少し間があきましたね💦
獣医師の穐山です。
当院では11月から年末にかけて健康診断の血液検査でキャンペーンを行っています!(ネコちゃんでもOK♪)
人でも、「健康診断で〇〇が引っかかってた。。。」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は私も尿酸値で引っかかりました(笑)
イヌやネコは人間の4倍近いスピードで歳をとるとも言われています。また、物言えぬ生き物なので普段の生活では元気そうでも実は。。。なんてことも多いです。
大切な家族の健康のため、年に1回以上の血液検査を含めた健診をオススメしていますので
「そういえば血液検査なんてしばらくしてないな〜」と思った飼い主様!ぜひこの機会に来院をお待ちしています!
そこで今回は、特にイヌで遭遇することの多い「肝臓の数値が高い」について少しお話させていただきます。
「肝臓」は人間と同じくイヌでももちろんあります。
その機能はタンパク質などの栄養素の合成や、消化酵素を作る、薬や毒素の分解、体温維持などなど多岐にわたります。
また、付属している「胆嚢」という臓器とも深く関わっており胆嚢の病気でも血液検査では肝臓の数値が高くなります。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、肝臓病が体調に影響するときにはすでに末期。。。となることが多いです。
そんな肝臓や胆嚢の以上をいち早く発見できる検査の一つが「血液検査」です!
検査可能な項目も多く、ALP、AST、ALT、GGT、TBIL・・・などなど(人と同じ!)検査結果で目にしたこともあるのではないでしょうか?
では、「うちの子、元気なんだけど健康診断で肝臓の数値が高いって言われちゃった。」というときにどんなことが考えられるのでしょうか??
今回は特に多い原因をご紹介します。
① 食事による影響
人の健康診断を受けるとき「前日の夜9時以降は食事を控えてください。」と言われることが多いと思います。
先程書きましたが、肝臓では体の栄養素の合成を行っており、その材料は腸から吸収された食事によるものが多いです。すなわち食後は腸が活発に働いている、言い換えれば肝臓に負荷がかかるため肝臓の数値が上がりやすいんです!
飼い主様との生活リズムや性格上、ご飯を抜いて検査に望むことが難しい場合もあると思いますが、検査まえは食事の時間に気をつけていただけるといいですね🌟
ご飯を抜いて検査をしてもやっぱり数値が高い場合には、下記のような疾患の可能性が出てきます。
② 空砲性肝障害
あまり聞き慣れないかもしれませんね。これは肝臓の中に細胞レベルで脂肪や糖がこびりついてしまう状態です。加齢により起こることもあれば、犬種によりなりやすいものもあります。
軽度〜中程度では健康上問題にならないことも多いですが、重度になると肝不全の原因となるため食事療法などでコントロールすることが重要となります。
「細胞レベル」の変化であるため血液検査だけでは確定診断できず、より詳しい検査が必要となります。
(正常な肝臓組織写真)
(空砲性肝障害の肝臓組織写真)
③ 胆泥症・胆嚢粘液嚢腫
人では胆嚢というと胆嚢炎や胆石といった疾患を聞いたことがあるかもしれません。もちろん、イヌやネコでも同じ疾患があります。
しかし、イヌで多い胆嚢の疾患は「胆泥症」です。胆石と似ていますが、石ではなく泥が溜まってしまう状態です。これは、肝臓で作ってる胆汁という消化酵素がドロドロに固まってくることが原因です。
胆泥症も年齢とともに貯まることが多いですが、少量では多くの場合で問題となることはありません。
しかし多量に貯留すると、肝臓内での胆汁の流れが悪くなり肝臓に負担となってしまったり、胆石となり詰まってしまうこともあるんです。
また、さらに進行すると泥ではなくゼリー状の粘液が溜まってしまう「胆嚢粘液嚢腫」となる場合もあります。この場合、さらに胆汁の流れは悪くなり最悪の場合、胆嚢が破裂する可能性もあります。
治療には食事療法やお薬を使うことが多いですが、手術が必要な場合もあり胆嚢破裂の場合は急変したり亡くなってしまう危険の高い疾患です。
(正常な胆嚢 超音波画像)
(胆泥症 超音波画像)
(胆嚢粘液嚢腫 超音波画像)
もちろんこの他にも
・肝炎
・胆嚢炎、胆管炎
・肝臓腫瘍
など、肝臓の数値が高くなる疾患はたくさんあります。
上記の胆嚢粘液嚢腫のように腫瘍でなくとも命に関わる危険を秘めた疾患もありますので、やはり早期発見・治療が大事になってきます。
繰り返しにはなりますが、イヌやネコは言葉を話さないため体調の変化に気づきにくいです。この機会にペットの血液検査が健康管理の手助けになると嬉しいですね。