こんにちは、M&A会計士の澤村です。
基本的にバリュエーションの問題は、icf事件と離れて議論したいと思っているのですが、バリュエーションでなく会計についてicf事件で気になる点があったので、とりあげます。
本件の逮捕容疑として、過大評価による株式交換比率の算定というのが挙げられているようですが、これは、偽計に当たるのか?という点です。
正直言って、証取法上の偽計の構成要件がよくわからないのですが、粉飾とはまた違うのですよね?
ライブドア事件の場合は、株式交換で発行した株式をライブドアのSPCが受け取って、その売却を利益計上したということで、資本取引を損益取引にしちゃったという会計上の問題があったのですが、本件はどうなんでしょう?
価格が不当ということならば、株式交換後連結BS上計上された「のれん」が過大評価であるという問題があるのですが、当時は企業結合会計導入前であって、株式交換での資本連結については、法的拘束力のない委員会報告レベルしかでていない状態だったはずです。
(ちなみに、単体上は、子会社化した株式の取得原価は、現存する純資産までとあって、のれんはふくまず)
委員会報告にしたがった処理であったら、連結上、株式交換は時価取引になって、差額がのれん(当時は連結調整勘定)として計上されることになります。
本件は、純資産がゼロに近くて、買収額が8億円ということらしいですから、委員会報告にしたがった連結調整勘定は8億円の計上になります。
のですが、該当年次のicfの連結調整勘定をみると36百万円しかありません。
同社は同年度に多数の再編をやっているので、ネットで負ののれん相殺された可能性もありますが、もし他も過大評価だったら、負ののれんが発生する可能性が低いような・・
と思って、注記をみたら持分プーリング法とありました。
てことは、やっぱり委員会報告処理じゃなくて、のれんの計上はなしです。
となると、会計上は過大評価の問題はなさそうです。
となると、偽計ってのは粉飾とは直接関係ないようですね・・・。
法務に詳しい方、ご教授ください。<(_ _)>