RIDING SPORT 2025年10月号【電子書籍】[ 三栄 ]
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2025 FIM世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会
2位
YAMAHA RACING TEAM/中須賀克行/ジャック・ミラー/アンドレア・ロカテッリ 組/YZF-R1
KRTにV5を阻まれた2019年以来のファクトリー参戦を表明したヤマハ。ようやく帰って来てくれてホンダVSヤマハのファクトリー対決が観られる大会になった。
70周年記念として「ヤマハファクトリー」ではなく「ヤマハレーシングチーム」とした。略すと「YRT」で、ヤマハ世界耐久チームの「YART」と一文字違いで紛らわしい!
ヤマハレーシングチーム サイン寄せ書き
ヤマハブースでのトークショー
参戦発表があった時、中須賀選手と他2名はMotoGPとWSBKから招聘するとだけあり、発表をじらされた。「誰が来るのか?」と話題になった。
ハルクプロから8耐参戦経験があるジャック・ミラー選手とWSBKで優勝したばかりのアンドレア・ロカテッリ選手が選出された。
WSBKのヤマハの次期エースのロカッテリ選手を呼んでくれるとは嬉しい。
中須賀克行選手
プライベートテストで転倒し、8耐出場が危惧されていた中須賀選手。その後のコメントも無くエントリーに名前もあったので「回復したのかな?」と思っていたのだが、TOP10トライアルに出走メンバーにはならなかった。
決勝でもスタートを担当したもののトップ争いに絡む事は無く交代。その後の走行も少なかった。やはり万全の体調ではなかったのだろう。
完全2人体制のHRCよりはマシかもしれない。大黒柱である中須賀選手が走れる状態でピットにいるだけでチームにとってどれだけの安心感がある事か。
ジャック・ミラー選手
久しぶりに8耐に帰って来てくれたジャック・ミラー選手。ホンダ時代同様、日本のファクトリーチームだと❝髭を落とす❞ように言われているのだな…。でもイメージが💦 決勝日には薄っすらと生えてきていた。
ミラー選手に2023年MotoGPもてぎ戦の写真と―
今季プラマックヤマハの写真(ネットから拝借)にサインを頂いた
ツーショット写真にサインを入れて頂いたものを「ジョジョ風イラスト」にしたらドルフィンは完全に空条承太郎になっていた…
トップ10トライアルの写真にサインを頂いた
最初のクライマックスTOP10トライアル。エンジン出力が落ちる暑い夏場で2分3秒台が見えるほどの大激走だった。
S字コーナーで暴れるマシンをねじ伏せていて、ミラー選手らしいダイナミックにしてスリリングな走り。だがそれは「タイムロスしてるな」とも思えた。
ところが、セクター1全体ベストで通過。どうなってるんだ? セクター2でもさらにタイムを削って「これは3秒台に入りそうなペースですよ!」と興奮気味に場内放送が流れた。
「出るのか? 出てしまうのか? 3秒台?」サーキット中に熱が帯びるのを感じた。
—が、最終シケインで転倒。すぐに再スタートしてチェッカー。
S字で観ていたので「転倒したのに何で走ってるの?」と思っていたが、低速転倒だったようだ。
ヤマハファンじゃあなくても、いや、たとえアンチであったとしてもサーキットに詰めかけた全ての人が「3秒台に入る❝伝説❞の証人」になりたかったに違いない。「あの走りを俺は現地で観ていたぞ」と。
後世に語り継がれているポル・エスパロガロ選手の2分6秒フラットのように鈴鹿8耐の…鈴鹿サーキットの伝説になっていたことだろう。
以前に元GPライダーの青木宜篤氏が市販車ベースのスーパーバイクと純粋レーシングバイクのMotoGPマシンの違いについて「スーパーバイクはバイクの限界が限界。MotoGPは人間の限界が限界」と書いていたのを読んだ事がある。スーパーバイクはマシンの限界の方が先に来るという。
ミラー選手の走りはそのとおりで、ヤマハのファクトリーマシン+ブリヂストンタイヤでさえその性能を超えた走りをしていたのだ。
MotoGPライダーの本気の凄まじさに身が震えた。
ミラー選手のヘルメット
決勝レース中、かなりのハイペースでHRCを追った。直接のテールトゥノーズではないが、タイム差を削る闘いだった。ラップタイムを聞くと予選タイムに匹敵するほどの。
が、HRCの方が一枚上手でタイム差をコントロールされて差を縮める事が出来ずに終わってしまった。
それでもナイトランでミラー選手の最後まで諦めない激走は「スゲェ! スゲェよぉ!!」としか言えないほどだった。
❝本職❞ではヤマハとの契約がなかなか決まらなかった。鈴鹿8耐で優勝したら❝当確❞だったのかもしれない。それでも「来年もMotoGPライダーとして帰って来て欲しい」とミラー選手のプラマック残留を願っていた。
そして先日、残留決定のニュースが! ヨカッタ…。8耐の頑張りも考慮してくれたのかな?
