日本語教師は多文化に触れる楽しいお仕事ですが、日本人として色々考えさせられることもあります。
日本語って難しい?
マレーシア出身の留学生が無事に大学を卒業したときのお話です。
帰国する前に挨拶に来て、「大きなお世話になりました。」と言いました。
「大きなお世話??」
彼女の言いたいことはわかりましたが、使い方を間違えたことに気が付きました。
私は笑いながら、「大きなお世話??」と聞きました。
「たくさんお世話になったから『大きなお世話になりました。』と言ったけど、「『大きなお世話』は間違っているんですか?」と彼女。
私は、「『大きなお世話』は相手を拒否するときに使うんですよ。余計なお世話という意味なんですよ。」と。
「えっ、知らなかった!」と驚いた様子の彼女。
彼女は、私に少し(小さい)お世話になったのではなくて、たくさん(大きい)お世話になったので、「大きな」を使ったとのこと。
私の説明を聞いて、彼女は、「知らなったので、使い方がわかってよかった。ありがとう。」と。
彼女は、日本留学試験に合格し、日本の大学に入学したとても優秀な女性です。
来日したときにも日本語のコミュニケーションに問題はありませんでした。
彼女のアパートと私の家は歩いて5分くらいのところにありましたので、卒業するまで、4年間、お互いの家を行ったり、来たりしていました。
初めて大型台風に遭遇いたときには、私の家に泊まったり、一緒に買い物したり、料理をしたりと、とても楽しい日々を過ごしました.
彼女の日本語は年を追うごとに更に流暢になり、色々なアルバイトもしていました。
彼女のように、かなり流暢に話す外国人でもこの言葉の使い方は知らなかったようです。