ネタバレありキメてる


 映画『バタリアン』は1985年に公開されたアメリカ製のホラー・コメディ映画で、今も根強い人気を誇るゾンビ映画の名作です。


監督はダン・オバノン、主演はクルー・ギャラガーやジェームズ・カレンなどが務めています。


物語の舞台はケンタッキー州ルイビルのユニーダ医療会社で、フレディという青年が新たに働き始めます。会社の倉庫地下には、かつてアメリカ陸軍が開発した薬品「トライオキシン245」により蘇ったゾンビたちが秘密裏に保管されていました。


ある日、フレディと先輩のフランクは好奇心からそのドラム缶を開封してしまい、薬品のガスが漏出。気絶したふたりが目を覚ますと、死体たちが次々とゾンビとして蘇り、事態は収拾不能に陥ります。


社長のバートも巻き込む形で、死体安置所の協力を得てゾンビ達を焼却しますが、煙に含まれる薬品の成分が雨となって墓地に降り注ぎ、そこに埋葬されていた死体たちまで蘇らせてしまいます。


やがて主人公たちの一部もゾンビ化し、恋人や友人たちも危機に陥ります。最終的には米軍が事態を解決するために核ミサイルを撃ち込み、ゾンビも人間も一掃されますが、薬品の成分が雲になり再び雨となって降り注ぐという終末的な展開となります。



感想

この映画、初見のインパクトが本当に強いです。ゾンビ映画といえば、普通はどこか絶望感や厭世的な雰囲気が漂うジャンルですけど、『バタリアン』は雑味のないテンションの高さとB級感が絶妙に混ざっています。


脳みそだけを追い求めて暴れまわるゾンビたち、「痛みを消すために脳みそが欲しい」なんて、逆に可愛ささえ感じるくらい。


しかし、ゾンビの特殊メイクは手作業感たっぷりで、妙に生々しくて不気味。はじめて観たときは、正直コメディの部分に気付く余裕なんてなかったです。怖さが勝っていて、夢に出てきそうでした。


それでも何度か観るうちに、ブラックユーモアや絶妙なポップさに気付いて、どんどんクセになっていく不思議な作品だと思うんです。


それにしても、この映画はゾンビがめっちゃ走るしめっちゃ喋る爆笑


一体目のゾンビを焼却した時に出る緑の煙、そしてそれが雨になって墓地へ……ああ、しまった!と予感できる流れがたまらなく「ゾンビ映画のお約束」っぽくて気持ちいいです。


「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が実話だった、というしれっとした設定で始まるのもお茶目で印象的。大量発生するゾンビたちも、なぜかどこか間抜けで可愛いんですよね。


ただ、最終的には米軍が問答無用で核ミサイルを撃って、何もかも焼き尽くす――あっけなさすぎる終末ですが、それがまたB級映画の潔い味だと思います。


続編がたくさん作られているシリーズですが、今でも一作目は「伝説的ゾンビ映画」として語られる理由、なんとなくわかる気がします。


映像技術やリアリティが進化する現代よりも、手加減なしの表現や物語の勢いがむしろ派手さを増している感じなんですよね。


ゾンビ映画好きにはもちろん、コメディや怪奇ものが得意じゃなくても意外と楽しめるはず。「脳みそ喰わせろ〜!!」と叫ぶゾンビのテンションに、思わず笑ってしまうかも。バカバカしいのに怖い、不思議な中毒性がある一作です。


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