① 葬式費用
国税庁 No.4129
第1問
Q.葬式にかかったお金なら、全部相続財産から引いていい?
A.いいえ。
なぜ?
相続税では、亡くなった人の財産を相続したときに、相続人などが負担する一定の債務や葬式費用を、相続財産から差し引いて計算する仕組みになっています。
ただし、
「葬式に関係していれば何でも葬式費用」
というわけではありません。
法律上、控除できる葬式費用として認められる範囲が決まっています。
実務では
領収書を見たら、
「葬式に使ったか?」
だけではなく、
「相続税法上、葬式費用として控除できる種類か?」
を見る。
第2問
Q.火葬・埋葬・納骨の費用は控除できる?
A.できます。
なぜ?
これらは、亡くなった人を葬るために直接必要になる費用だからです。
国税庁は、火葬・埋葬・納骨にかかった費用を葬式費用として挙げています。
実務では
「葬式代」という名前の領収書だけが対象ではありません。
火葬代
埋葬費用
納骨費用
なども確認する。
第3問
Q.遺体や遺骨を運ぶ費用は?
A.控除できます。
なぜ?
亡くなった人を葬るために必要となる、直接的な費用だからです。
そのため、遺体や遺骨の回送費用は葬式費用として扱われます。
実務ポイント
例えば、
「病院から葬儀場まで」
「葬儀場から火葬場まで」
など、実際に何のための運搬費なのかを確認する。
第4問
Q.お通夜の費用は控除できる?
A.できます。
なぜ?
お通夜は通常、葬式に伴って行われるものだからです。
国税庁も、葬式に通常必要な費用として、お通夜の費用を挙げています。
つまり、
「葬式本番だけ」
ではなく、
「通常の葬式を行うために必要となる一連の費用」
も含まれるという考え方です。
第5問
Q.お寺への読経料などは?
A.控除できます。
なぜ?
葬式の際に、読経などをしてもらうために寺院などへ支払う費用は、葬式を行うために通常必要となる費用だからです。
ここで大事なのは、
「お寺に払ったお金だから全部OK」ではない
ということ。
あくまで葬式に関する費用であることが重要です。
第6問
Q.死体の捜索費用は控除できる?
A.できます。
なぜ?
亡くなった人を発見し、葬るために必要となった費用だからです。
国税庁は、
死体の捜索費用
も葬式費用として挙げています。
さらに、死体や遺骨の運搬費用も対象になります。
第7問
Q.香典返しの費用は控除できる?
A.できません。
なぜ?
ここが重要です。
香典返しは、葬式そのものを行うために必要な費用ではなく、
受け取った香典に対して返礼するための費用
だからです。
したがって、葬式費用として相続財産から控除することはできません。
覚える考え方
葬式をするための費用
→ 控除対象になり得る
葬式後のお返し
→ 葬式費用ではない
第8問
Q.墓石を買ったお金は控除できる?
A.できません。
なぜ?
墓石は「葬式を行うための費用」ではなく、
墓という財産・設備を取得するための費用
だからです。
同じように、墓地の購入費用なども葬式費用には含まれません。
ここが実務で大事
「死んだ人のために使った」
というだけでは足りません。
何のために支払ったお金なのか
を見る必要があります。
第9問
Q.初七日の法事の費用は控除できる?
A.原則として葬式費用には含まれません。
なぜ?
初七日は、葬式そのものではなく、
葬式が終わった後に行われる法事
だからです。
つまり、
葬式
↓
葬式に通常必要な費用 → 控除
と、
法事
↓
葬式費用ではない → 控除不可
を区別します。
② 相続人
国税庁 No.4132
第10問
Q.配偶者は相続人になる?
A.はい。配偶者は常に相続人です。
なぜ?
民法では、配偶者は相続人として必ず相続する立場に置かれています。
ただし、配偶者以外の人については、
子
↓
直系尊属
↓
兄弟姉妹
という順位があります。
だから、
「配偶者+誰が相続人なのか」
を最初に確認します。
第11問
Q.配偶者以外で最初に相続人になるのは?
A.子です。
なぜ?
民法では、子が第1順位の相続人だからです。
したがって、
亡くなった人に子がいる場合、
親や兄弟姉妹が先に相続人になるわけではありません。
第12問
Q.亡くなった人の子が先に死亡していたら、その子の子=孫は?
A.一定の場合、代わりに相続人になります。
なぜ?
これを代襲相続といいます。
本来相続するはずだった子が、一定の理由で相続開始前に死亡している場合などに、その子の子が代わって相続する仕組みです。
イメージは、
祖父
↓
本来なら父が相続
↓
父が先に死亡
↓
孫が代わって相続
です。
第13問
Q.子がいない場合、次に誰が相続人になる?
A.直系尊属です。
代表例は、
父・母
です。
なぜ?
子が第1順位だからです。
その第1順位の相続人がいない場合に、第2順位である直系尊属が相続人になります。
第14問
Q.父母と祖父母が両方生きていたら、誰が相続人?
A.より近い世代である父母が優先されます。
なぜ?
直系尊属には順位があり、
親等の近い者が優先
されるからです。
例えば、
父・母
祖父・祖母
が全員いるなら、祖父母まで相続人になるわけではありません。
第15問
Q.子も父母などの直系尊属もいなければ?
A.兄弟姉妹が第3順位の相続人になります。
なぜ?
相続人には順位があるからです。
順番は、
①子
②直系尊属
③兄弟姉妹
です。
先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になりません。
第16問
Q.兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合、その子は?
