おはようございます!!!
Machinakaです!!
夏が過ぎ、大作映画が終わり、映画ブログ的には閑散期に入るのですが、、、
映画館の熱は全く衰えてない!
むしろ、映画ファン的には超盛り上がる映画ばかり(*´ω`*)
先日批評した「
ダンケルク」、そして「散歩する侵略者」、最後に「3度目の殺人」。。。
どれもジャンルは違うけども、個人的には夏の大作よりも盛り上がる良作であること間違いなし! しかし、監督の個性があまりに強すぎて、万人受けはしない。なんだろう、これ。
ただし、映画館はどの映画も大作にしなければいけない。3人ともあまりに有名で偉大な監督だから、映画館はこの3作を入れて客を入れようとする。でも、蓋を開けたら監督の個性が強すぎて、観客はポカーン(ノ゚ο゚)ノとする。
おそらく、監督達は商業的に成功することはもちろん、自分の作風を全面に活かした映画作りを心がけている。
だから今が一般観客が映画館に入って一番驚く時期ですよね笑 あえてこの3部作に名前を付けるとしたら、俺流大作トリロジーと言ったところでしょうか笑
ともかく、芸術の秋を謳歌したいなら今映画館に入るべし、そして強いアクを取り除かずに、アクが入ったまま飲んで見て欲しい。以外とクセになるスープかもしれませんよ(*⌒∇⌒*)
ただ、この映画は一番アクが強いかもしれませんが、、
それでは、「3度目の殺人」批評、いってみよーーー!!!!!
[あらすじ]
まずは映画ドットコムのあらすじからいくぞっ!!!
・「そして父になる」の是枝裕和監督と福山雅治が再タッグを組み、是枝監督のオリジナル脚本で描いた法廷心理ドラマ。
・勝つことにこだわる弁護士・重盛は、殺人の前科がある男・三隅の弁護を仕方なく担当することに。
・解雇された工場の社長を殺害して死体に火をつけた容疑で起訴されている三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。しかし三隅の動機はいまいち釈然とせず、重盛は面会を重ねるたびに、本当に彼が殺したのか確信が持てなくなっていく。
・是枝監督作には初参加となる役所広司が殺人犯・三隅役で福山と初共演を果たし、「海街diary」の広瀬すずが物語の鍵を握る被害者の娘役を演じる。
監督は是枝裕和さん。私が大好きな監督です。
あくまで個人的にですが、日本人監督なら一番好きかな、、、
黒沢清、河瀬直美と並び、もはやカンヌの常連と言ったところでしょうか。。。
ちなみに、日本人としては数少ないアカデミー会員でもあります!
アカデミー賞をどれにするか、その権利を持っている希少な映画人でもあるのですっ!!!!
彼の作風は、もはや説明不要ですけども、演技かどうか分からないくらいリアルな映画の作り方!
映画監督になる前はドキュメンタリー作品を撮っていたこともあり、会話が非常にリアルで演技をしている感じがしないのです。
彼の作品を一度でも見ていれば分かると思いますが、台本があるにも関わらずセリフの合間合間に「あのー」や「えーと」が入り、「あれをこうして、、」という指示語が入るんですよ((((((ノ゚⊿゚)ノ こんなのありえます!?
特にですね、是枝作品には欠かせない樹木希林さんは、もう指示語の名手ですね笑
「えーと、確かあれはここにあったじゃない。あれ、ないわねぇー。あれ?」みたいな台詞が本当に多いw 特に「海よりもまだ深く」の樹木希林は凄い笑
とまぁ、あまりにリアルな台詞回しに、最初は驚いてしまうんですけど、一度見たらクセになってしまうこと間違いなしです
さて、今回は福山雅治が主演ということで、「そして父になる」以来2度目の出演となりますかね
ううむ。年を取れば取るほどかっこよくなっている。その若さは何なんだw やっぱり人に見られるってことは大事なのかなヾ(@°▽°@)ノ
個人的には、是枝裕和作品では「そして父になる」が一番好きなので、福山さんには期待してしまいます。2度目の化学反応はあるのかな?
