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『チャイルド・プレイ2』は1990年に公開されたアメリカのホラー映画で、『チャイルド・プレイ』の直接的な続編です。
監督はジョン・ラフィアで、脚本はシリーズの生みの親であるドン・マンシーニが続投しています。物語は、前作で起きた“グッドガイ人形”チャッキーによる事件から2年後を描き、精神的に傷ついた少年アンディが、養子先の新しい家庭で再びチャッキーの恐怖にさらされるというものです。
物語の舞台は、チャッキーによる事件で母親が精神を病み、孤児となったアンディ・バークレーが里親のもとに引き取られるところから始まります。
チャッキーという人形のイメージを回復しようとした会社側が、事故で壊れたチャッキーを修復・調査するものの、そこには殺人鬼チャールズ・リー・レイの魂が未だに宿っていた、という展開です。
主演のアレックス・ヴィンセント(アンディ役)、クリスティーン・エリス(カイル役)、チャッキーの声を務めるブラッド・ドゥーリフなど、主要キャストが続投。
最終盤では、アンディとカイルが人形工場でチャッキーと死闘を繰り広げ、溶解プラスチックやエアコンプレッサーを駆使してついにチャッキーの撃退に成功します。
感想
『チャイルド・プレイ2』は、前作の直系続編として、ホラー映画ファンの期待を裏切らない直球のスリルと不条理さ、そして意外な可笑しみが詰まった作品だという印象です。
特に本作はアンディとカイルという「傷を抱えた子どもたち」の逃避行・サバイバル要素が前作以上に強調されていて、単に“怖い人形が襲いかかってくる”だけでなく、家族や信頼といったテーマも薄っすらと匂わせているところが印象的でした。
チャッキーの無敵ぶりには圧倒されます。壊されても燃やされてもよみがえる執念は、ホラー界のレジェンドにふさわしいパワフルさ。特に今回は溶接工場内での対決シーンがクライマックスです。
グッドガイ人形の大量生産ラインの中で次々と変形していくチャッキーの造形は、怖いけれどどこか“おもちゃの国の地獄絵図”のような不思議な滑稽さがあって、何度観てもクセになります。
また、アンディを一途に信じて寄り添うカイルのキャラクターがとても良かった。彼女が普通の大人ではなく、同じく家庭に恵まれない若者というのも味わい深いポイント。二人で事件を生き抜いていく姿は、従来のスラッシャー映画にはない、人間ドラマの面白さを際立たせてくれます。
ホラー演出に関しては、チャッキーのトリックプレイや突発的な襲撃シーンのテンポが良く、無邪気な見た目と残酷な行動のギャップに毎回ハラハラさせられました。
個人的に印象深かったのは、チャッキーが幼いアンディの精神を追い詰めていく場面。人間の大人を何人も簡単に殺害してしまうし、終盤の「プラスチック溶解→頭部爆発」というグロテスクだけどどこかコミカルなラストも、シリーズらしいユーモアが光っていました。
ストーリー自体は極めてシンプル。でも、ホラーとしての“怖さ”と“楽しさ”がしっかり両立していて、短い上映時間(約84分)でテンポよく盛り上げてくれるのが魅力です。
人形の恐怖というモチーフは時代を超えて新鮮で、チャッキーの唯一無二のキャラクター性が作品全体を引き締めている印象。殺人鬼を追い出して終わり、ではなく、トラウマを負った子どもたちがそれぞれ前を向いていくラストの余韻も良かったです。
シリーズ2作目として「ホラーのお約束」も盛り込みつつ、しっかり新しい見どころも作ってきた意欲作。「人形=子ども向け」という既成概念を徹底的に裏切る、“悪夢のようなおもちゃ箱”ホラー。改めてチャッキーの根強い人気の理由が分かる、完成度の高い一作だと思います。

