『海底二万里』とアオイガイ
ここのところ、悪天候と立て込んだ仕事のせいでフィールドワークがまったくできない。
持ち帰り仕事の合間、気晴らしにパラオオウムガイのコーナーを少しずつ片付けている。
手前の化石は浦河産の化石(アンモナイト、ウニ、オウムガイ)。
オウムガイの化石は水切り遊びにちょうど良いくらいの小石になって浜に打ち上がっていたもの。コメント欄でりんぞうさんにオウムガイだと教えていただくまで正体が分からなかった。最近になってようやく私も見分けられるようになってきた。
オオベソオウムガイを抱えたフチ子。
パラオオウムガイの背景にノーチラス号の壁紙を飾った。
ノーチラス号は、言わずと知れたジュール・ヴェルヌの『海底二万里』(1870)に登場する潜水艦だ。
子供の頃に読んだのは簡略化バージョンだったので改めて全訳版を読むことにしたのだが、面白い場面があった。
「フネダコの大群」と題された挿絵。
ここで「フネダコ」と呼ばれているのはアオイガイ(=カイダコ)のことだ。
このアオイガイに遭遇する場面では、「古代人の言い伝えによると、出会えば幸運がおとずれるというかわいい動物がある。」という文章から「フネダコ」(アオイガイ)の紹介を始めている。
それにしても、この絵のアオイガイは奇妙な姿勢をとっている。
殻を船体のように浮かべながら、扇状に発達した左右の第一腕を帆のように挙げているのだ。
このイメージの出所を探してみると、ドンピシャリの絵が見つかった。
"Argonaut". The Popular Science Monthly, Vol. XXXV(1889).
この雑誌に掲載されている絵は、 Louis Figuierの著書 Ocean World : Being a Descriptive History of the Sea and its Living Inhabitants (1868)から引用されている。ヴェルヌと挿絵画家はこの辺りの情報を参照した可能性がある。
また、この第一腕を挙げたポーズ自体は、さらに以前に遡れる。
Histoire naturelle generale et particuliere des cephalopodes acetabuliferes vivants et fossiles (1848)
また、帆船のイメージは16世紀まで遡れる。
Sailing Nautilus (argonauta argo) with spanned sail.
(Pierre Belon: Petri Bellonii Cenomani De aquatilibus, (1553)).
(from "BibliOdyssey")
ちなみに、アオイガイの学名"Argonauta argo (Linnaeus, 1758)"の種小名argoはギリシア神話に出てくるアルゴー船、属名Argonautaはアルゴー船の乗組員の総称から来ているが、命名の際にこの絵のようなイメージがリンネの念頭にあったのかもしれない。
Aquatint of a paper nautilus by William Daniell in William Wood’s Zoography (1807)
‘A Fairy resting on a Shell’ by Amelia Jane Murray.
[リンク]
「海底二万里」の最初の映画
・20,000 Leagues Under the Sea (1916) - 1st Movie Filmed Underwater - JULES VERNE - YouTube
パリのディズニーランド