そして、広瀬すずちゃんも登場、ということで、彼女も「海街Diary」以来2度目ですかね
予告を見る感じでは、日本アカデミー賞を席巻した「怒り」の広瀬すずに似てるなぁと思いました。
広瀬すずといえば、今をときめく若くて可愛いタレント的女優だと思う人もいるかもしれませんが、決して若くて可愛いだけが取り柄じゃない。演技で勝負できる立派な女優だと思っています。
それを証明するのは、彼女には暗い画づくりの映画がとっても似合うんですよ。もっと言えば、可愛さを排除できる稀有な女優なんだと思います。
上の画像を見て、何か変だと思いませんか? 広瀬すずが暗い演技をするときは、可愛さも色気も全くなくなってるんですよ! そして、目が死んでいる。。。
「ちはやふる」でも白目ギャグで多いに映画ファンを唸らせ、笑わせた女優でしたが、本当に目の演技が上手い。目の演技が出来れば、女優として一人前なんだと思うのです。。。
そして最後はこの方、役所広司
もはや日本を代表する俳優と言ってもいいのでは?
仲代達矢主宰の無名塾出身ということで、時代劇から現代劇まで。そして、大作から珍作まで。所属事務所はワイ・ケイ事務所って書いてあるけど、これってどう考えてもY・K=役所・広司でしょw
みなまで言うな笑 すいません。
また、この記事を書くにあたって役所広司さんのことを調べていたら、俳優になる前は市役所の土木課で働いていたんだとか、、、
そう考えると、役所広司→役所工事で、彼の前職を表してるとも言えるわけで笑
面白い名前ですなo(〃^▽^〃)o
ということで、予告でもこの3人が雪山に大の字になって寝ていることから、主要キャストと言えるでしょう。
はい、珍しく長いあらすじになりました。
それでは映画の感想でございます!!!!
[映画の感想]
脚本があるのに、筋書きがない。
だが、面白い。
ドキュメンタリーよりリアル!
是枝裕和監督しか撮れない裁判ドラマが誕生だっ!!!
でもこれ、、、絶対に一般受けしないけど大丈夫なの!?!?
解説したくてしょうがない、映画ブロガー歓喜の映画でございましたっ!!!
[ネタバレブロガーは辛いねこの映画笑]
さて、この映画ですけど、他の映画と比べて非常に特徴があるものとなってました。
それは、ネタバレしたところで物語の本質が全くわからないこと。
もうね、ネタバレブロガーは辛いですよ、この映画笑
普通の映画は、ストーリーのアウトラインだけを書いていけば映画がわかるようになっていて、誰が死んだ、誰が生き残った、犯人はコイツだってことが自ずと分かっていくわけですよね。
しかし、今作はそんな生易しいもんじゃなく、ネタバレ=ストーリーを明かしたところで、何も映画のネタバレにならないのです笑
端的に言ってしまえば、「最後の結末は自分で考えてください!」と観客に答えを委ねるような終わり方になってるんですよね笑
さて、何故この映画はそんなに分かりづらくなっているのでしょうか。
それは、裁判ドラマ&サスペンスという触れ込みにも関わらず、結論・決着が提示されないまま終わってしまうからです。
普通、裁判モノって絶対に決着が付くじゃないですか? 裁判である以上、有罪か無罪か。また、有罪でも刑が軽くなるか、重くなるか。裁判というシステムで人を裁く以上は、どんな場合でも白黒を付けないといけない。
しかし、今作はそんな裁判システムを逆手にとって、決着を付けないまま終わってしまうのですよ笑
映画のあらすじでは、役所広司が人を殺したという話になっていますが、彼に最終的な判決が出るまで描いていないのがあまりに斬新で、見る人によっては拍子抜けするでしょう笑
ただ、私としてはこの「結末なき結末」を受け入れてほしい。何故なら、映画というのは作り手の価値観を受け入れ、解釈を考えていくのが楽しいのだから。
分からないから駄作、というのはあまりに早計な結論! これから解説していきますよーo(^▽^)o
安心してください! 私も映画を見た直後は、ポカーンとしてました笑
てか、今でも物足りなさを感じているのも事実です笑
ただ、映画はこれで終わっちゃいけないんだよ!
自分が意図しない映画に出会ったとき、とりあえず受け止めてみて、解釈を自分なりに考えてみる。決着が付かない映画だからこそ、自分なりに決着を考えてみる。映画の決着を自分の心の中で補完して初めて、映画が完成するものですっ!