A.一定の場合、代襲相続人になります。
なぜ?
兄弟姉妹についても、一定の場合にはその子が代わって相続する仕組みがあるからです。
つまり、
兄弟姉妹
↓
先に死亡
↓
その子=甥・姪
という形です。
第17問
Q.内縁の夫・妻は相続人?
A.民法上の相続人にはなりません。
なぜ?
法律上の相続人として規定されている「配偶者」は、法律上の婚姻関係にある配偶者を指すからです。
したがって、
一緒に暮らしている
↓
自動的に相続人
ではありません。
ここは「実際の生活」と「法律上の相続人」を分けて考えるところです。
第18問
Q.相続放棄した人は、相続人として扱う?
A.相続については、初めから相続人とならなかったものとされます。
なぜ?
民法939条で、相続放棄をした者についてそのように定められているからです。
したがって、相続人を計算するときには、
「相続放棄した人をどう扱うか」
を別途確認する必要があります。
第19問
Q.配偶者と子が相続人なら、法定相続分は?
A.配偶者1/2、子全員で1/2です。
なぜ?
民法900条で定められているからです。
例えば子が2人なら、
配偶者 1/2
子2人 1/2
なので、
子1人=1/4
子1人=1/4
です。
第20問
Q.配偶者と父母などの直系尊属なら?
A.配偶者2/3、直系尊属全員で1/3です。
なぜ?
これも民法900条で法定相続分が決められているからです。
例えば父だけが相続人なら、
配偶者 2/3
父 1/3
です。
第21問
Q.配偶者と兄弟姉妹なら?
A.配偶者3/4、兄弟姉妹全員で1/4です。
なぜ?
兄弟姉妹は第3順位だからです。
法律上、配偶者の法定相続分が、
子の場合 → 1/2
直系尊属の場合 → 2/3
兄弟姉妹の場合 → 3/4
と増えていきます。
第22問
Q.遺産は必ず法定相続分どおりに分ける?
A.いいえ。
なぜ?
法定相続分は、
「必ずこの割合で分けなさい」という絶対的な分割割合ではない
からです。
相続人全員で遺産分割について合意すれば、法定相続分とは異なる割合で分けることもできます。
例えば
法定相続分が、
妻1/2
子1/2
だったとしても、
遺産分割協議によって、
妻が全部取得
とすることも可能です。
ただし、税務上は別途、配偶者の税額軽減などの制度や申告期限などを確認する必要があります。
③ 土地・家屋の評価
国税庁 No.4602
第23問
Q.相続税では土地をどうやって評価する?
A.原則として、土地の「地目」ごとに評価します。
なぜ?
土地は全部同じ価値ではないからです。
例えば、
宅地
田
畑
山林
では、利用目的も価値の考え方も違います。
そのため、まず、
「この土地は何の土地なのか?」
を確認して評価します。
第24問
Q.土地の評価方法は大きく何と何?
A.路線価方式と倍率方式です。
なぜ?
土地の場所によって、
路線価が設定されている地域
と、
路線価ではなく倍率を使って評価する地域
があるからです。
だから実務では、
まずその土地の場所を確認
↓
路線価地域か?
↓
倍率地域か?
を判断します。
第25問
Q.路線価方式とは何?
A.道路に付けられた「1㎡あたりの価格」を基に土地を評価する方法です。
なぜ?
土地は道路に面しています。
そこで、
「この道路に面した標準的な宅地なら、1㎡いくら?」
という基準を道路ごとに設定して、それを土地の評価に利用します。
基本的なイメージは、
路線価 × 各種補正率 × 面積
です。
ただし、実際の評価では土地の形状などに応じた補正を確認します。
第26問
Q.倍率方式では何を使う?
A.固定資産税評価額に評価倍率を掛けます。
なぜ?
倍率地域では、路線価を直接使うのではなく、
すでにある固定資産税評価額
を基礎にして、地域ごとに定められた倍率を掛けて評価します。
つまり、
固定資産税評価額 × 評価倍率
です。
第27問
Q.家屋は相続税ではどう評価する?
A.原則として固定資産税評価額で評価します。
なぜ?
国税庁の財産評価では、家屋について、
固定資産税評価額 × 1.0
として評価することになっているからです。
つまり、
固定資産税評価額が1,000万円
↓
1,000万円 × 1.0
↓
相続税評価額1,000万円
ということです。
⭐ 最後に「理由」で整理
この3つは、バラバラに暗記するより、なぜそういうルールなのかで整理するとかなり分かりやすいです。
葬式費用
相続税を計算するとき、亡くなった人の葬送のために通常必要となる一定の費用は、相続財産から控除する。
だから、
火葬・埋葬・納骨
遺体・遺骨の運搬
お通夜
読経料など
は対象。
一方、
香典返し
墓地・墓石
法事
は、葬式そのものに必要な費用とは区別されるため対象外。
相続人
法律が「誰が相続人になるか」を順位で決めている。
だから、
配偶者+子
↓
子がいなければ配偶者+直系尊属
↓
それもいなければ配偶者+兄弟姉妹
となります。
土地・家屋
相続税では、財産を一定のルールで評価する必要がある。
だから土地は、
路線価方式
または
倍率方式
家屋は原則、
固定資産税評価額 × 1.0
という評価方法になります。
📚 根拠
国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
民法887条、889条、890条、900条、939条等
相続税法13条等
財産評価基本通達