ざっと連結の基礎を話してきましたが、時価評価の話がまだ終わっていなかったので、今日は買収対象の会社に含み損益がある場合の連結仕訳について

あらためて説明するまでもないと思いますが、含み損益とは、帳簿価額と時価の差額のことです。たとえば、5年前に10億円で取得した土地が、今売却するとすれば15億円になるというケースでは、取得時の10億円が帳簿価額(いわゆる簿価)、15億円が時価で、5億円の含み益があるという状態にあります。

基本的に現在の企業会計の世界では、取得原価主義と呼ばれる考え方に基づき、含み損益は認識しないのですが、M&Aの時では認識することになっております。買収対象の会社の帳簿で10億円となっていても、時価が15億円なら、15億円で仕訳を切ることになります。

これは何も取得原価主義の例外ではなく、あくまで買収した時点で15億円なのだから、15億円で取得したのだという考え方に基づきます。

では、こうした含み損益がある場合のケースを、これまでと同様に仕訳で考えていきましょう。

α社は、β社の株主から発行済み株式の100%を取得

買収額は、120億円

α社の貸借対照表はこれまでと同じ(総資産は300、総負債は200、資本金60、剰余金40

β社の貸借対照表もこれまでと同じ(総資産は200、総負債は100、資本金50、剰余金50

α社の資産には10億円の含み益

β社の資産には、5億円の含み益

単体の仕訳はこうですね

β社株式 120 現金 120

次に、連結ですが、通常ならαとβの貸借対照表を単純合算するのですが、こうした含み損益がある場合は、先に含み損益を認識することになります。

まず注意点していただきたいのは、含み損益を認識するのは、あくまでβ社の分のみとなります。なぜなら取得されたのはβ社なので、α社の含み損益は取得原価主義の考えから認識しないためです。

そのためβ社の資産を5億円増やす必要があります。

β社の資産が5億円増えれば、その分純資産が増加するように思えますが、含み益がある場合、その資産を売却すると課税が生じるので、あらかじめ将来の課税に対応する分を負債として認識する必要があります。いわゆる税効果の考えでして、対応する繰延税金負債分だけ増加する純資産は減少します。

β社の実効税率を40%とすると、繰延税金負債は5億円×40%2億円ですね。

よって、β社の貸借対照表は次のように修正する必要があります。

総資産 205億円、総負債102億円、資本金50億円、剰余金53億円

ここでα社の貸借対照表と合算しますと

総資産=300+205505

総負債=200102302

資本金=60+50=110

剰余金=405393

で、投資資本消去が

資本金50   β社株式120

剰余金53

連結調整勘定17

となります。

結果としての連結貸借対照表は

総資産=300+205-120+17402

総負債=200102302

資本金=60+50-50=60

剰余金=4053-5340

となります。