
ある日の会社。
机の上には、
通帳
納品書
請求書
売上集計表
が山積み。
新人
「うわぁぁぁぁ!!」
先輩
「どうした」
新人
「売上が合わないんです!!」
先輩
「どれどれ」
新人
「ちゃんと通帳見ました!」
先輩
「ほう」
新人
「入金されてる!」
先輩
「うむ」
新人
「だから売上!!」
先輩
「早い」
新人
「えっ」
その瞬間――
窓を突き破って黒い猫が入ってきた。
会計猫
「フッ…また“入金即売上マン”か」
新人
「誰ぇぇぇ!?」
会計猫
「私は会計猫」
新人
「窓弁償してください」
会計猫
「そんなことより売上だ」
新人
「いや大事でしょ」
会計猫は通帳を指差した。
会計猫
「この入金、 本当に当期売上か?」
新人
「え?」
会計猫
「例えばだ」
パターン①
3月納品
5月入金
新人
「5月売上!」
会計猫
「違う」
新人
「またぁ!?」
会計猫
「3月に商品渡した」
新人
「はい」
会計猫
「つまり3月売上」
新人
「でも金ないですよ!?」
会計猫
「だが客は商品を使ってる」
新人
「た、確かに…」
会計猫、ホワイトボードに書く
売上 ≠ 入金
新人
「うわぁぁぁ!! 急に難しい!!」
会計猫
「簡単だ」
商品渡した
↓
売上
金もらった
↓
回収
新人
「別物!?」
会計猫
「別物」
新人
「えっじゃあ通帳は?」
会計猫
「“金が動いた” しか分からん」
新人
「でも摘要に ○○商事って書いてます!」
会計猫
「ほう」
新人
「なら売上ですよね!?」
会計猫
「“誰から” は分かる」
新人
「はい!」
会計猫
「だが、 “いつの売上” かは分からん」
新人
「えっ」
会計猫、例を出す
5月入金
摘要: ○○商事
会計猫
「さて問題」
これは…
3月売上の回収?
5月売上?
前受金?
借入金?
新人
「わかんねぇぇぇ!!」
会計猫
「だから納品書を見る」
新人
「なるほど!」
会計猫、さらに説明
納品書
→ いつ売上?
請求書
→ いくら請求?
通帳
→ いつ入金?
新人
「全部役割違う!!」
会計猫
「ようやく分かってきたな」
新人
「じゃあ昨日やった作業って…」
会計猫
「言ってみろ」
新人
「通帳を見て…」
会計猫
「うむ」
新人
「期中入金あり!」
会計猫
「うむ」
新人
「納品書あり!」
会計猫
「うむ」
新人
「なら預金売上!」
会計猫
「よし」
新人
「でも!」
会計猫
「来たな」
新人
「納品書の日付は期中だけど、 入金は翌月以降!!」
会計猫
「それは?」
新人
「掛売上!!」
会計猫
「素晴らしい」
新人
「やったぁぁぁ!!」
だが次の瞬間。
ドサァッ!!
大量の納品書。
新人
「うわぁぁぁぁ!!」
会計猫
「本番はここからだ」
新人
「まだあるの!?」
会計猫
「売上集計表と突合する」
新人
「嫌な言葉ランキング1位!!」
会計猫
「納品書あり」
新人
「はい…」
会計猫
「だが売上集計表にない」
新人
「えっ」
会計猫
「つまり――」
売上漏れ!!
新人
「ギャアアアア!!」
会計猫
「足せ」
新人
「はい…」
数時間後。
新人
「で、できた…」
会計猫
「売上は合ったか?」
新人
「はい…」
会計猫
「よくやった」
新人
「でも何でこんな面倒なんです?」
会計猫は静かに言った。
「税務署は、
“本当はいつ売上だったか” を見るからだ」
新人
「なるほど…」
最後に会計猫まとめ
通帳
→ 金が動いた
納品書
→ 商品渡した
請求書
→ 金額確定
つまり
「金が入った」
だけではダメ。
「いつ仕事が終わったか」
を見る。
それが法人の売上計上。
その瞬間。
奥の棚から新たな段ボール。
「未整理資料 5年分」
新人
「イヤアアアアアア!!」
― 完 ―