戦争の日々(Numeri日記より) | ヌメラーのヌメラーによるヌメラーの為のNumeri日記

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※私が書いてるのではありませんので悪しからず(^^)/

「これはもう戦争だ」

軽やかなJ-POPが流れ、ウザイくらいに元気のいい店員の「お弁当温めますか!?」怒号が飛び交うコンビニ店内。その喧騒とは裏腹に齢31歳10ヶ月の男は静かに静かに決意した。

「戦争」という言葉は軽々しく使うべきものではない。ウチの爺さんは半分ボケていて、晩年はそりゃもう酷いものだったけど、元気だった時は太平洋戦争の話をよくしてくれた。あの戦争に明け暮れた日本という国を生き抜き、おそらく何度となく人に命を奪ったこともあるだろう、奪われそうになったこともあっただろう、子供の頃は鼻水垂らしながら聞いていたけど、今考えるとすごく貴重な話だったように思う。

爺さんの口から語られる戦争の話は、どんなコメンテーターの言葉よりも、どんな運動家の言葉よりも、どんな政治家の言葉よりも重かった。戦争の是非だとか戦争責任だとか、あの戦争の功罪だとか、そういった話になると人それぞれ、立場によっても様々な考え方があって然るべきなので詳細は述べないけれども、確かに言えること、それは爺さんの言葉にはエンターテイメントではない戦争のリアルがあったということだ。

そして、爺さんはいつも敗戦時のショックを語る。日本という国が諸外国に敗れてしまった悔しさを語るのだ。決して忘れてはならない日本の一日、そう語っていた。

いつのまにかこの国において「戦争」とはエンターテイメントの道具になっていた。映画の題材、ゲームの題材、遠い国の悲しい悲しいお話、それらはエンターテイメント技術の向上で極度にリアルに描かれていく一方で、リアルからかけ離れつつあるエンターテイメントとしての戦争があった。

本来、戦争なんて言う言葉は軽々しく口にしてはいけないのかもしれない。いや、していいのかもしれない。どちらにせよ、口にする場合、空爆なんてされたことない僕らの中で「戦争」とはエンターテイメント的ものでしかないことをしっかり認識し、その上で発言しなければならないのだ。

それを踏まえてあえて「戦争」という言葉を口にさせてもらうけど、とある日、とあるコンビニの片隅で「これはもう戦争だ」と決意するしかない事態が僕の身に巻き起こっていた。

事の顛末はこうだ。普段は来ないこのコンビニ、何故か急にエロ本が読みたくなった僕は意気揚々とエロ本コーナーへと趣き、何か極度に興奮する、それこそ長き未来に渡ってバイブルとして重宝されるような素晴らしきエロ本はないものかと吟味していた。

しかしながら、最近は青少年保護だかなんだか知らないけど、全てのエロ本が中身を見えないように強固にビニール封印がしてあり、とてもじゃないが中身を吟味して購入することが不可能になっている。これは由々しき問題で、例えるならば全てのCDでジャケ買いを要求されてるようなもので、何の前情報もないまま表紙だけをみて購入しなければならない。表紙に発奮して購入したエロ本がホモ系のエロ本だったりした日には一生モンのトラウマだ。

こちらのエロ本は絵柄が好みっぽいけど内容がヌルそうだ。こちらは過激そうだが絵柄が好みではない、などお真剣に吟味すること20分、すると、まるで心のワクワク感が腹部に伝染したかのように衝撃的な腹痛に襲われた。

「ぐおおおおお、腹が痛い」

浮浪者みたいな格好をした野武士がいきなり店内に入ってきて20分もエロ本を吟味、かと思ったらいきなり腹が痛いとか独り言を発し始める、これはもう僕が店主だったら迷わず通報するレベルです。

焦るな焦るな、いつもならば急激な腹痛に、30代にして脱糞という決して繰り返してはならない悲劇を思い出して狼狽するのだけど、幸いにもここはコンビニエンスストアではないか。開いててよかったセブンイレブン、ではないか。ならば何も焦ることはない、ちゃんとほら、このエロ本コーナーの横にトイレがあるではないか。

