こっくりさん(Numeri日記より) | ヌメラーのヌメラーによるヌメラーの為のNumeri日記

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※私が書いてるのではありませんので悪しからず(^^)/

小学生の頃、クラスの女子の間でコックリさんが爆発的ブームだった。

連日のように放課後になるとコックリさんの用の紙を広げて10円玉を手に「こっくりさん、こっくりさん」と唱える数人の女子。本当に熱心で狂ったかのようにコックリさんを召還している。何がそこまで彼女達をコックリさんに駆り立てるのか、疑問に思わずにはいられないほど夢中だった。

何故だか、コックリさんをやるのは女子だけの特権とされていた。絶対に男子は仲間に入れてくれない。クラス一のハンサムボーイが「僕も仲間に入れてよ」と懇願しても絶対に仲間には入れてくれなかった。言うなれば女子だけの秘密の花園みたいなものだった。

僕ら男子は、そういった女子たちのコックリさんを、少し羨ましげに、ちょっと遠巻きに、それでいて意識していることを悟られぬように無関心を装って見ていた。そりゃあ、クラスの女子が放課後のたびに机を寄せ合って怪しげな儀式をしてれば誰だって気になるものだ。僕はいつも友人の鈴木君とトランプをするフリをしてコックリさんを見守っていた。

一口にコックリさんと言っても、やり方は多種多様のようで時代と地方ごとに千差万別の方法があったように思う。ウチのクラスの女子がやっていたコックリさんの方法は

1.まず窓を開ける。これはコックリさんが入ってこれるようにするためらしい。

2.机を囲んで4,5人が円になって座る。

3.紙を用意する。紙には「はい」と「いいえ」さらには数字の1から9までと50音が記されている。

4.十円玉を中央に置き、机を囲んでいる全員が人差し指を10円玉の上に置く

5.「コックリさん、コックリさん、ナンタラカンタラ」と親が聞いたら本気で心配するような呪文を唱える。

6.そいでもって、コックリさんがやってきたら質問をする。

7、コックリさんは紙に書かれた文字や数字に10円玉を誘導し、質問に答える。

といった流れだった。で、女子いわくコックリさんの回答は必ず的中するらしい。「的中率100%なんだよ!」とクラスのブスが鼻を膨らまして言っていたのを思い出した。

でまあ、そこまでの的中率を誇る大予言者であるところのコックリさんを呼び出しておいて、クラスの女子が質問するのは「○○君の好きな人は誰ですか?」「えー!?わたし?」「いやーん、どうしよー」「やっぱりねー、○○君、園子にだけ優しいもの」「いやーん」という他愛もないものばかり。

何でも的中するなら「上昇する株の銘柄」とか聞けばいいのに、などと少年時代の僕は思ったものだ。お前らその十円玉は自分の都合のいいように動かしているんじゃないかと。ムリムリと力を込めて動かしてるんじゃないかと。

でもまあ、そんな頭の弱い乙女どもが予言してもらう内容も、上記のような可愛いらしいものだけではなくて

「pato君の好きな子は誰ですか?」

「よ」

「し」

「え」

「え!?わたし」

「うわー、やっちゃったね」

「いやー!わたしやだ!」(泣き出すよしえちゃん)

「かわいそー」(冷ややかに)

などという洒落にならない人権侵害に発展することも少なくなかった。よしえちゃん(ブス)のことなんてこれっぽっちも好きじゃないのに、的中率100%のコックリさんに奏し適され、なおかつ当のよしえちゃんに泣かれた僕の立場はどうなるんだ。周りの女子(ブス)の「かわいそー」って反応も酷すぎる。

このように、ある時は非常に乙女心をくすぐる儀式でもあり、ある時は人権侵害を引き起こす儀式でもあったコックリさん、それがある事件をキッカケに全面禁止になるということがあった。

その日も、いつものように放課後に家にも帰らず教室で遊ぶ児童たち。僕ももちろん鈴木君といつものようにトランプをしていた。そしてブスたちもいつものようにコックリさん。

そして相も変わらず「○○君は誰が好きですか?」などと質問してワーワーキャーキャー騒いでいた。いつもの光景だ。

しかし、そのコックリさんが終盤に差し掛かって異変が訪れる。コックリさんが帰ってくれないのだ。コックリさんを終わらせるには、正当な手段で「お帰りください」とお願いし帰ってもらわねばならない。正当な手段を経ずにコックリさんをやめると大きな災いが降りかかるとブスどもは信じていた。

8.「コックリさんコックリさん、お帰りください」とか頼む

9.10円玉が「Yes」に動く

10.10円から指を離し窓を閉める。

これが正規のコックリさん終了の儀式とされていた。いつもはすんなりと「おかえりください」との問いに「Yes」と答えていたコックリさんだが、その日は違った。

「コックリさんコックリさん、お帰りください」

「No」

「コックリさんコックリさん、お帰りください」

「No」

何度お願いしてもコックリさんは帰らない。どんなに頼んでも帰らない。

しまいには、やっていた女の子の一人が怖さのあまり泣き出す始末。それでも頑なにコックリさんの恐ろしさを信じているその子は、10円玉から手を離さない。途中で手を離しては不幸が襲い掛かるからだ。

