椎間板ヘルニアーンの涙2【短編私小説】 | 『もの想い』macoto

『もの想い』macoto

詩人・エッセイストmacotoの作品を綴っています。
オリジナル作品の著作権はmacotoにあり、無断で他媒体などに掲載・転載・使用などは禁じております。
Copyright© macoto All Rights Reserved. since2009.02.02.

 

最初から読む方はこちらから

 

 

 

椎間板ヘルニアーンの涙2

【macotoの入院記録的な短編私小説】

 

 


 

 

無理をして運んだドル箱を

 

落とさないように痛みをこらえ、

 

パチンコ玉を流して数える機械

 

ジェットカウンターの脇まで運ぶと

 

私はそのまま仕事を続けた。

 

 

 

その間、妻は自分の音楽活動に必死で

 

家事もできないほど疲れていた。

 

お互いの気持ちも冷め、家庭内別居となり

 

部屋の掃除や洗濯は気になる私が

 

いつもやるようになった。

 

 

 

結婚して半年もすると

 

部屋の片隅には埃のタンブルウィードが

 

西部劇のように転がっていて、

 

洗濯かごにはサービス心が旺盛な

 

かき氷のように洋服が山盛りだった。

 

 

 

それを気にもしない彼女の言い分は

 

「まとめて洗うからいいでしょ!」

 

洗濯機にギュウギュウ詰めにすると

 

汚れも落ちにくいし、電気代も上がる

 

なにより洗濯機のモーターへの負荷で

 

寿命も縮まりエコじゃないので、

 

結局、洗濯物が山盛りになるのを

 

見かねて私が洗濯をすることになる。

 

 

 

一人暮らしが長かった私は、

 

洗濯や掃除はこまめにしないと

 

気持ち悪くて放っておけなかったのだ。

 

 

 

ふと妻のパンティーのシミを洗っている

 

自分の姿を少し上から俯瞰したときに

 

「おれ、なにやってるんだろう・・・」

 

ギリギリこらえていた糸がプツンと音を立てた。

 

 

 

私の方が十歳も年上なのに

 

大人になりきれていない

 

幼い子供のような心は

 

その生活に耐えることができず、

 

うつ状態になった私は

 

こんな生活になってしまい

 

若い彼女の人生を狂わせたことを

 

後悔し、自責の念に駆られ離婚した。

 

 

 

そして、腰の痛みを抱えたまま

 

収入のためには休む訳にもいかず

 

1ヶ月くらいだったろうか

 

休憩時間にはその痛みを和らげるため

 

休憩室の畳ばりの部屋に丸まって寝転がり

 

食事を摂る時間も惜しくて

 

休憩時間は腰痛回復に費やした。

 

 

 

その結果、腰痛は日に日に悪化し

 

耐えきれなくなった私は

 

そのパチンコ店を辞めることになった。

 

 

 

責任感が強い私は、そんな状態にも

 

かかわらず店に迷惑がかからないよう

 

規定通り「退職願」を出してから

 

さらに月末までの2週間あまり無理した。

 

思えばすぐ辞めていればよかったのだが…

 

 

 

・・・つづく

 

 

 

 

 

 

Copyright© macoto All Rights Reserved.

 

 

202102170000初投稿

 

あとがき

回想シーンが長くなってしまった😅

最近の記憶よりも15年前の記憶を

鮮明に思い出せる脳の不思議(笑)

 

「いま」を生きることを大事に

しながらも嫌な思い出は忘れず

私はまだ過去に縛られている

のだろうと思いました。

 

結婚・離婚したこともそれ以前に

あった哀しい出来事も抱えたまま

なのもきっと私のなかでは

時間が止まっていてあの頃から

成長しないまま、ただ年齢だけを

重ねてきてしまったのかもしれない。

 

なんて感傷に浸るのもほどほどに

して回想シーンから戻さねば😅

 

今月末までになんとか次の

アルバム『風に吹かれて』の

You Tube動画を公開しようと

順次、準備中している所です😊

 

ちょっとフォロワーさんの

ブログへのご訪問まで

余力が残るかわかりませんが、

温かく見守ってくれると嬉しいです🙇

 

 

 

過去の短編小説の目次はこちら

 

ブログの総合目次はこちら

 

初めての方は読んで下さい