ヒーロー大集合の豪華大作。怪獣ものならば対決企画映画になるところ、いずれも正義のヒーローなのでチームを組んで地球を守ろう、という方向になる。

 それぞれに主役を張ってきたヒーローたちなので、時代劇とモンスターとロボットを一緒にどうまとめ上げていくかが見どころの一つ。

 特に面白かったのは「ハルク」で、平常時の学者としての能力を買われての参加であり、怒りによって変身してしまうと敵味方の区別なくパワーが暴走してしまう。前半はとんでもないところで変身が起こってしまい、誰がこんなやつを連れてきたんだと言いたくなるが、後半はなぜかチームの一員になりきっている。

 キャプテン・アメリカは身を張ってのアクションだから、ロボットスーツのアイアンマンとの能力差は明らかながら、軍を仕切った統率力でヒーローたちを動かすところはさすが。

 最後の長い長いクレジットで、大半の客が帰った後に、本作一番の見せ場と思われるヒーローたちの食卓シーンが登場して笑える。くれぐれもお見逃しなく。


 おいしいドーナツのような映画だ。タイトルロールの桐島は、そのドーナツの中心。主役は不在なのだ。彼をめぐる、その周りの友人たちが紡ぎ出す群像劇になっている。

 桐島が部活をやめる、というのは噂だ。その理由も、真偽も本当のところは誰も知らない。その話が拡げる波紋を描く形になっている。

 桐島に最も近いのが彼の親友とガールフレンドである。何でも知っている、分かりあっていると思っていたが、実は彼らすら何も知ってはいなかった、というところに現代の人間関係の希薄感が漂っている。

 関係性的には薄い映画部の友人たちの活動がもう一つの核になっており、彼らが撮ろうとしているゾンビ映画の撮影がクライマックスになっている。

 この夏、ヒーローもの洋画に負けない作品の一つになっているが、映画オタク、特にホラー・ファンは、さらに面白く見ることができるだろう。青春時代のある特別の熱気が見事に表現されている。


 フランスの犯罪映画。あちらの刑務所では面会に来た夫人とベッドを共にすることができる個室が用意されている、という驚きの冒頭シーンで始まる。

 男は強奪した金を独り占めし、獄中でも仲間だった男から責め立てられている。家族にも危害が及びそうになり、冤罪で釈放になる同室の男に家族を託す。ところが彼がとんでもない危険人物だったことが分かり、家族を守るために脱走する、というお話だ。

 主人公が犯罪者で、犯罪者対犯罪者の話に追っての警察が絡み、迫力の逃亡劇にサスペンスが盛られる。

 この一途な主人公にすっかり感情移入してしまい、彼が悪人であったことを忘れそうになる。

 言葉に障害がある彼の幼い娘は可愛いし、女性刑事は美しいにもかかわらずタフでカッコいい。主人公の妻も、同室の男の妻も含めて、女性で見せてくれる作品だ。