下腹部を押さえながら真横のトイレへと駆け込む。全く脱糞レベルの腹痛ってヤツは恐ろしい。何の前触れもなくやってきやがるなんて天災レベルだ。これが何もない山奥とかだったらと思うとゾッとするぜ、とか思いながらトイレに駆け込んだんです。

でまあ、緊急事態ですからウンコとか出ますわな。あまりこういうこと書くと、ショック!patoさんはウンコしないと思ってたのに!この世に舞い落ちた堕天使、いずれ私と一つになって一緒に天の扉を開くの、その時に響き渡る福音は世界中の人々を幸せにするわ!って信じてる女の子が卒倒……ってそんな人いませんね。じゃあ何も遠慮せずに書かせてもらいます。

あまりに緊急事態だったものですから、ズボンとパンツをズリ下すと同時に出るじゃないですか、むしろその前にもちょっと出てるじゃないですか。音で表すとズリブリブリブリブリルビュウって感じですよ。こうやって生きていて至極至福のひと時、ウンコの出来る幸せを噛み締めていたのです。

ウンコってのは2種類ありまして、すぐ出るウンコとなかなか出ないウンコに大別されるんですけど、この時は先にすぐ出るウンコが充填されていて、その後に出ないウンコが充填されていたみたいで、逆だと地獄なんですけど、最初にドバーっていうかブリブリブリブリブリって出た後にちょっと悪戦苦闘していたんですね。

ウンコをした後もウンコを出すべく闘わなければいけない、神様、一体僕らはいつまで戦い続ければいいのですか!?とか思いながら奮闘というか文字通り糞闘していたその時ですよ。

ガチャ!

ウンコをしている時に決して聞こえてきてはいけないサウンドが聴こえるじゃないですか。何かの幻かと思ったのですけど、急いでドアの方見ると、思いっきり浜崎あゆみとか崇拝してそうなギャルがドアのところに立ってるんですよ。

ギャー、鍵閉め忘れた、とか、お尻見られたー、とか、ウンコ見られたー、とか考える以前に何か色々と気が動転してしまい

「うわー!ゴメンナサイ!」

とか何故かギャルに謝ってました、思いっきり踏ん張った状態で。ボケが、謝って欲しいのはこっちだわ。

とまあ、ここまでは日常の一コマじゃないですか。焦るあまりトイレの鍵を閉め忘れてギャルに尻の穴まで見られてしまう、なんて30年生きてれば8回くらいあると思います。でもね、ここからが異常だった。

もう見られちゃったし恥ずかしいしで出ないウンコをするのは諦め、かなりバツの悪い感じでトイレから出たんですよ。すると、さっきのギャルがコスメのコーナーのところにいたんですけど、その横に悪そうなやつは大体友達みたいな彼氏がいたんですね。で、なんかこっち見ながらヒソヒソと話してやがるんですよ。たぶん、

「ちょー、ビックリ、トイレあけたらあのブサイクがウンコしてた!」

「マジで!」

「いっぱいウンコ出てた」

「マジで!」

「コーンとか混ざってた」

「マジで!チェケラ!」

とか会話しているに違いありません。なんかこっち見ながらゲラゲラ笑ってるし、携帯電話とか操作してるんですよ。多分友達に「オッサンのウンコ見ちゃった!」とかメール送ってるか、Mixiとかに書いてコメント欄でみんな「さすがにウンコはきついねwwww」とか書いて僕を肴に楽しんでいるに違いありません。

そこでね、僕はあまりの恥ずかしさにドリンクとか手にとって誤魔化そうとしたんですけど、それでもギャルと彼氏は盛り上がっていてですね、たぶん僕の脱糞に触発されちゃって「今度脱糞プレイしようよ」「マジで!」とか会話しているに違いありません。そこで思ったわけですよ。

「これはもう戦争だ」

ウンコを見られ、しかもトイレから出たところを笑われ、Mixiにアップされてそのうち「30代のオッサンの脱糞を目撃したギャル集合!」とかコミュニティを作られるに決まってます。これはもう国家レベルで考えると他国の原子力潜水艦が領海侵犯してきたくらいの国辱。いつ宣戦布告したっておかしくないのです。

