やっとのことで私の手助けを受け入れるようになったYさん(88歳男性)。
親戚が以前使っていたという手押し車があるのに、一度も使ったことがありません。
これを使って歩く練習をしましょうと誘っても、「いやぁまだいいよ」と断られます。
ひとりで歩くことが難しくなっている姿を見られたり、知られたりすることは自尊心が傷つくから、嫌なのです。これはYさんに限ったことではなく、誰もが持っている自尊心がなせる業なのだろうと思います。
でも、この自尊心が壁となって手押し車を使えないまま、再び転倒するリスクが高まることは、できることなら避けたいですね。
だからこそ、周りからの声掛けと、さらに一歩踏み込んだアプローチが必要なんじゃないかな~、と思ってます。
「そんなこと言わないで、私と一緒に歩きましょうよ」
「手押し車を使うと、足を高く上げて、前に大きく踏み出せるから、いい訓練になりますよ」
「それに、二人で歩けば訓練だとわかるから、周りの人たちも「ああ頑張ってるな」って思ってくれるんじゃないかな~」
やっと「じゃぁやってみようか」という気持ちになってくれました。
それでも「あっちは知り合いが多いから、こっちのコースにしよう」と、見られたくない気持ちは根強いようです。
でも、ここまでくれば一安心。さらに歩きながらもう一押しです。
「どう? 普段より大きく踏み出せるでしょ。」
「手押し車を使っている人たちは、こういう訓練をしている人たちなんだよ。」
自尊心という厄介な壁を、自分だけで乗り越えるのは難しいようです。
表現が適切かわかりませんが、一緒に「なだめすかして」あげることが大切なのではないかと思います。
一緒に散歩に行くようになってから、会うと必ず
「いやぁ、おかげでなかなか調子がいいんだよ。」と言ってくれます。
でもまだ一人で歩いている時は手押し車を使ってくれていないようです。。まぁ少しずつですね。
頑張ってもう少し長く歩けるようになったら、スギ薬局まで歩いて行きましょう!
一緒に買い物に行くことを目標にして、訓練散歩を続けることにしました。