世界狂犬病デー!!
獣医師の穐山です。昨日、9月28日は「世界狂犬病デー」です。これはヒトおよび動物ににおける狂犬病の影響やその予防法などについて人々に知ってもらうことを目的に定められており、世界的に各国でイベントなどが開かれます。日本は世界でも数少ない狂犬病清浄国(狂犬病が撲滅された国と地域)で、これは200以上の国や地域のなかでわずか6の国や地域しかありません。清浄国:日本、ハワイ、グアム、フィジー諸島、オーストラリア、ニュージーランド、アイスランドみなさんは狂犬病がどれくらい危険な病気かご存知ですか??日本では「狂犬病は犬の病気」と思われがちですが、実は感染する動物は「全哺乳類」で、ヒトへも感染します。主な感染経路は感染動物の唾液からで、噛み傷などから伝播します。つまり!「愛犬と遊んでいて、甘噛みされたとき少し傷ができた」「擦り傷や切り傷がある場所を愛犬になめられた」などで感染することもありえるんです。さらに、感染動物はヒトを含めて致死率が99.99% 以上でほぼ確実に死に至ります。治療法はなく、発症したペットなどの動物は殺処分しか方法はありません。しかし、この病気はワクチンでの予防が可能な病気なのです!そのため、日本では法律で「犬の狂犬病予防接種を飼い主の義務」としているのです。ただし、この法律の目的で大切なことは「犬を狂犬病から守る」のではなく、「ヒトへの感染を防ぐ」ためということです。現在、残念ながら日本国内の狂犬病予防率は低下傾向にあるとされています。もし愛犬が狂犬病予防接種を受けていない場合、万が一外国から狂犬病ウイルスが侵入し、愛犬に感染する可能性が高いことはもちろん飼い主のみなさまや近隣の方々にも危険が及ぶのです。(※もちろん、未接種は犯罪ですよ!!)今回、私から皆さんへ改めて知っておいていただきたいのは「唾液から感染します!噛み傷とは限らない!」ということです。おとなしいワンちゃんでも、好きな飼い主さんの手足や顔をなめることはあると思います。そこに、できたばかりの切り傷があったら。。。アウトかもしれませんよ?(※現状ではわかりませんが、万が一狂犬病感染犬は動物病院での診察を断られることもありえます。)ちなみに、海外ではコウモリのいる洞窟に入った人が空気中に漂う霧状のコウモリの唾液から狂犬病に感染したケースもあるそうです。法律の問題ももちろんありますが、「狂犬病は日本にないから」、「うちの子は人を噛むような子じゃないから」「うちの子は持病があるから」と狂犬病を打たなくていいか相談を受けることがありますが、現在、日本が狂犬病清浄国でいられるのは過去にしっかりと予防を義務化してくれていたからこそなのです!これからも動物たちと人間がともに家族として楽しく生きていくために、毎年の狂犬病予防接種を忘れずに行ってください。今回は狂犬病についてのお知らせとお願いでした。