いくらなんでもそりゃねーよ、と言いたくなることが多々ある。
エロマンガなんか読んでると良くあるのだけど、登場人物がありえないくらいにエロ過ぎることがある。いくらなんでもそりゃないんじゃないの?って叫びたくなるくらいに酷い、エロい、艶かしい。そりゃあエロがメインテーマのマンガでしょうから、エロを前面に押し出す気持ち分からんでもないんですけど、それはちょっとどうかなって思うことがあるんですよね。
まず、エロマンガに出てくる人はエロいことしか考えてないですからね。自習時間になると即座におセックスを始める高校生とか、患者さんのイチモツが強固になると即座に淫らになるナースとか、ご近所づきあいの延長でお隣さんとおセックスに及んでしまう若妻とか、見てる方は著しく興奮しますが、冷静に考えるとちょっとどうかなって思うんですよね。
ちょっとこの辺のニュアンスは伝わりにくいと思うのですが、それを承知で言わせてもらうと、もしもこれらのエロマンガの如く社会にエロが溢れているならば、もうちょっとこう僕らにも恩恵があってもいいんじゃないって思うんですよね。
つまり、会社でコピーをとっていたら、社内のアイドルユキちゃんが「私のアソコ、コピーしてください」とか頬を赤らめておもむろに脱ぎだすとか、得意先相手にプレゼンをしていたら、相手方のキャリアウーマン風女部長が、「契約が欲しいなら舐めなさい」と言い出すとか、パソコンが壊れたーと総務のマミちゃんに苦情を言いに行ったら、「私もめちゃくちゃに壊して!」と抱きつかれるとか、会社帰りにコンビニに行ったら、奴隷女が裸で買い物をさせられていて、主人と思わしき男性が「こいつは淫らなメス豚です、さ、さ、アナタもかわいがってやってください」とか言い出してコンビニ裏手でアヒィだとかアグウだとか、家に帰ると14人の血の繋がっていない妹がいて「今日は私の番よ」「ずるーい、ミカだってお兄ちゃんとしたいもおん」「おいおい、よせよお兄ちゃんのチンポは一本だぞ!」でズルズルビッチョンとか、まあ、書きだすと際限がないのでこの辺でやめておきますが、とにかく、エロマンガがアリとするならば僕の身の回りにも上記のようなダイナミックなエロがあってもいいんじゃないかって思うんです。
しかし、現実的には上記のようなダイナミックエロのカケラもありえない、エロの臭いすらしないですからね。つくづく現世ってのは厳しくできてるものだと思います。
どこかでも書きましたが、僕らエロマンガファイター、いやマンガ愛好家の全てがそうかもしれませんが、僕らはマンガという一つの作品に対して現実性と非現実性を同時に求める傾向にあります。
どういうことかと言いますと、例えばエロマンガで説明します。エロマンガにおいては、あまりにかけ離れた設定は敬遠されがちになります。上記のダイナミックエロからさらに逸脱し、例えば、僕のチンポが磁石になっちゃったよ!僕のがS極で美女のアソコがN極、何もしなくても引き寄せられるように!とか、触手がウネウネでてきて女子を貫くとか、そんな設定だった場合、一部の人は大変興奮するかもしれませんが多くの人はあまり興奮しません。それはそこにリアリティがないからです。
けれども、リアリティを持たせようと、現実的なエロスを、本当に本当の現実で、毎日オナニーに明け暮れる29歳男性、みたいな絵を延々と、これが現実だ!と言わんばかりに24ページくらい見せ付けられてもつまらない。それこそ興奮のカケラすら発生しないのです。
結局、僕らエロマンガマニアはワガマママな生き物で、現実性がないと醒めるし、かといってあまりに現実だと面白くないという自己矛盾を常に抱えている悲しい生き物なんです。そう、これら両方を満たしてくれる作品なんて決して存在しないのに、日夜それを追い求め、見つかることのない財宝を追い求める探検隊なのです。悲しいよね、僕達って。
結局、あまりに現実味を追い求めてはいけない、あまりに壮大な現実離れを追い求めてもいけない。何事もほどほどにってのが一番幸せに過ごす方法で、たかがマンガなのに人生に通じる何かを見つけてしまったりするんですよね。
それが分かっているのに、あまりに現実も非現実も追い求めてはいけないことは分かっているのに、どうしても許せないことがあるんですよね。分かっていつつもこればかりは許せない。そういう譲れない線って誰だってあると思います。
