(続き)
統合比率は、きれいに1:1です。まあこれは、議決権比率が55:45となることを前提に、サヴィアンの日本法人の発行済み株式を決めているだけの話なんで、別にいいんですが、両社の価値比率って実際のところどうなんでしょう?
プレス見る限り確かに両社損益や人数規模は似てはいます。
純資産ベースで10倍以上の開きがありますが、投資銀行業務に純資産なんてかんけーねーといえば、かんけーねーといえなくもない。
いちおうGCAは、フーリハン・ローキーという米国での中規模M&Aをターゲットにするブティックに比率算定しているようです。
プレスによると
類似企業比準で 1.07~1.62
DCFで0.52~1.15
だそうです。
両方式がかぶるレンジで考えると1:1.1あたりになりますが、これで比率決めても55:45の範囲内に収まります。
じゃあいいのかっていうとなんか、なんか、ひじょーに微妙な感じがします。
まず第一に、これだけの情報じゃ比率の判断しようがない。特に相手側が海外の会社である上に、非公開会社であり、どんな会社かさっぱりわからない。
次に、サヴィアン側の第三者算定に関する情報がない。フーリハン・ローキーは向こうじゃメジャーのようですが、こんな微妙な判定の時GCA側の1社だけってのはどうなんでしょう?
さらに、GCAもサヴィアンもバリュエーションのプロの会社であり、算定人にどういうデータを出せばどういう比率がでるかということを、ひじょーーーに、よくわかっているという点も気になります。
一番気になるのが、
こんなプレスされて、監査法人がノーと言えるか?
という点です。(私ならヘソをまげちゃいそうです)
なんで、こんなにこだわるのだろうとおもって、のれんの額を試算したのですが・・・
パーチェス法だと、最長の20年で償却しても、のれんの償却で、両社統合後の利益が赤字になっちゃうんです!
本統合発表前日のGCAの株価終値が594,000円。
サヴィアン側に対する株式発行が151,299株。
なもんで、パーチェス法だと取得原価は594,000円×151,299株=89,872百万円
これに対して、サヴィアンの純資産は1,502百万円。含み損益なしとすると、
実に89,872-1,502=88,370百万円ののれん
最長の20年で割っても、年4,419百万円!
サヴィアン社の直近予想利益は1,691百万円、
GCAの予想利益を単純合算しても3,482百万円
なもんで、
パーチェス法だと9億円の最終赤字になっちゃうんです!
しかも単年度でなく、20年間もあるから、利益が増えないと、パーチェス法だとずーーーと赤字の会社になっちゃうわけです。
こりゃ、償却負担考えるとパーチェス法なら実行せんわな・・・。
別に私はアンチGCAじゃないですし、知っている人も何人かいるし
10年内に世界最大の独立系M&Aファームになって
20年内にブラックストーン級の独立系M&Aパワーハウスになる
という壮大な構想も夢があっていいと思うし、
肝心の比率自体もそんなにおかしくはないと思うし、
実行しない可能性があるなら、プレスに書く姿勢自体は正しいとは思うのですが・・・