昨年の日本語スピーチコンテストに出場した私の日本語クラスの生徒さんのお話です。
彼は現在ALT(外国語指導助手)をしています。
子供のとき、色々なことにチャレンジしたそうですが、学費の問題で希望する学校へ行くことができなかったり、何度も就職試験に失敗したりして、心が折れてしまったそうです。
その後、しばらく家に閉じこもっていたそうですが、気持ちを改め、身体を使うファーストフード店の仕事をしました。
初めての給料で、家族に食事を御馳走し、家族の喜ぶ顔を見てから、お金持ちになりたいと強く思ったそうです。
そして、いつもお金のことばかりを考えていました。
お金持ちになるために大学へ行きたいと思ったそうですが、5人も兄弟がいるため断念していました。
しかし、お母さんの勧めで、アルバイトで学費を工面しながら、何とか大学へ通い、教育学の学位を取得したそうです。
その後もお金持ちになりたいという思いはずっと続き、教師として中国へ行きました。
しかし、お金持ちにはなれなかったそうです。
再度、お金持ちになりたいと今度はALTになるために、日本にやってきましたが、お金持ちになる夢は叶いませんでした。
しかし、小学校の教室で、お金だけでは味わえない、別の幸せを見つけたそうです。
それは、教室で、子供たちの喜ぶ顔を見ることだそうです。
お金ももちろん大切なもののひとつとのことですが、子供たちからもらうポジティブなエネルギーが彼の心を豊かにしてくれたそうです。
「教師になって、日本に来て本当によかった」とスピーチは締めくくられていました。
私は、彼のこのスピーチを聞きながら、今、自分に与えられた目の前のことを、毎日、こつこつと行い、家族、友人、知人、そして関わる人を大切にすることが、私の幸せに繋がるのではないかと、思いました。
最後まで、読んでくださってありがとうございました。