決して軽々しくなく、ブラウン管の向こうの戦争でもなんでもない俺たちのリアル、脱糞を巡る戦争が今始まったのです。

まず、あまりの恥ずかしさに赤面していた僕はスゴスゴとコンビニを後にし、颯爽と職場に出勤したのでした。

「きいてくれよ、さっきコンビニでギャルにウンコしてるとこみられた!」

職場にて僕の良き理解者である後輩にカミングアウトしましたところ、

「やったじゃないすか、普段からギャルに見せたい、合法的にやれないものかって言ってたじゃないですか」

という冷ややかな反応。もうコイツ、全然分かってない。何が問題なのか全然分かっていない。その証拠に、全然話も聞かずにまじめに仕事していやがる始末。

「問題はそういうことじゃない」

そこからはもう何が悲しかったのか切々と語りましたよ。トイレを開けられてしまい、動転して年端もいかないギャルに謝ってしまったこと、その後もアベックによって徹底的に辱められたこと、これはもう遊びじゃない、戦争だとも伝えた。

「なるほど、それでどうしたいわけですか」

熱い思いが伝わったのか深刻な眼差しに変わる後輩。僕は一呼吸おいてソッと彼に伝えたのです。

「ウンコを見られても動揺しない強いハートが欲しい」

「じゃあ練習ですね」

こうして僕と後輩の血の滲むような特訓が始まった。強いハートを手に入れるには実際にそのようなシチュエーションで練習するのが手っ取り早い。すかさず職場のトイレに赴き、二人で練習を始める。

ガチャ!

「あ、失礼」

「あのさー、トイレのドア開けて人がウンコしてたらもっと驚くでしょ、演技力が足りないよ」

練習ですから実際にウンコしているわけではないですけど、それを考慮しても後輩の演技には臨場感が足りない。

ガチャ!

「うわ!ウンコ!」

「あのさー、それはいささかオーバーだろ」

ガチャ!

「うわ!くさっ!」

「それはちょっと失礼すぎるだろ」

こうして、たまたまウンコしにやってきた上司に見つかって怒られるまで練習は続き、僕はウンコを見られても動じない鉄のハートを手に入れたのでした。

それからの僕は違ったよ。南方攻略作戦で快進撃を続けた日本軍のようにあらゆる場面で勝ち続けた。コンビニ、定食屋、本屋、居酒屋、あらゆる場面のトイレで鍵をかけずにウンコをし、不意に開けられるたびに勝利を収めた。

主にサラリーマン風の人々がふいにトイレのドアを開けてくるんですけど、もう生まれる瞬間とかでも微動だにしませんからね。まるっきり普通にウンコをし、一呼吸おいて悠然と振り返る。そこで「なんだね?騒々しい」みたいな余裕のジェントルマンでサラリーマンの顔を一瞥、すると向こうのほうから「うわっ、すいません」って謝りますからね。

圧倒的戦勝、圧倒的戦勝国、しかしまあ、ここで勝利者の驕りというか、いくら勝ったからといって相手に対して横暴な手段に出るのはジュネーブ条約で禁止されていますから、悠然と

「いやいや、気にしないで。鍵かけてなかったこっちも悪いし」

あとは尻でも拭いて悠然とトイレを後にするだけですよ。トイレの前でさっきの相手が申し訳なさそうにしていたら満面の笑顔を振りまいてやればいい。もう連戦連勝。鍵かけずにウンコしててもあまり開けられないんですけど、3回くらい開けられて勝利の美酒に酔いしれた。さらに、開けられたらどうしよう!という布袋のアニキが出てきそうなスリルも味わうこともでき、最高の時間を過ごしていたのでした。

そんな連戦連勝に沸くpato国でしたが、戦局が悪化する事件が起こりました。

珍しく職場の飲み会に呼ばれ、行ったはいいのですが誰も喋る人がいなかったので主に件の後輩と喋っていたのですが、

「特訓の成果だ、今や開けられても動じることはない」

「いやー、俺には真似できないっすよ!」

みたいな会話を交わしていたらですね、ウンコしたくなってきたんですよ。ちょうど後輩のやつ、ねんごろになってる女子社員に呼ばれて席を移っちゃいましたし、僕一人だけで魚の骨を並べてるのも飽きたしで、こりゃあトイレに行くしかないなってトイレに向かったんです。

そりゃあもちろん、ここでも鍵かけませんよ。鍵かけずに思いっきりウンコ。さあこい!ほらほら開けてみやがれ、歴史的敗戦ってやつを味わせてやるぜ!とウンコしてました。

ガチャ!