[是枝裕和さんは一貫している]
映画の解説に入る前に、、、、
私が上映直後に書いたメモを載せておきます。この映画を見てから、私の動揺っぷりが凄く分かると思います。ではどうぞw
↓メモ↓
実は是枝裕和監督らしい作品。彼はそもそも結論ありきに作品を取らない。
誰が正義、悪と決めつけてキャラを作らない。
今回も、模擬裁判をやってみて、映画作りの参考にしたという。
だから、今回の作品が是枝裕和監督にとって特別という訳ではなく、いつも通りのテーマを作風を持って、映画作りに取り組んでいたのだろう。
でも、今私が作品に感じている物足りなさは、結論が決まっている裁判ドラマばかり見てきたせいだろう。いつものと違う。ありえない。前例にない。予想したものと違った。
そして、究極的には「求めているモノと違った」と感じているのだろう。
しかし、私はこの作品を否定はしない。むしろ肯定している。
自分が思い描いていたモノと違う、という期待の裏切りは、映画でしか味わえないからだ。そして、元来映画とはそうあるべきだろう。
何故このような結論なきドラマが出来てしまったのか。
この映画には、いわゆる神の視点がない。観客は映画を最後まで見ても、誰が犯人か、誰が悪いのか分からない。
そしてこれは、監督自らも決めていなかったのではないか、と思う。
前述した通り、監督は筋書きありきで映画を撮らない。
これこそ、ドキュメンタリー的手法を取り入れる是枝裕和監督の真骨頂でもある。
しかし、本作はドキュメンタリーを超えたリアルさがある。
ドキュメンタリーよりリアルなドラマ映画が出来てしまったのだ。
どんな裁判でも、必ず結論が出るもの。それが間違っていようが合っていようが必ず結論が出る。
しかし、本作は結論が全く与えられない。結論が出るまでに映画は途切れてしまう。これは現実世界では出来ない。映画でしかできない裁判をやってのけたのだ。
↑メモ↑
はい、大変読みづらくて申し訳ありませんw
でもこれが俺の本音なんだよ! ファーストインプレッションは大事なの(^O^)
やっぱり私は、この映画には肯定的です。
決着が付かない映画だけど、その決着を考えたくなるくらい余白があって、考えてるのが凄く楽しい映画なんだと思います。そして、余白が楽しめる映画って良い映画だと思うのです。
今作の一番の成果としては、「映画でしか作りえない裁判を作ってしまった」ことにあります。
詳しく説明しますと、、
現実の裁判って、どれだけ裁判が難航しようと、必ず被疑者の評価が下されるんですよね。難しい裁判だと結論が出るまで時間が掛かってしまうかもしれないけど、最後は必ず判定が下される。
しかし、映画の場合、時間は有限なんですよ。
今作の場合、124分という尺の中で、裁判の決着はおろか犯人が誰かも分からないまま終わってしまった。現実ではありえないんですよ。
でも、映画の場合は時間が決まってるから、裁判を終わらせないという選択肢も可能なんですよ。
今作は、そんな現実と映画の時間の違いを楽しむことがポイントなんだと思います。
「タイトルの「三度目の殺人」の意味とは」
今作を見て誰もが思ったこの疑問。
「三度目の殺人はいつ起こったのか?誰が殺されたのか?」
これは映画では明らかになっていません。
真っ先に考えられるのは、役所広司演じる三隅が死刑判決によって殺されるのでしょう。
また、是枝監督はインタビューで、このようにも答えています。
最初にノートをつけたとき、『一度目はケダモノが、二度目は人間が殺した 三度目の殺人』というコピーとタイトルという繋がりで書いていたのね。コピーはなくなったけど、意外と自分では納得しているタイトルでした。ただ、数え方が自分でも変わっていっちゃった。何をもってして三度目と数えるかって考え始めたら、『あれ、四度目になっちゃった』みたいにね。
4度目って何だよwww
監督の考えで行くとですね、役所広司が殺した(と言われている)2度の殺人以外にも、殺人は行われていたようで、少なくともあと2回、劇中では殺人が行われていたようなんです。
殺人が行われたのは、裁判では2度のはず。しかし、他にも殺人が行われているとすれば、、、、うん、ますます分からなくなっていった笑
ただ、監督は「誰が」殺人したかで別々にカウントしているらしく、1度目はケダモノ、2度目は人間、とまでは書いてあります。
