先輩。その手には会誌が握られている。

 サナカが書いた会誌、裏表紙、目次ときて次のページ。三ページ目。つまり、最初のあの時のページ。

《初めて書きますので、読みにくかったらスミマセン。
 第一回のテーマ、“図書会の活動方針”
 現会員の四人全員が現状維持ということで決定しました。

 以上と言いたいところですが、余白があるので、色々書きます。

 私が図書会に入ったのは、この同好会が単純に一番楽しそうだったからですね。
 羽鳥先輩がなんやかんや言って図書会を広めようとしていて、朝見さんはそんな羽鳥先輩をうまくサポートしていたから。
 すごく微笑ましくて、羨ましかった。
 そんな二人と一緒に活動したいと思った。
 でも、私一人じゃ不安だから、春彦を……。

 私にとって、今一番は図書会での活動。特にすることもないけど、これはこれで楽しい。

 いつまでもこんな時間を、そう思うのです。

 色々書きましたが、こんな私を一年間よろしくお願いします》


『…………』
 羽鳥先輩、朝見さん、俺はきっと表現する言葉は違っても同じことを考えていただろう。

 可愛いな、チクショウ!

図書会誌 第一話 (3)


「大丈夫かい?」
「何……とか…………」
 息絶え絶えで答える。息絶え絶えと、なかなかすんなり出て来た自分にビックリだ。
「本当に大丈夫?」
「はい……」
「それならいいけどさ。二、三分気絶してたからさ、びっくりしたよ」
 結構な間、気を失っていたようだな。チクショウ、サナカめ。
「来ていきなり、お騒がせしてすいません。全部、サナカが根元ですよ。ハハハハ」
 心にも無く、笑ってしまったじゃないか。チクショウ、サナカめ。憎しみを込め、隣のサナカに目をやる。俺の目から憎しみを糧としたビームが出ればいいのに…………
「なに?」
むしろ睨み返さられた。サナカの目からビームが出たのかと思うくらい、心臓が痛い。コイツに睨まれるとトラウマが……、虎? 馬?
「何でもないよ。何でもない」 そして見事に敗北した俺。ヘタレ街道まっしぐらだな。チクショウ。

「では、まず自己紹介を。俺は羽鳥誠と言う。一応、図書会の会長してる。気軽に羽鳥様って呼んでくれ」
「えっ?」
「嘘だよ、嘘」
 目は全然笑ってなかった気がするが……。
「じゃあ次に美倉さん」
「私もするんですか?」
「一応、形式だけはね」
「分かりました。あと、私のことはサナカでいいですよ」
「分かった。あっ、別に俺に気を使わなくていいからね。今まで通りな感じでいいよ。サナカちゃん」
「そう? なら────」
 なら、って……、たぶん社交なんとかだぞ、それ。
「私のことはご存じ、美倉サナカ! 現在、新入生人気ランキング堂々の一位!」
 そんなランキングを初めて知りましたよ、俺。
「学力も最高順位!」
 ということは、学年一番か。俺と真逆だ。
「自他共に認めざるを得ない──」
 他は良いけど、自分はダメだろ。ナルシストになっちゃうよ!アルシンドになっちゃ────。
「美少女様よ!」
 総勢三人しかいない図書館もどきの教室に俺でもアホらしく思う、セリフが木霊した。なんか、木の霊って恐くない?

 だが、美倉サナカは悔しいが本当に完全無欠の美少女、悔しいが!。
 髪は黒くて長い。だけど顔立ちは欧州あたりの顔の作り。サナカはサンタクロースどうのこうのじゃないけど、本当に外国人の血を引いている。その証拠に目がスカイブルーに輝いている。外国人がモチーフの人形みたいで、悔しいが可愛いしモテる。悔しいが!
 あと、何故か女子の前だと自分のことを“僕“って言う変わり者だが、昔から頭は良い。一時は地元を離れた有名私立中学にいたが、高校生になると同時に戻ってきた。理由は…………不明。
 そして、何度でも言おう、悔しいが可愛い!

