実話 | 『もの想い』macoto

『もの想い』macoto

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駅からの帰り道



公衆トイレの入り口に



おじいちゃんが変な体勢で



横になっていた





一度は通り過ぎたものの



あの体勢で服装も小奇麗



時刻は深夜0時を回った頃



…ただの酔っ払いじゃなさそうだ





数分歩きながら考えて



1年ちょっと前の



父が倒れたときのことを思い出した





あのときは俺が一緒に居たから



すぐに救急車を呼んで



大事にはならなかったけど



もし一人だったらどうなってたろう?





そんなことが頭によぎって



急いでその場所へ戻ったら



さっきと同じ体勢でおじいちゃんは



横になって目をつぶっている





「おじいちゃん、だいじょぶ?」



トントンと肩のあたりを触って声を掛ける



すると少し間をおいて



「…うーん」と反応があり



大丈夫という感じで頷くおじいちゃん





「こんなとこで寝たら風邪ひくよ。どうしたの?」と聞くと



「ちょっと眠っちゃった」と言って



ゆっくりと起き上がる



「ほんとにだいじょうぶ?」と聞くと



「ありがとう」と言って立ち上がって歩いて帰っていった





初めはただの酔っ払いかと思ったけど



なんだか胸騒ぎがしたので



戻って声をかけたんだけど



きっとそのまま帰ってたら



後悔するような気がしたから



何事もなかったし



「ありがとう」という言葉が聞けて



ほっとした





無関心が一番怖い



なにかあってからじゃ



きっと後悔すると思うから



こういうことって大事だと思った








それにしても寒い夜だなぁ…



おやすみ




macoto