こんにちは、M&A会計士の澤村です。


配当還元法再び


結局のところDDM法というのは、DCF法の一種とも言えるわけで、DCFも配当還元もインカムアプローチの評価方法ですから、同じインカムに基づく評価であれば、企業価値は同じといえます。


税法上の配当還元法が低い評価になるのは、単に既に蓄積された内部留保を無視した上で、低い配当性向に基づいた配当実績をもとに還元しているためであって、理論上は、必ずしも配当還元=マイノリティ評価とは限らないということです。


ただ、実際のところ、配当金額を具体的に決定しうるのはマジョリティ株主であるため、支配株主が利益は内部にため込んで、配当は出来るだけ出さない方針であれば、実績ベースの配当還元=マイノリティ評価となるわけです。


非上場会社平均の配当性向がどのくらいかの統計が見当たらなかったので、あれですが、上場会社平均と比べて著しく低いと思います。


非上場会社は、資本市場で直接資金調達することができないので、内部留保による資金の蓄積というインセンティブが高いうえに、所得税法上、オーナー株主において累進税率が適用されるという影響も無視できないものと思われます。


さらに根本的問題として、非上場会社の大半が赤字で、配当そのものを実施していないケースが大半であるという点も指摘すべきでしょう。