カンヌ映画祭出品のたびに賞レースに絡んでくるダルデンヌ兄弟監督の最新作。児童映画のような素朴なタイトルだが、現代の過酷さを背負う一人の少年が描かれる。

 父親に捨てられた少年と彼の里親になる女性を軸に語られる物語は、感情移入を拒むかのように距離感を保ちながら淡々と進められ、流れるようにというよりは、小さな角張った石があちこちにぶつかりながら転げていくような印象である。

 その「淡々」の中の起承転結は、「転」が三回くらいあって最後が静かに結ばれる。ほろ苦さの残る幕切れだが、少年の人生再スタートを示すかすかな予兆がある。

 ダルデンヌ兄弟映画常連のジェレミー・レニエが少年の父親役を演じており、見方によっては兄弟の前作「ある子供」の続編のようにも見える配役の妙がある。

 海岸をさまよっていたら「自由の女神」が埋まっていてびっくり仰天、というのは映画「猿の惑星」衝撃のラストです。

 でも、この風景もなかなかです。ライオンがいて、ゴリラがいて・・・。

 上のアップの写真、左がライオンの横顔です。眼は本当に空いていて、向こうの空が見えます。口元などなかなかリアルです。もっと胴体の方まで見えるスポットがあり、全体を見ると「となりのトトロ」の猫バスに見えるということです。

 お隣は横を向いたゴリラの頭部を斜め後方から見たところ。

 さらにこの動物園は続き、下の全体写真ではゴリラの右に、サイ、亀、ワニが・・・。想像力をたくましくしてご覧下さい。

 南の島の素敵なガイドさんが発見して、密かに教えてくれたスポットです。

 南の島とは、奄美大島の南にある加計呂間島です。

 2D派だが、時間の関係で3Dで鑑賞した。が、これが正解。直接ストーリーと関係ない情景描写も、駅の雑踏もずっと見ていたくなる。

 マーティン・スコセッシ監督にしては珍しく暴力とも狂気とも無縁の世界だ。代わりに映画への愛が満ちている。映画創世記の幻の監督ジャック・メリエスについての秘話の趣である。

 リュミエール兄弟が撮った最初の映画を作中で見ることができる。単に汽車が目の前を通っていくだけの短いフィルムに、当時の人たちは轢かれやしないかと肝を冷し、狂喜した。その技術革新の新しいステージを現代の観客は3Dで経験していることになる。映画のテーマと表現がぴったりと寄り添った稀有の映画だ。

 どんな人にも存在する意味があるという主題に、元気をもらえた。心から見てよかったと思える、今のところ今年一番の作品になった。