奈良時代について、現在の奈良県奈良市、奈良盆地の北という四禽図の地に叶う三山に囲まれた地に都が築かれたことや大仏(毘盧遮那仏)が建立されたこと、墾田永年私財法という土地の私有を認める法が施行されたことは知っていても、案外詳しくは知らない人が大半だと思います。

 

しかし、藤原仲麻呂の評伝などを読んでいると後の平安時代に負けず劣らずの陰謀渦巻く貴族の権力闘争の絶えない時代であるとわかりました。

 

 

そんな奈良時代の主役は終章にもある通り、即位の為に元明・元正の二代の女帝を中継ぎとし、

皇太子・天皇・太上天皇として42年間も君臨した聖武天皇(首皇子)以外には考えられません。

平城京からの遷都も、聖武天皇の系譜という正統性を持ちえない桓武天皇の即位をきっかけに進み、

その劣等感を克服するための長岡京(後に平安京)へと遷都された事もその要素と言えます。

 

奈良時代とは、主に平城京に都があった時代(と呼ばざるを得ないのも、他でもない聖武による遷都の影響ですが)であり、平城京はまさに聖武天皇とその子孫の為の都であったことがその歴史的役割から思い知らされるのです。

 

余談ですが、著者名が予測変換で表示されると思ったら『図説藤原氏』の著者ですね。