アンドレア・ロカテッリ選手
鈴鹿初見参のアンドレア・ロカテッリ選手。TVで走行中のシーンしか観ていないので、顔が今一つ良く分からなかった。YARTの選手と一緒に行動していたのだろうか? なかなかお会い出来なかった。見分けが付かないからYARTと同じシャツにするのは止めてもらいたい!
ロカッテリ選手のヘルメット
ロカッテリ選手にWSBKの写真(ネット拝借)と—
TOP10トライアルの写真にサインを頂いた
アタックラップの1コーナーではブレーキを遅らせたがためにオーバーランしそうな勢いだった。そこからステップを削り火花を散らすほどのバンクで修正してきた。レーシングバイクのステップ削るって…。そこまでいったら❝転倒の始まり❞状態でしょ? 『ペリカンロード』的に言えば❝ステップ削りのロカさん❞だ。
3秒台に届く―とまではいかないが、コース前半ではプラス表示だったが後半だけで挽回し、ミラー選手に代わってTOP10トライアルで暫定トップのタイム出した。流石WSBK優勝者だ。
モニターを見ていたミラー選手の「ヨシ! やった!!」との喜びようが素晴らしくイイッ‼
ドゥカティやBMWが優勢なプロダクションバイクの最高峰WSBKで優勝する選手の力量の高さを垣間見た。
EWC仕様の8耐スペシャルのマシンに乗るのはプライベートテストが初めてで、あとはレースウィークに入ってからで乗りこなしているのだから。
終盤に2度のSCカーが入り優勝争いを面白くしてくれた。
2度目のSCカーが入った時、トップのHRCは最後の給油&ライダーチェンジを行うも、SCカーが来るというのでピットロード出口で足止め。2番手(暫定首位)ヤマハレーシングのロカテッリ選手が走るSCランの最後尾でコースインになった。
ロカテッリ選手は最後のライダーチェンジを残してSCランの前から3台目を走る。
SC解除になるとすぐに前2台を抜き、前方に誰も走っていないコースを飛ばしに飛ばして少しでもライダーチェンジの時間を稼ごうと頑張った。対するHRC/ヨハン・ザルコ選手は慎重にバックマーカーを交わして突き進む。
HRCとの差を縮めてアンカーのミラー選手に交代した。
ゴール後のインタビュー時でも走行直後かと思うほど汗ダラダラ状態だった。小一時間経ってもあんなに汗が出るものなのか…。走行の厳しさを感じられた。
インタビューの「マタネ」どおり、来年も走ってくれるかな? どこで覚えたのだろう?
表彰式

ミラー選手がGP名物のブーツでのシャンパン飲みを見せてくれた。のだが、急だった事と照明が落ちていたのでしっかり撮れていなかった…。残念。
表彰式後のミラー選手の投げキッス。ファンはもうズギュゥゥン♡