残念なカイル君
久しぶりに錬金鍛冶師の話題。
昔、蝋型鋳造(ロストワックス法)をやりたくて、道の工業試験場のN氏にワックスの配合法について教えを請いに伺ったことがある。その時は、蜜蝋と松脂の配合割合を教えていただいた上に、「不要になったから」と、手捻りに適した専用ワックスを分けていただいた。さらに、「参考に」と、ロストワックスで鋳造した小物とワックス模型用のシリコーン鋳型もいただいた。
ブロンズ製のイルカ(ペーパーウェイト)。
工業試験場のイベントで配ったお土産の余り物とのことだった。
ワックス模型を製造するためのシリコーン鋳型。
一点物の制作なら手捻りでワックス模型を作ればよいが、量産品の場合は、このような鋳型を使って模型を量産し、それらを同じワックス製の「幹」に接続して「ツリー」を作製する。
続いて、ワックス・ツリーを耐火石膏で被い、それを乾燥・焼成することで内部のワックスを溶かし出して、ツリーの形をした空洞を形成する。この空洞に溶けた金属を鋳造するとツリーの形をした鋳物ができる。後は個々の製品を切り離して、必要に応じて磨けば完成ということになる。
じつは、このイルカ、眺める角度によっては、良い感じに皮肉めいた笑いを浮かべているように見える。
たまたま、これだけがワックス模型の段階で押されて変形してしまったようなのだが、その表情が図らずも私のお気に入りポイントになったのは不思議な縁というべきか。
さて、ここでようやくタイトルの話になる。
当時(制作時)、マイクロソフトの日本版OFFICEを立ち上げると、画面の右下のほうに、「カイル」という名のイルカの「オフィスアシスタント」が表示される仕様になっていた。N氏は作品がカイルに似ていることを気にしていて、「MSに文句を言われないように尾を反対側に曲げた」と笑っていたが、まあ、イルカをキャラクター化すると普通このような形になるしかないだろう。
カイルは、しかし、大して役に立たないうえに画面のスペースや貴重なリソースを消費するということで、邪魔に思うユーザーが多かったようで、「お前を消す方法」という質問フレーズがネットミーム化するほど広まったようだ。
そんな経緯があったせいか、手元のブロンズのイルカを眺めるにつけ、その表情が何かを語っているように思えるのだが、気のせいだろうか?
写真は、2010年10月27日、初積雪の風景。





