さて、前回の続き、取得と持分の結合の判定における議決権比率の問題です。
議決権比率というのは、合併したそれぞれの株主が合併後の会社に対して有する議決権の比率のことを言いまして、これが何で決まるかというと合併比率できまるわけです。
じゃあ、合併比率が1:1ならいいのかというとそういうわけではありません。合併する会社の発行済み株式数というのは各社によって違うわけですから。
存続会社の発行済み株式数(以下発行済み株式数=議決権数の前提)と消滅会社の発行済み株式数×合併比率が概ね等しい必要があります。
具体的にどういうケースが当てはまるかといいますと、実は、両社の時価総額が概ね等しい会社同士の合併のケースです。
A社が存続会社、A社の株価が100円、B社の株価が50円、合併比率は、両社の株価の比率で決めるというケースで考えてみましょう。
合併比率を両社の株価で決めると言うことは、A社株価100円に対してB社株は50円ですから、B社1株にA社株式0.5株を割り当てということになります。
これだけでは、合併後の会社に対する議決権比率はわかりません。
では、A社発行済み株式数は1億株、B社発行済み株式数は2億株としてみましょう。
つまり、両社の時価総額、A社100円×1億株=100億円、B社50円×2億株=100億円と等しいというケースです。
合併後の会社に対するA社株主の議決権数はもともとあった1億株。B社株主に割り当てる株数は、B社1株につきA社0.5株を割り当てるのだから2億株×0.5=1億株。
これだと合併後の会社に対するA社株主、B社株主の議決権はともに1億株だから、議決権比率の判定でセーフとなります。
と、ここまで書いてするどい読者さんはお気づきでしょう
「合併比率って株価だけじゃ決まらないんじゃないの?」
そうです。合併比率が株価だけで決まるんだったら、第三者算定機関による比率算定は、いらないわけですよね。
通常、株価だけではなく、DCFとか類似会社比較とかいろいろな要素を考慮するわけです。
となると
「合併比率いじったら持分プーリングいけるのでは?」
という誘惑が出てくるわけです。
この問題については、次回