こんにちは、M&A会計士の澤村です。
現実問題、中小企業の株式評価において、適切な計画に基づく将来キャッシュフローの算定などは困難であるうえに、相続が争族になりかねないような場面では、客観性の観点から受け入れられないでしょう。
そういう意味で、先日の記事で想定しているのは、「DCF」じゃなくて、「収益還元」なのでしょう。
収益還元というのは、簡易版DCFとでもいうべき方法でして、DCFみたいに毎年の収益(正確にはキャッシュフロー)を個々に見積もっていくんじゃなくて、一定の収益が永続するとの仮定で評価する方法です。
算式でいうと次の通りです。
一定の収益 ÷ 資本還元率
ま、行ってみれば、DCFでのターミナルバリュー計算における永久成長モデルと同じ計算式です。
DCFとの違いは、DCFが通常3~5年程度の事業計画が必要なのに対して、収益還元だと収益予想は一年分だけでいいという点でいいので、かなり簡便になります。
不動産鑑定なんかでは、最近は主流になっていますね。
不動産なんかの場合は、賃料収入というものは通常一定で推移しますので、見積もりやすいのですが、会社となると、またそれが難しいという点は残ります。
じゃあ、その一定の収益はどうやって見積もるのかというと、いろいろな方法がありますが、客観性が求められるであろう中小企業庁が想定するケースでは、たぶん、過去実績をベースにしたものになるのでしょう。
過去数期分を単純平均するか、加重平均するかなりの指針がでるんじゃないでしょうか?
となると、今度問題となってくるのが、資本還元率です。
これもどの%を使うっていうルールはなく、実務では、ROE平均を使ったり、WACC的な発想で設定したりといろいろな対応が図られていますが、どうなるんでしょうね?
期待利回りという意味ではWACCのほうがロジカルですが、そうなると今度は、株式投資リスクプレミアムは何%がいいとか、βの計算はどうするだとか、非上場もしくは小規模リスクプレミアムをどうするだとか、カネボウの事件を引き合いにするまでもなく、不毛な神学論争の世界になってしまうので、難しいかもしれませんね。
それとも相続税法上の類似業種比準法みたいに業種別に使用する還元率を中小企業庁あたりが、毎年計算して、発表するというのも一案かもしれません。計算ロジックは不毛な論争を避けるために、ブラックボックスにして・・・、ていうのは、さすがにこの情報公開時代にはそぐわないですかね?
難しいロジックはつかわらずに、配当還元法における配当還元率みたいに一律10%!
みたいなほうが、返ってスッキリするかもしれません。意外とこの数字も中小零細企業評価としては悪くない水準ですし・・・。