私は平常どこへ行くのにも、専ら移動は単車で、
電車やバスなどをあまり利用しません。
だから、たまに公共の交通機関に乗ると、
わくわくしたり、イライラしたり、
よい意味でも悪い意味でも落ち着かないのです。
見ず知らずのひとたちが、半密室状態の限られた空間の中で、
大勢になって集団移動するわけなので、電車やバスの車内では、
当然ながら、おもしろい場面に遭遇する確率が高くなります。
先日、野暮用があって、茨木方面へ行かなければなりませんでした。
その日は朝からずっと雨が降っていました。
雨の降る中を単車で移動するのは非常におっくうで、
また、約束の時間に遅れるわけにもいかなかったので、
やむをえず単車で行くことを諦め、
電車とバスを乗り継いで目的地に向かいました。
雨は、野暮用を済ませて帰路についたときも、まだ降っていました。
駆け込んだバスには乗客がたくさんいましたが、
幸運にも空席があったので、私はそこに腰をおろしました。
疲れていた私は、背もたれに身を任せて座り込んだものの、
そこはバスの後輪の真上に設けられた座席で、
私のようなのっぽには、とても狭くて窮屈でした。
ふと車内を見渡してみると、若い女性が多いことに気がつきました。
みんな疲れ知らずに、友だち同士で話しては笑い合っていて、
かわいらしく無邪気そのものだったのですが、
そのバスに終点まで乗っていくからと思って、
仮眠をとろうとしていた私は、結局一睡もできませんでした。
バスが終点に近づき、運賃を払う用意をしようと小銭入れの中を見ると、
いくらも入っていませんでした。
仕方なく札入れから千円札をとり出して、バスが停まるのを待ちました。
他の乗客の迷惑にならないように、
一番最後に降りるときに、両替して払おうと思ったのです。
バスが停車した次の瞬間。
「おしっ○したい~」
若い女性が私の耳元で囁いたのです。
私は驚きました…
何をいうのだ、君は…
私は声のした方を見ました。
それは、私のすぐ後ろの座席に座っていた女性でした。
おそらく、彼女は、雨で床が滑りやすくなっていたので、
私が座っていた席の背もたれを掴んで立ち上がったのでしょう。
そのとき、勢い余って少し前のめりになり、
たまたま私の首のあたりに彼女の顔が近づいてしまったのです。
そこで…
電車やバスなどの「半密室状態の空間」は、
公共の場であって、決してプライベートなものではありません。
にもかかわらず、飲み食いしたり、化粧をしたり、
大声で騒いだり、新聞・雑誌を読んだりと、まるで我がもの顔。
公共精神の劣悪化が著しい昨今、
その責任を若年層に押しつける傾向が強いですが、
問題は、手本を示せないおとなが増えすぎたことではないでしょうか。
by スグル