10月10日火曜17時。雨。マルセイユに近い海辺の田舎町。一人の男がバス停で降りた。その様子を窓から見ていたメリーは、母親からミニカーを修理に出すのを頼まれながら、友人のニコールのブティックに頼んでいた結婚式用の服を取りに行った。試着しようと着ている服を脱ぎ始めた時、窓から先ほどの男が覗いていることに気づく。男は赤いバックをぶら下げている。下着姿のメリーは慌ててカーテンを閉めるが、品定めをするような男のいやらしい目は気味が悪かった。
副操縦士の夫は、夜まで帰ってこない。家に戻ったメリーが風呂から上ったが、ストッキングの片方がない。どこへ行ったのか?不思議がるメリーを襲い掛かってきたのはあの男。彼女のストッキングを被っている。メリーは激しく抵抗するが、相手は大男。
悪夢のような時間が過ぎた。
目が覚めたメリーは警察に電話を掛けるが、恥ずかしくて何も言えないまま切ってしまった。忘れるしかない。だが、男はまだ地下室に潜んでいた。散弾銃を手にしたメリーは男に出て行くように頼むが、男が襲ってくるような素振りを見せたため思わず引き金を引いてしまう。
メリーは人を殺してしまったのだ。後は死体の始末をしなければならない。車で海岸まで運び海に捨てるメリー。
家に戻ると夫のトニーが帰っており、母親も訪ねて来ていた。母親はメリーの服の汚れと取れたボタンを指摘するが、メリーはなんとか誤魔化す事に成功する。
水曜正午。友人の結婚式に出たメリーに後ろの参列者から新聞が回ってきた。海岸で死体が発見されたニュースが載っている。メリーは結婚式の後のパーティーで新聞を回してきた男に声をかけられた。
「なぜ彼を殺した」
ドブスと名乗るこの男、何を知っているのか。
戸惑いながらもシラをきるメリー。「殺した」などと言える訳がない。
ドブスは厚かましく、ホテルの近くまで送れ、とメリーと夫のトニーの車に乗り込んでくる。この男、何者なのか?
木曜11時。メリーは新聞を買い漁ったが、海岸の死体の続報はない。母親の経営するボーリング場に行くと、営業前なのにドブスが勝手に入り込んでゲームをしている。警戒するメリー。ドブスは、男が持っていた赤いバックの行方を聞く。だが男が家に来たときにはバックはなかった。既に家捜しを済ませていたドブスは、預けるとしたら駅の一時預かりか、と呟く。
家中を探してもバックはない。駅事務所に行ったメリーは、預けてある荷物の中に赤いバックを見つける。これをドブズに渡せばもう私に用はないはず。バックを盗みだしたところで、出くわしたのはドブス。これ幸いとメリーはバックをドブスに押し付けて去ろうとする。そのバックからドブスが出して見せたのは、裏に自分たちの住所が書かれたトニーの写真。ドブスはトニーが浮気をし、さらに密輸に関わっているように匂わせてメリーを混乱させる。
そしてドブスは、ランチを食わせろ、とメリーの家に上りこんできた。無理やり大量のアルコールを飲まされたメリーだが、あくまでもシラを切り通す。ドブスはクルミを窓に向かって投げ、ガラスが割れたら恋をしている証拠だと、メリーをからかっている。
トニーの浮気相手がニコールだと知ったメリーは、金を払ってドブスを追い払おうとする。だがドブスは金を受け取らない。そしてバックには6万ドルが入っていたことを教える。酔わされたメリーは、自分が原因で両親が離婚したことを告白する。メリーが負った心のキズであった。メリーはファザコン気味のまだ幼さの残る女なのであった。
金曜10時。目を覚ましたメリーの前に母親がいた。ミニカーを修理に持って行ったか、と母親がメリーの車のトランクを開けて確かめると、ミニカーの箱の中に赤いバックがあった。中には6万ドルの札束。駅にあったバックはニセモノ。メリーの口を割らせるためのドブスが仕掛けた罠だったのだ。
メリーは偽のバックを手にドブスのホテルに行く。生憎、留守だったが部屋に残っていた軍服からドブスが米軍の大佐だと知る。ドブスは軍から男が盗んだ6万ドルを追っていたのだ。
海岸から発見された死体の殺人犯として、その情婦が逮捕された。現場検証を見に行ったメリーは、自分の代わりに無実の罪で女が逮捕されたのが堪らない。夫の友人の刑事から逮捕された女の名前と勤め先を聞いたメリーは、彼女を救うため彼女が住んでいたパリに飛ぶ。
メリーが辿りついた女の仕事場は高級娼婦の宿であった。女の姉という娼婦に会うが、警戒され宿の経営者たちに捕らえられてしまう。なぜ嗅ぎ回るのか、男たちに拷問されそうになるが、ドブスが助けに来て事なきを得る。海岸の男は1年前に死んでおり、メりーが殺した男ではなかった。これもメリーの口を割らせるためにドブスが誘導した勘違いであった。
とにかくバックと6万ドルを始末しなければならない。メリーは6万ドルを入れたバックを持って男を捨てた海岸に来た。ドアを開けようとしたメリーの腕を掴む者がいる。ドブスである。あの夜、メリーが殺したマック・ガファンと同じように後部座席に隠れていたのだ。バックを持っていれば、あの男が来たことがバレてしまう。慌ててバックを窓の外に捨てて逃げさるメリー。
だがまだ最大の証拠が残っていた。
まだ幼い若妻を悪夢から救うため、ドブスは証拠のボタンをメリーに返す。
なぜドブスは犯行を見逃したのか。
メリーとの別れ際、ドブスが背中越しに投げたクルミは、殻が割れずにガラスを割ってしまう。
粋ですね。ブロンソン。
☆☆☆☆☆・・・必見!!