温故知新な酒の会その1@お燗とvinめし くいぜ | ときどき土耕

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月3,4回のお世話で育てる野菜と、食べ物やお酒いろいろ

2月4日。立春の日曜日も早朝からガッツリ仕事でした。

帰宅して、すぐに名古屋へ出発・・・名古屋の酒友のお店で、たぶん二度と飲めないお酒が一堂に揃って飲める会があるので、往復9000円の交通費を使って参加しました。

 

 

*sake-timeのこの記事、最後の写真の間違いを探してみて下さい(笑)

 

 

 

酒専用棚の中二段にギッシリと詰まった、レアな熟成酒たち。

特に上段の辨天娘は、私にとって思い出がありすぎるお酒ばかり。

 

 

でも最初は、残量もごくわずかの旭菊(福岡)純米大吟醸 元信から。

1合あるかないかを8人ほどで分けるので、常温を舐める程度でした。

 

 

30年近く前のお酒。伝説の杜氏、田中元信さんはお会いすること叶いませんでしたが、お酒を飲むのはこれで2度目でしょうか。

*下のブログを読むと、このお酒のレア度がわかります。

 

*14年前に書かれた、知り合いの酒屋さん(今もあるのかな?)のブログ。旭菊の蔵が火事になった年でもありました。

 

最初に味わったのは、東京のお酒の会に参加した15年以上前でしょうか。その時の打ち上げでは、同じく伝説の坂本杜氏(鷹勇)と同席できたのが夢のようでした。

 

 

とりあえずの酒肴セットは、卵焼き、砂肝のコンフィ、なばなの煮物(オリーブオイルとニンニクと塩)、牛蒡の酒粕煮。

砂肝のコンフィと牛蒡の酒粕煮は、くいぜでおなじみのアテです。

お酒と酒肴セットで会費5000円は、お酒の価値を知る者にとっては超破格値。お酒1種類30mlで1000円でも安いくらいです。

他に、追加オーダーで数種類の料理が注文できますが、まずはここからスタート。

 

 

元信の次からは、辨天娘を飲み続けました。

まずは初年度、休造から復活した平成14年度、もろみ2本だけ仕込まれた純米吟醸酒の1本から。

 

 

20年以上前のお酒は、「酒は純米 燗ならなお良し」の名言で知られる上原浩先生が最後に直接酒造りを指導された、中島杜氏が初めて醸しました。

それまで酒造経験がなかった中島杜氏は、上原先生の著書を読み込み、忠実に再現。まだ設備も現在のように整っていない環境で(麹室はユニットバス、酒母を加温する暖気樽は3リットルのビア樽でした)、試験醸造レベルの造りで生まれたお酒は、予想通りガチガチに硬い味でした。

 

 

長期熟成にも耐えうる強さを秘め、5年後、10年後に味わいつつも、ピークはまだ先かな?と感じました。

澱たっぷりの茶色くなったお酒を常温で味わうと、旨味と甘味が凝縮された、完全に解脱した熟成酒でした。

それをお燗して味わえば、隠れていた酸が蘇り、飲み頃真っ盛りのひたすら旨い燗酒になりました。

これを飲めただけでも、名古屋へ来た甲斐があります!

 

 

私が蔵のお手伝いをさせてもらった平成16年度のお酒は、残念ながらありませんでしたが、蔵の田んぼ仕事(田植え、草取り、稲刈り)を少しだけさせてもらった、平成17年度の五百万石のお酒がありました!

 

 

稲刈りを終えた日の夜、激痛に襲われて(尿路結石でした)蔵の皆さんにご心配とご迷惑をおかけしたことを思い出します。

あの時以来、毎日2リットルの水を飲むように習慣づけたので、おかげさまでその後結石は再発せず、日々旨い燗酒を楽しんでます。

 

 

平成17年度は、青ラベルが生まれた年でもあります。

等外米を使用するため、純米酒と名乗れない純米造りのお酒。

 

 

現在では数多くの蔵が造ってますが、この時には画期的な試みだったように思います。

お米一粒まで大切に扱う蔵の姿勢を体現した素晴らしいお酒。

それでも、この年でまだタンク10本しか仕込まれてなかったのです。

初年度の2本から、5本、7本と無理のない増石をしつつ、4年目でようやく大阪や東京などで認知されるようになった頃を思い出します。

 

 

酒肴セットがなくなりそうになってきたので、牡蠣の旨煮と。

 

 

ソーキの煮込みを頼みます。

このソーキが大変良い仕事をしてくれて、弁天娘の熱燗との相性が素晴らしく、隣でご一緒していた某蔵元の方と、ソーキ~熱燗のエンドレス沼にはまってしまいました。

 

 

17年度の純米大吟醸は、特にレア度が高く、ここで味わえるのはまさに幸運です!

 

 

この頃は山田錦も蔵元栽培米でしたが、19年度~22年度は糸白見の田んぼで栽培された山田錦が使われていて、それを使って醸された純米吟醸酒は特に絶品でした・・・が、今回はそれは見当たらずでした。

当時は必要性も問われていた純米大吟醸酒。20年近くを経て、素晴らしく旨い、そして気品さえ感じるお酒になっていました。

もちろん熱燗で味わいましたが、ため息しか出ませんでした。

 

次は6年飛んで、平成23年度の辨天娘について書きますが、長くなるので次回へ続きます。