こんにちは、M&A会計士の澤村です。

今日もしつこく、HOYA PENTAXの合併の件

いやーこのディールって、非常に勉強になるんですよ。


大学かどこかで、M&Aの事例研究するならぴったりかもしれません。



ずっと前に本ブログで連載していたM&A会計シリーズで述べたとおり、企業結合会計基準というのは、合併も連結も同様の経済効果を生むため、会計処理は統一しようという発想から生まれたものです。


この原則から考えると、先日の日経の記事はおかしいのでは?と思ったのですが、昨日の詳細検討の結果、税務的な差異を要因として、「のれん」の金額に影響が出るという結果になりました。


では、他に差異が生じる要因がないかと考えたところ、もう一つ、意外なものが出てきました。


それが今回テーマとする「コーポレートブランド」です。



ブランドを中心とする無形資産の会計処理については、現在明確な基準がなく、無形資産の会計基準について検討中とされています。

じゃあ、現在ブランドの資産計上はできないのかというとそういうわけではなく、M&Aの取得原価の配分において、「法律上の権利または分離して譲渡可能な無形資産」に対する配分は可能とされています。ただし「その独立した価額を合理的に算定できる」必要があります。


コーポレートブランド、すなわち、その企業名自体のブランド(今回ならPENTAXという社名自体のブランド)に関しては、法律上の権利という要件は充足しているものの、企業と密接不可分なため、合理的な算定が困難であるとして、独立した資産計上はなされないのが通常です。


連結なら会社として存続するため、PENTAXのブランドは、「コーポレートブランド」となり、独立した資産計上は困難ですが、合併なら会社自体は消滅するため、PENTAXという名称自体のブランドが資産計上可能なのでは?




っと、思って、ここまで書いてきたのですが、企業結合会計基準をよく見ると、「コーポレートブランド」は、企業名だけじゃなく、事業名の場合も同様となっていますね・・・。

ってことは、合併であれ、連結であれ、やっぱり資産計上難しいんですかね?PENTAXって、強力なブランドだと思うんですが・・・どうなんでしょう?