やっぱり居酒屋のトイレって使用頻度が高いじゃないですか。もうすぐに開けられちゃいましてね、きたきたきた!と悠然と振り返りましたよ、歴史的敗戦ってやつを味あわせてやる!覚悟しろ!ってね。

いやね、奥さん。アンタね、どういうことですか。振り返ったらムチャクチャ黒人が立ってるじゃないですか。黒人も黒人、超黒人。エディーマーフィーみたいな黒人がこっち見てニッって笑ってやがるんですよ。白い歯が眩しかった。なんかいでたちもスラムとかにいそうなヤンチャな黒人っぽくて、今にも3on3とかはじめそうなファッション。

しかも外国人ばりのオーバーリアクションで「オゥーーー!」とか「オマイガ!」とか驚いてくれるなら救いがあるんですけど、まるで何事もなかったかのように仁王立ちですよ。早くしてくれんかのーみたいな貫禄を感じるほどの立ちっぷり。

尻丸出しでしゃがんだ体勢の日本人VS黒人

これ自体は別にいいんですよ、なんでこんな居酒屋に黒人がいるんだよとかこの際言わないですよ。尻の穴とか見られてもいいですよ。でもな、頼むからドアを閉めて欲しい。ここ、通路に面してるトイレだからさっきから通る人に丸見えなんですけど。

「あのーすいません、閉めてもらえませんか」

ってウンコしてる体勢で言うんですけど、黒人は二カッとしていて要領を得ない。日本語が通じないのかと思って英語で伝えようとすんですけど、もういきなりの黒人とか、通路を通る女子大生風お姉さんに丸見えとかで気が動転しちゃってましてね。

「シャットダウン!シャットダウン!」(コンピューターを使用した後に、システムを停止する操作のこと。物理的に電源を切ることとは異なる。)

とかわめいてました。それでも通じなくてもうパニックになっちゃいましてね

「Noウンコ!Noウンコ!」

とか言ってました。当然通じるはずもなく、恥ずかしいやら何やらで、もうさっきから20人くらいに見られてる、っていうか、さっき通ったのウチの女子社員じゃないかとか焦っちゃいましてね、飲んでいたお酒の酔いも手伝って、何か英語を言わないといけない、アメリカっぽいことを言わないといけない!と勘違いしちゃったみたいで

「NO NEW YORK!」(BOΦWYの名曲)

「You are not alone」(あなたは一人ではありません)

とか訳の分からないことをのたまってました。なんじゃそりゃ。で、全く通じないというか通じるわけがない、そもそも通じても意味が分からないので諦めてウンコして、尻も拭かずにトイレから出たのですが、その間、ずっと黒人はドア開けて仁王立ちしてた。すっごいシュールな光景。あれか、アメリカ人は人のウンコを干渉する文化でもあるのか。

命からが飲み会の席に戻った僕は、すぐさま後輩の近くに行き、事の顛末を話しながらワンワン泣いたのでした。異人による圧倒的侵略、敗北、敗戦とはこういうものなのか、ウチの爺さんも終戦の日、さぞや悔しかっただろうなあ、と噛み締めながら。後輩は「今度顔を真っ黒に塗って練習しましょう」って言ってた。

この国において「戦争」とはエンターテイメントでしかない。どんなに綺麗に言葉で飾ってみても、それはもう遠い国の出来事か大昔の出来事か、画面の中の出来事でしかない。

声を大にして反戦を叫ぶのもいいだろう。声を大にして平和を叫ぶのもいいだろう。日本の戦争責任を叫ぶのもいいだろう。ただ、それらが僕らにとっては全くリアルでないことを叫ぶほうも叫ばれるほうも認識していなければ、それらは大きく歪んでしまうだろう。

ただ一つだけ言えること。僕は結果的に僕らの未来のために戦い、復興のために努力した先人たち、ウチの爺さんを誇りに思う。こうやって黒人と「これはもう戦争だ!」といってウンコ見られただの何だの騒げる平和な世界を築いてくれたのだから。