僕はそのように半パニックな女子たちを見ながら、「お、これは面白い展開になってきたぞ」などと他人事のように思っていた。

「ど、ど、どうして帰ってくれないのですか?」

恐怖に震える一人の女子(ブス)が気丈にもコックリさんに質問する。そして10円玉が動いた先は・・・・・

「ず」

「つ」

「と」

「い」

「る」

「ずっといる」だった。その瞬間だった。

「いやあああああああああああああああああ!」泣き出していた参加者の女子が、信じられないような大声で叫び始めた。もちろん、10円玉から手なんかとうに離してる。

「あ、ダメだよ、手を離しちゃ!」

という他の女子の忠告も耳に入らない状態で半狂乱で泣き叫んでいる。かと思ったら、突如

「ウケケケケケケケケケ」

と不気味に笑う。僕もその様は見たが、生気のない人形のような恐ろしい目をしていた。そして

「hgvせんcれといvれおrついwねv」

と、言葉とは思えないようなセリフを彼女が吐いたかと思うと、机を持ち上げ始めた。女の子とは思えない腕力で軽々と机を持ち上げる。そして、コックリさんを呼ぶために開けておいた窓からポンポンとその机を放り投げるのだ。

ここは校舎の三階。次々と放り投げられる机たちは、下の花壇に向けて落下し、ガスンガスンと音を立てている。それでも無表情に机を放り投げる少女。呆気に取られてその光景を見ている僕と鈴木君。トランプのババヌキをしている状態で固まっている僕と鈴木君。他のコックリさん参加者の女子どもも固まって彼女を見ている。まだ10円玉に指を置いたまま見ている。いい加減に離して彼女を止めろよ。

そんな異常な状態がどれくらい続いただろうか。もう9個ほどの机が階下に放り投げられていた。彼女の周りにはもう机が存在しない状態に。それで行き場を失った少女はフーフーと言いながらその場に立っている。

「いったいなにごと!!!!」

担任のヒステリックブルーよりヒステリックなクソババアが血相変えて教室に飛び込んでくる。教室の下はちょうど職員室になっていたのだが、そこで先生が仕事をしていたら次々と空から机が降ってきたので驚いてやって来たらしい。

その瞬間、前後不覚に陥っていた彼女が急に大人しくなり、まるで魂が抜けたかのようにその場に座り込んだ。

「あんた達!なにやってるの!」

「コックリさんをやってたら・・・急に○子ちゃんが暴れだして・・・・」

泣きながら事情を説明する女子。それでも10円玉からは手を離さない。もうその思いは頑なを通り越している。

「僕らはトランプをやっていただけです」

と、僕らは関係ないんだよということを主張し、先生もそれを分かってくれたようで何のお咎めもなかった。

生気を失っている倒れている彼女を保健室に連れて行き、コックリさんをやっていた女子どもは全員お説教を食らった。最後まで頑なに10円玉を離そうとしなかったが。

暴れた彼女も特に何事もない様子で次の日からは元気に学校に来ており、教室にはどこかから持ってきた9個の机が補充されていた。そして、朝礼の時に担任より「コックリさん禁止令」が発令される。それ以外は何も変わらない日常が続いた。

今でも、あの時のあの彼女の暴れっぷりはなんだったのだろうかと疑問に思うことがある。明らかに常軌を逸した暴れ方だったし、とても女の子の力のようには思えなかった。もしかしたら、あの時帰らなかったコックリさんが彼女に乗り移って・・。

元々、コックリさんとは「狐狗狢」と書きます。狐と狗(犬)そして狢(むじな)これらは人に憑依しやすい三大動物をもじったものだと言われているのです。それだけ何かが憑依しやすい儀式だったと捕らえられていたのかもしれませんね。現にあの時のブームの時も憑依された話とかは、全国各地で無数にありましたからね。そういった観点から考えると、本当にあの時の彼女には何かが乗り移っていたのかもしれません。

まあ、僕は非科学的なことは一切信じませんので、コックリさんによる10円玉の回答も誰かが無意識のうちに10円玉を動かしているだけだと思いますし、狂った彼女も精神的に追い詰められて狂っただけだと思います。一種のヒステリーみたいなものではないかと。当時はちょっと怖かったりもしましたが、今考えると全然不思議でも怖いことでもないような気がします。

それよりなにより、その大暴れ事件の際に、先生が教室に突入して暴れてた彼女が生気を失って倒れた時。僕の横にいた鈴木君が言った一言。

「なんか、コックリと倒れたね。まさにコックリさん」

あの緊迫した状況で、このようなセリフが吐ける鈴木君の精神構造のほうが不思議で怖いな、と思いました。

この日記を読んでコックリさんをやってみて、何か大変なことが起こっても僕は一切関知しませんので、ご自身の責任でやってくださいね。