「流石、サナカちゃんだね。大物感が漂ってるよ」
「ですよね」
 自分で言うな。
「じゃあ、君の番だね。よろしく」
 えっ! 俺もするのかよ。って、普通そうだよね。仕方ない……。
「俺は村岡春彦です。…………以上」
 三秒ほど時間が止まった。マズいこと言ったのか、俺?
「つまんない」
「つまらないねぇ」
「えっ!」
 二人とも同意見! 俺に面白さを求めないでもらいたいよ…………。
「モットオモシロイノヲ聞キタイナ」
「何故カタコトだ!」
「右ニ同ジ」
「真似ですか?」
 サナカと羽鳥先輩はふざけていやがる。何をしたいんだよ、まったく。
「それじゃあ、村岡君。もう一回、どうぞ」
「えーっと、俺の名前は村岡春彦です。英語なら、ビレッジ…………岡……スプリング…………彦……です。」
 十秒ほど世界が動かなくなった。つまり…………スベったぁぁぁぁぁ!
「じゃあ、次いこっか!」
「明るいテンションが妙に傷つきますね!」
 これが俗に言うブロークンハートなのか! そして、気になるものが…………。
「あの、サナカ? 視線が痛いんだけど。ねぇ? サナカ?」
「次いこっか!」
「ウザッ!」
 しまった! 口が滑った!
「ごめんなさい。本当に申し訳ないです。だから、その大根はしまってください。大根だけは、うげっ!」
 ボディブロー一発。また危うく意識が向こうの世界に行くところだった……ぜ。
「じゃあ、次行くよ。我が会、図書会の活動についてだけど」
 一番気になることだったりするな。
「我が会はただダベるだけの会です」
「えぇ!それだけ!」
「まあ、正確には若干違うんだけどね。ニュアンスは近いかな」
 驚きだ……。テンションあげて言うと、驚きだぁぁぁ!
「ついでに図書会の由来は、元々が読書の会だっただけなんだってさ」
「案外あっさりと重大事実ですね」
「そうかな? ああ、あと、言い忘れてたけど、もう一人部員いるからね」
「…………そうなんで────」
「ごめんなさい。遅れました!」
「あっ!」
 この人は…………。
「何?顔に何かついてるかな?」
「い、いえ」
 焦る俺。冷や汗ダクダクだ。あと唾液もダラダラ。
「そっか、良かった。昼にお好み焼き食べたから、青ノリついてたかと思ったよ」
 何故、学校でお好み焼き?
「君がサナカちゃんの…………よだれ出てるけど、大丈夫?」おっと、うっかり妄想を…………。
「すごい……! まだ出てるよ?」
 妄想が止まりませんよ、そりゃあ。
 何故ならこの人は────

 あのコスプレのひちょだから!
 脳内で噛むなんて……。

「ジャストタイミングだね」
「ジャストタイミングですね」
「誠とサナカちゃん、息ピッタリだね。で、この人は例の?」
「この子は新入部員の村岡春彦君だよ」

「まだ、入部するとは────」
「そうなんだ! 入部するんだ! 四露死苦ね!」
 テンションがすこぶる高いですね!
「彼のことは、気軽にビレッジ岡スプリング彦と呼んであげてくれ」
「呼びにくいから、そうだなぁ…………ネジ君と呼ばせてもらおう」
「ん? な、なぜネジですか?」
「スプリングってネジじゃなかったっけ?」
 なんだかこの人、俺と同じ匂いがするぞ。
「そんなことより、とりあえず自己紹介してやってくれ」
「そうだね。私は柚木朝見だからね。気軽に朝見様と呼んでくれていいよ」
「あの、非常に言いづらいんですが、ボケかぶりました」
「えぇ! マジですかよ!」

 しかし、驚いたこの人の顔は麗しかった。あのコスプレを思い出してしまうよ。
 髪はサナカに比べて短めで、活動的なお姉さんというイメージかな。顔もサナカを芸術的とするなら、朝見さんは人間的に可愛らしい。頭が若干アレな感じはあるけど、それがまた可愛らしい。
 だからついつい、よだれが……。
「早速、揃ったところで重大発表です」
 よだれを飲み込み終え、重大発表という言葉に惹かれてしまう。
「俺達はご存知の通り、図書会誌を書かなければなりません。」
 ご存知じゃないのここに一人いますよ、羽鳥先輩。
「まあ、村岡君がいることだし、会誌の説明してあげたら?」 あれっ、ネジ君じゃないんだ。
「そうだねぇ…………。うーん…………。」
 そんなに悩むとこ?
「ヤダ!」
「結局!」
「なんて、嘘だよ。会誌っていうのは、簡単に言えば一年間の活動記録かな。例年、月に一回、一ページのペースで書いてるんだよ。読書の会だった頃からの名残なんだってさ」
 羽鳥先輩、名残って何ですか? 食べ物ですか?
「しかし、今年は違う。今年は図書会設立およそ百年! というわけで、今年は会誌を毎日書くように、OBの方々に言われました。まあ、暑さにすると週刊漫画誌くらいかな」
 ツッコミどころが多い! だいたい、そういうのはおよそじゃダメなんじゃ…………。
 しかしまあ、冷静に、冷静に。冷製パスタソースに。
「へぐっ!」
「ダジャレ考えたでしょ?」
「そんなわけないじゃないか……」
「え○り君みたいに言うな!」 更に一発殴られた。チクショウ!
「本当に仲いいね、二人。二人って付き合っ────」
「なんとなく話は分かりましたが、なんで俺をサナカに拉致させたんですか?」
 話を遮り、悪い流れを断ち切った。これでまた、平和が保たれた。
「えっ、春彦君、わかんないの?」
 あっ、村岡君じゃないんだ。
「今の図書会に足りないのはね、君のみたいな子なんだよ」
「えっ、つまりどういう存在ですか?」
「簡単じゃない。ツッコミよ」 俺はバカだが、今の一言に対する、自分がこの会に必要なのかどうかは分かる。俺は────

必要ない!