で、僕が本当に許せないのは、マンガに出てくる、ブンブン虫が飛んでる演出。そりゃ虫だって飛ぶのが仕事みたいなものですからそれ自体はいいんですけど、使われる場面がいかんともしがたいことがあるんですよね。
ほら、マンガではよく、すっげえブスとか、すっごいブサイクの表現として周りに虫が飛んでる描写があるじゃないですか。モローンとブスが出てきて、クサプーンって擬音と共にはハエみたいなのが飛んでる場面、皆さんも一度は見たことあると思います。
こんなね、周りに虫が飛んでる人、見たことない。
確かに、ブスおよびブサイクの表現手段として効果的だと思います。ブサイクに描いた顔を描く以上に、ああ、虫が飛ぶほどに酷いんだなって読者に伝わると思います。でもね、どんなブスであろうと、ブサイクであろうと、虫が飛ぶほどってのはありえない。Yahoo検索でGoogleを検索するくらいありえない。
どうしてもこの表現だけが許せないんですよね。リアリティもクソもあったもんじゃないし、こんなブサイクの表現で非日常を演出しても仕方ない。もうね、憎々しく思いながらそれらの表現を見ておったわけなんですよ。こんなのありえねえって腹を立てながら。しかしですね、そんな考えを改めざるを得ない出来事が先日あったんです。
僕の職場の個室には、開けてはならない禁断の箱があるんです。どうも2年位前の僕が何かを入れた箱らしいんですけど、どうやっても何を入れたのか思い出せない。おまけに「絶対に開けるな」とマジックで書いてあるという非常に謎めいた箱があるんです。
それこそ、パンドラの箱みたいなもので禍々しい物が入ってるであろうことは容易に想像できるのですが、つい先日、どうしても好奇心に勝てなくなっちゃいましてね、一体何が入ってるんだろう、と胸がパチパチする思いをしながら開けてみたんです。
そしたらアンタ、薄々は勘付いていたんですけど、箱を空けた瞬間にムワーッと殺傷能力がありそうな異臭がしましてね。それと同時に小さい虫が無数に飛び立ちやがったんですよ。
もう、うわーって声を上げることしかできなかたんですけど、見ると、箱の中には全く手をつけてない2年前の日付の唐揚げ弁当が入ってやがりましてね。当時の僕が何を思って唐揚げ弁当を箱の中に保存したのか全く分からないんですけど、炭化した唐揚げと、凄い小さい体積に縮みカラフルな色合いに変わったライスが威風堂々と鎮座しておられました。部屋が臭いと前々から思ってたんですけど、こいつが原因だったか。
でまあ、仕事をしつつ、小さな虫がブンブン周りを飛び回ってるんですけど、どう考えても意図的に僕の周りにいるとしか思えないんですよね。もっとこう、コーラの飲みかけだとかゴミとか虫が好きそうなものが散乱してるのに、何を思ってか僕の周りをブンブン飛んでやがる。
ハッと思い立って鏡を見てみると、うだつの上がらないサラリーマンみたになってるブサイクな僕に、その周りを飛び回るハエより少し小さな虫たち。これはマンガに出てくるブサイクの表現そのまんまじゃないか!と感動すら覚えてしまったのです。
まさか、あのブサイクの周りに虫が飛ぶという表現技法はリアリティそのものだったとは。一体、ブサイクの何を嗅ぎつけて飛び回るのか知らないけど、とにかく行き過ぎた非日常的演出ではなく、これはリアリティに沿った演出だったのだ。
目からウロコがバリバリ剥げ落ちる気持ちを感じつつ、虫が飛び回る自分の姿をウットリと見ていたのですが、そこにさらなる事件が。
コンコン
僕の仕事場のドアをノックする音が。なんだか来客みたいです。コイツはイカン、まさか虫をバンバン従えた状態で接客するわけにはいかない、と慌てて虫を追い払い、ドアを開けてみるのですが、そこには途方もないブスが立っていました。もうブス、超ブス、歴史的大虐殺みたいなブスが威風堂々とスーツ姿で立っていました。
ほら、たまに何をトチ狂ったのか犬に服着せて得意気な人っているじゃないですか。ああいうのって本当に不自然で、犬ってのはどうやっても服を着るようにできていないわけですから、本来してはいけないことを堂々とやってるわけなんですよね。で、この人は、本来は化粧してはいけないような人が堂々と塗りたくっとるんですわ。なんか元旦の出し物に無理矢理女装させられたタイ人キックボクサーみたいになってんの。
