日本語教師は多文化に触れる楽しいお仕事ですが、日本人として色々考えさせられることもあります。

 

現在は卒業して母国に帰国した元留学生のAさんが私のクラスで勉強していた頃、彼から聞いたお話です。

 

Aさんと同じバングラデシュ出身のBさんは、来日したばかりで日本語がよくわかりませんでした。

 

ある日、日本人学生に「あなたは、かわいいですね。」という言葉を教えてもらいました。

 

早速、Bさんは覚えた日本語を使おうと思い、研究室の女子学生に「あなたは、かわいいですね」と言ったそうです。

 

しかし、その学生が嫌な顔をしたので、なぜだかわからなかったそうです。

 

また次の日も「あなたは、かわいいですね。」を言ったそうですが、同じ反応だったそうです。

 

Bさんは、それからも何度か同じ言葉を言ったそうですが、いつも嫌な顔をされるので、Aさんに聞いたそうです。

 

「あなたは、かわいいですね。」と言ったのに、嫌な顔をされるので、日本人女性には「かわいい」という言葉を言ってもいけないのかと…

 

AさんはBさんにどういう日本語を使ったのか、実際にその言葉を言ってもらったそうです。

 

Bさんは「あなたは、かわいいですね。」ではなくて、「あなたは、こわいですね。」と言ったそうです。

 

「あなたは、こわいですね。」と毎日言われた女子学生が嫌な顔をするのは当然です。

 

Bさんは、その女子学生が嫌な顔をする理由がわかり、ホットしたそうです。

 

そして、その女子学生に間違えて言ったことをを誤ったそうです。

 

「かわいい」と「こわい」をゆっくり言うと同じようには聞こえませんが、早く言うと同じように聞こえますね。

 

私も英語のRやLの発音が悪く、違う意味にとられたことがありますので、Bさんの気持ちがよくわかります。

 

 

外国語を学ぶ上で、文法や語彙をたくさん覚えることも大切ですが、発音の重要さを改めて認識しました。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。