「どこ行くの、春君!」
 俺は出入り口に走った。
 あと、また呼び方変わってますよ、朝見さん。
「ハハッ。君が逃げようとすることは最初から分かっていたよ」
 後ろを振り返って、立ち上がり澄ましている羽鳥先輩の姿を確認する。流石に読まれていたか。流石に会長なだけはあるな、羽鳥誠よ。
「サナカちゃん、懲らしめてやりなさい」
 えっ! サナカ?
 前を向き直すと、何か液体が頭に掛かった。もしや、例の養毛剤か?
 油断した瞬間、目の前に白いものが降ってきた。それは大根に間違いな────

 意識が飛んだ。(本日、三度目)

図書会誌 第一話 (2)


 俺は、泣きじゃくる自らの体を慰めていると、ふいにサナカは立ち止まったのが分かった。そのうち、何にかが暴れているような奇怪な音が聞こえた。
まず、壁を殴っているような音が六回ほど。鉄琴を叩いたような軽快な金属音が三回くらい。そのうち、チェーンソーが回っている音と、スーパー戦隊の登場シーンばりの爆発音がした。そして最後にドアが開いた音を聞こえた。
 もしかすると、到着したのかもしれない。
 少しの期待や多大な不安と緊張が俺に流れ込んでくる。ちなみにこのセリフもなんかの受け売りのような気がするが、気にはしない。
 それからしばらく沈黙が続いた。待てど暮らせどってやつか……、意味は分からないのは当然。
 しばし経ってから、頭上から光が漏れてきた。光に慣れず、普段よりもまばたきの回数が増えてしまう。その目が光に慣れた時、俺は自分の目を疑った。
 俺を縛っていたロープは異常に太い、綱引き用の綱だったのだ。綱独特の毛羽立ちが体をチクチクとこそばゆくしている。それにしても、あいつはどうやって俺を運んでいたのだろう。綱だけで、俺の倍近くの重さがあるだろうから。そして、自然と目線を足下にいった。

 やはり!

 袋の底には大根の破片が落ちていた。
 そうどぎまぎしていると、綱が解かれ、ガムテープを勢いよく剥がされ、口がジンジンとしてくる。何故だか両手両足にもガムテープが数枚貼られていて、それを破竹の勢いで次々に剥がされた。言わずもがなだが、破竹の勢いの意味は知らない。
 光が差している袋の外へは長く感じた。サナカ曰わくサンタさん愛用の真っ白な袋から思いっきり飛び出すとそこは──────。

 雪ぐ、図書館でした。


 雪国じゃないことに驚いた俺は、口をバカみたいに開けて、立ち尽くしていた。実際にバカなのは認めているけど。
「やっと来たね。とりあえず、座って待ってくれる?」
 図書館のような姿をしている教室のドコからともなく、声が聞こえた。
「時間あったから、ちょっと本棚の整理しててね。そしたら、思いのほか手間取っちゃってね。でも、もうすぐ終わるからさ」
 すると、棚の片隅からいかにもなイケメンさんが顔を出した。
「あ……、はい」
 俺はこの心境を一言で言い表せる言葉を持っていないが、少なくとも俺が女性だったなら、たぶんこの人に一目惚れしているよ。
 髪は金色、耳にはピアスをしていて、この二つが不良のようなイメージを連想させそうだが、それをも拭いさってしまう爽やかで整った顔立ちをしている。正直言ってカッコイいです。

 その名前も知らぬイケメンさんから目を離し、部屋を見渡した。この教室は図書館自体をボロボロにて少し狭くしたような感じがする。でも、図書館というイメージをさせるだけのことはあって、十数個の本棚が立ち並んでいる。本棚には隙間なく本が敷き詰められいて、俺が知ってる難しい言葉で言うなら、壮観だ。それに机も幾つかあって、形が丸、三角、四角、星と奇妙な型をした机も幾つかある。
 星型って何人掛け?
 俺はあまりに難解すぎる計算を立って考えるには疲れるので、近くのあった四角い長方形型の机を見つけ、その席に座ることにした。うろうろしていたサナカも、俺の隣を陣取り、ふてぶてしく腕組みして席に着いた。
 すると早速、机の下ではサナカの攻撃が始まってしまった。コイツはいつ履き替えたのか、それとも最初から履いていたのか分からないが、学校指定の内履ではなく、赤いハイヒールを履いていた。そして、何故か裸足になっていた俺の足を踏みつけいる。しかし、足の甲部分というのが、えーっと、不幸中の幸いでなんとか痛みには耐えられる。我ながら絞り出したよ、不幸中の幸いなんて…………。
 そして、俺はサナカが満足そうな顔をしていることを確認したうえで、悪意が込められているのを理解した。
「ごめん。待たせてしまったね」
 いきなり後ろから声を掛けられ、驚いた俺の体は小さく揺れてしまった。
 その瞬間、中立が保たれていたはずヒールの位置がずれて、足の皮膚を掻いた。つまりそれは、冷戦が終わり、本格的な戦争の始まり告げる鐘の音でもあった。…………多分、漫画の受け売り!
 そして、一気に激痛が体を巡り、その痛みで不覚にも意識を失った。あっ、不覚ってどんな意────

 意識が飛んだ。(本日、二度目)