もう何年前のことだろう。
カメラマンを目指して手探りで通いはじめた夜間の写真学校。
仕事を終えスーツ姿で向かうそこには、
高校を卒業してまだ間もない上京したばかりの学生や、
一念発起して写真家を志し脱サラした元エリートサラリーマン、
ギャラがすべて風俗サービスという悩みを抱えたかけ出しのカメラマンなど
雑多な人間が集まっていた。
そんななかにポツリとまだ高校生かと見まがうほどの可愛らしい女の子がいた。
スーツを見にまとう僕としては、良き人生の先輩、兄貴分のような存在で接するべきか
と多少なりとも意識していたが、その達観した人生感でズバリと安物のスーツ姿を切ら
れていたのを覚えている。
その彼女から今日SNSを通じて一通のメッセージが届いた。
「もしかしたら...元気ですか?」
そのメッセージを読んだとき、一瞬にしてそのときの光景、その時期の思い、心境、
いろんな記憶に色がよみがえった。
「カメラマンになりたい」
ビジネスかばんに忍ばせていた一眼レフ。重たかった。
今日も3本の撮影を終えすでに時計は午前1時30分。
走り続けていると気がつかない「なぜ自分は走っているんだろう」そんな疑問が頭の中をかけめぐる。
当時の夢は叶えられたのだろうか、描いていた夢はこれだったのだろうか。
キラキラ輝いていたあのときの自分に聞いてみたい。