カウントダウン・ムービー第2作(最後から3番目)は話題の007最新作となった。
シリーズのお約束であるアバン・タイトルのワンエピソードがまず見応え十分。ボリュームがあって、しかも今後の展開に大影響の異例の事態が描かれる。

 続くタイトル・アニメが毎回のごとく素晴らしく、ここまでですでに十分に元をとった感じがする。

 ダニエル・クレイグ・ボンド3作目で、ドラマ性が最も強く、シリーズ誕生50周年の23作目にしてボンドシリーズの「世代交代」を謳っている。豪華配役で、交代する今後のレギュラーにも強力な布陣である。

 また、ハビエル・バルデムが屈折した悪役を見事に演じる。対するクレイグ・ボンドは年齢のためか、復帰試験の成績は芳しくないものの続投してくれるようだ。銃やナイフといった伝統的アイテムで原点回帰を狙ったアクションがヒーローではない、生身の諜報員の人間臭さを感じさせる。

 世界各地に展開するロケも素晴らしい効果を上げている。

 今日から大晦日までの3日間に4本の作品を鑑賞する予定。そのカウントダウン・ムービー1本目(最後から4本目)がこれ。

 渋谷のシネコン3スクリーン中、最小キャパ60席のシアターで一日2回の上映。それをわずか10人ほどで鑑賞する贅沢。

 ユアン・マクレガー、エミリー・ブラント、クリスティン・スコット・トーマスの豪華配役で監督がラッセ・ハルストレム。小品ながら夢にあふれてほのぼのと温かく、風刺も効いたラブ・コメディ。正月映画にはピッタリだと思うのだが人が入るかどうか心配。

 無理難題が山積のプロジェクトをどう成立させるかというビジネスストーリーを核に中東情勢に関わる英国のイメージ戦略とラブストーリーが絡む。

 山あり、谷あり、起承転結も映画らしい映画で、スターたちが楽しんで演じている。見て損のない作品といえる。


 しみじみとした家族愛と人間の絆が謳われた、すがすがしい作品。

 舞台は島根県隠岐の島。島に伝わる伝統相撲にかけた男の物語だが、それが女性の視点から描かれるので、汗臭さより爽やかさが香ってくる。

 子連れの再婚であるらしい男には、今まさに伝統相撲の取組の一番が迫っている、という幕開けである。

 そこに至るまでの過去と進行形の現在がカットバックで描かれる。結果が分かっている再婚までのじれったいまでの告白劇も好もしい。

 「ロッキー」張りの絶対勝てそうにない相手との取組も、どうなる?のミステリーで大いに引っ張ってくれる。

 「伝統」は、勝者が力を尽くして敗ぶれた者に対して見せる心の広さにある。そこで敵役には、憎々しげでありながらさすがに土俵に上がる者だけのことはある度量をバランスよく体現していることが求められる。主人公とのぶつかり合いは見ものである。

 負けたものが実は勝っていることがある、という日本の美徳を再認識できる。