で、このブス、以前からストーカー並みのしつこさで僕にマンションを買わせようと企むマンション販売会社の人みたいなんですが、コイツがとにかくしつこい。僕にマンションを薦める時点で狂気の沙汰としか言いようがないんですけど、
「ローンの支払いも家賃並みの定額です。家賃は払ったらそれまでですけど、ローンの場合はマンションという資産が残りますよ」
とか、家賃の支払いすらままならない僕に向かって35年とか気の遠くなるようなローンを薦めてくるんです。35年っていったらワールドカップが8回は確実にきますからね。そんなの払えるか。
で、電話での勧誘があまりにしつこいものですから、そこまで言うなら一度来てくださいって言ったんですよね。そしたらとんでもないブスを寄越しやがった。もうこれだけで販売会社の誠意ってやつが感じられないっすよ。
すげえ美人を寄越して、契約していただけるなら・・・とパンストを脱ぎ始める販売員。35年ローンを組む代わりに35回突いてやる!アヒイ!とかエロマンガみたいなダイナミックエロな展開が期待できるならまだしも、夜は墓場で運動会、建築中のマンションみたいな顔した販売員ですからね。本当に売る気あるのかと問いたい。
で、なにやらパンフレットとか出してブスが説明しやがるんですけど、建築中のマンションみたいな顔しやがってからに、
「これだけ素晴らしい物件もないですよ!私が住みたいくらいです!」
とか、元気に言いやがるんです。もう許し難い。
僕は僕で、うわーブスだなあって感じでその様子を眺めてたんですけど、ほら、さっきまで僕にたかっていた虫たち、かわいい僕の愉快な仲間達がですね、彼女の周りをブンブンと飛び回ってるんですわ。
おお、ブスに虫がたかっておる、たかっておるわ、と僕もマンショントークそっちのけで大興奮。
で、あまりに虫が彼女の周りをランデブーしてるもんですから
「もちろん、いやっ、最近話題の、いやっ、耐震強度偽造、いやっ、なんてありません、んふっ、専門の業者に、いあっ、検査してもらってますからね、いやっ」
と虫が気になって大変喋りにくい様子。やっぱね、ブスやブサイクには虫がたかるよ。これ、マジで。
あまりにもその光景が面白くて、僕も、「いやー金利がもう少し安ければローンを組むこともやぶさかでもないんですけど」とか興味がないのに言いましたところ、売れると思ったのか彼女も大興奮。
「でしたら、公的な住宅補助を使ってですね!」
みたいなことを大変興奮して言い出したんです。しかし、その瞬間、悲劇が起こったのです。
なにやら、色々な制度を使うと大変お得、みたいなことを建築中のマンションみたいな顔しやがってからに鼻息も荒く説明してくれたんですけど、もちろん、その間中もブスの表現ヨロシクで虫がブンブンと彼女の周りを飛び回っていたんですけど、その瞬間ですよ。
ズボッ!
っとブスの鼻の中に虫が飛び込みやがりましてね。もう、その決定的瞬間を目撃してしまった僕は衝撃やら面白いやらで大変な騒ぎに。ブスもブスで、鼻に虫が入ったことは分かってるようなのですが、まさか客の前で片鼻押さえてフンッ!と出すわけにはいかず、むしろそれをしてくれたらマンションくらい購入していたかもしれませんが、どうするわけもいわず何ともいえないアンニュイな雰囲気をしていました。
結局、早くトイレにでも駆け込んで虫を出したかったのかしりませんけど、セールストークもそこそこに「何かありましたら連絡ください」と言い残して帰っていったブス。名刺を置いていったのですが、建築中のマンションみたいな顔しくさってからに「愛」という大変素晴らしい名前でした。
またもや僕の周りを虫がブンブン飛び回る中、ブサイクの周りに虫が飛び回るのは大変リアリティがあることなのだな、それどころかあまりにブスだと鼻の中に飛び込むんだぜ。少なくとも僕がマンションを購入することよりリアリティがある話だ、と考えを改めるのでした。
日常と非日常の狭間でもがきつつも、どんなダイナミックなエロより、マンションを購入することより、ブスの周りに虫が飛ぶことより、ミサイルが7発飛んできたってことの方がリアリティがあんだから、なんて世の中だ、そう思うのです。