見逃した作品も多いのですが、とりあえず鑑賞作から自己ベスト10を洋画、邦画それぞれセレクトしてみました。

(洋画)
1 きっと、うまく行く
2 華麗なるギャッツビー
3 マリーゴールドホテルへようこそ
4 ホワイトハウス・ダウン
5 天使の分け前
6 LOOPER ルーパー
7 トランス
8 ウォール・フラワー
9 悪の法則
10 アンコール

(邦画)
1 永遠の0
2 風立ちぬ
3 みなさん、さようなら
4 藁の盾
5 そして父になる
6 さよなら渓谷
7 許されざる者
8 脳男
9 リアル~完全なる首長竜の日
10 箱入り息子の恋


 「モンスターズ・インク」の続編ではあるが、描かれるのはその前日談に当たる。前作「~インク」の公開を調べたら何と2001年、12年前なのだ。

 2Dと3D版があり、それぞれ字幕版と日本語吹替え版がある。2D字幕版で見たかったが、劇場アクセスの関係で2D吹替え版の鑑賞となった。驚くのはセリフだけではなく、画面の中に登場する店の看板などの文字も日本語になっていることだ。
 上映各国の事情に合わせて「その国版」が作られているのだろうか?

 物語は主人公が一人前の「怖がらせ屋」になるために、超難関のモンスターズ・ユニバーシティ「怖がらせ学部」に入学しての奮闘を描く。あの手この手のハードルが用意されていて、それをどうクリアして行くかが見ものである。

 ただし、単なるお子様映画とは違う。めでたし、めでたしですべてがうまく片付くハッピーなエンディングが予定されているわけではないのだ。

 悪役に相当する女性学部長も、見るからに不気味で憎々しいキャラクターで登場し、ことあるごとに主人公たちを妨害、最後には彼らたちの奮闘を見直すことになるのだが並みの「悪人の改心」とは一味違う。ダメなものはダメなのだ。その辺が大人の鑑賞にも耐える作品といえる、一つの要素だと思う。

 予想外の収穫は本編前に上映される短編「ブルー・アンブレラ」である。6分ほどのアニメ作品で、青い傘が雨の日に街中ですれ違った赤い傘に恋をするというお話だ。これが実写なのかフルデジタルのアニメなのか区別がつかないリアルさで、しかも美しい作品なのだ。

 暑い夏のお得な一編である。

 芥川賞作家・吉田修一原作の「さよなら渓谷」を鑑賞できた。

 多くの映画は予告編でほとんどのことが分かって、本編鑑賞はそれを確認するに終わってしまうことが多いが、本作の場合は、こんな話とは知らなかった。

 久々に大人の人間ドラマで、見ごたえがある。大学時代にレイプ事件を起こした男のその後を、ある週刊誌の記者が追う話である。後半に差し掛かったところで、実は巧妙なミステリー仕立てになっていたことに気付かされる。

 観客にとっては驚くべき事実が明らかになる。しかしミステリー映画ではない。描かれるのは人間の心の深い闇の部分で、ここには他人には推し量れない不思議が横たわっている。

 「見てから読むか、読んでから見るか」と問われたら、本作に限っては映画を見た後に原作を読むことをお勧めしたい。