しかし、3度目の殺人の場合は、誰が殺人を犯したのか、主語が明らかになってない。ケダモノでもなく、人間でもない。
うーん、、仮に役所広司が死刑で殺されるとしたら、
「3度目は法律or裁判が殺した」
とも言えるわけですね。
うーん。でも4度目は誰が殺したのか、そして誰が殺されるのか、全く分かりません笑
「是枝監督はドS確定」
「そして父になる」を見ていて薄々気づいたんですが、是枝監督はドSなんじゃないか、と思っています。
特に、福山雅治に対しては強烈なSっぷりを発揮する監督に違いない笑
是枝作品に出る福山雅治は、全く輝いてないんですよね。歌手活動や他のドラマとは正反対のネガティブなキャラクターなんですよ。
「そして父になる」と今作の福山雅治の共通点は、「仕事は出来るが家族には不器用」。是枝作品では、福山さんは家族と上手くいった試しがありません笑
ただ、実生活では吹石一恵さんとイチャコラ上手くいってると確信しますよ。イチャコラってのが余計ですけどw
是枝作品の福山さんは、エリートで仕事はバリバリ出来るんですけど、家族とは上手くいってないんですよね。まぁ、是枝作品の場合は、主人公は離婚していたり、離婚寸前だったり、スティーブン・スピルバーグ的な主人公設定がデフォルトなんですけどね笑
そんな作風もあってか、福山雅治という爽やかポジティブお兄ちゃんみたいなイメージは是枝作品では見事にブチ壊れていて、是枝作品でしか見れない福山雅治が観れる面白さがあるんです。
そういや、大根仁さんも「SCOOP!」でゲスなカメラマン役を福山雅治さんにしていたし、一癖も二癖もある映画監督って、福山さんを苛めたくなるもんなんですかね笑
「容疑者xの検審に福山雅治が翻弄される」
今作は裁判の結論が出ないまま、非常に中途半端な形で終わるのですが、間違いないのは福山雅治の心情が明らかに変化しているということ。
最初はビジネスライクで弁護士をしていたつもりが、最終的には役所広司に翻弄され、肩入れしてしまう。
役所広司が斉藤由貴の旦那を殺したのか、真実は分からないので、仮に「容疑者x」としておきましょう。
この映画は、「自分の価値観が揺らいでしまうほど、福山雅治が容疑者Xに翻弄される」映画なんだと思います。
また、そんな容疑者xが、現在の裁判制度を、人が人を裁くという審判制度を、まるで検定しているように思えるのです。だから、検審という名前を付けました。
福山雅治は、最初は容疑者を依頼人=クライアントとして捉えて、依頼人の利益のために動いている。もちろん、真実を求めようとなんてしていない。
しかし、役所広司の言葉巧みな演技に揺らいで、何が真実なのか分からなくなる。次第に、役所広司と福山雅治がシンクロしていく。
これは、接見室でのシーンが物語っていますよね。
最初は福山雅治と、吉田鋼太郎、そして部下の若い兄ちゃんw の3人と三隅の3対1で話し合いをするのですが、後半では福山と役所のタイマンしか映らなくなるのです。
そして、接見室で反射する福山雅治の顔と、役所広司の顔が重なる。
そして、「MAJIでKOIする5秒前♩」と広末涼子が歌いそうなほど、二人の距離は近づいていく。
そして福山雅治はギター片手に歌う。
「ずっと前から〜 彼〜のこと 不思議〜だった 誰〜よりも♩」
冗談はさておきw
とにかく、福山雅治は職業弁護士という立場から、人情派弁護士へとシフトしていくのです。
ただ、人情をかける相手が悪かったw
気づいた頃には、福山雅治は完全に理性を失っていたように思えます。
それは、福山雅治の部下が、生善説を完全否定する福山雅治にドン引きしていることからも伺えます。吉田鋼太郎に至っては、福山が完全に犯人に肩入れしているのが透けて見えてしまっています。
主人公が接見室で犯人に翻弄されていく様子は、「凶悪」の山田孝之と非常に似ていました(^O^)
後半では、福山は完全に犯人と共謀してましたからね笑
ただ、福山がそこまで翻弄されるほど、役所広司の演技は素晴らしかったのでしょう。
気になるのは、殺人の動機で「金銭目的」がしきりに問われていたこと。
裁判では同じ殺人でも金銭か怨恨かで情状酌量が決まるから、と言われていましたが、私はそんな単純なものじゃないと思いました。
本当に役所広司が広瀬すずのために殺人を行ったのかどうかは確定できませんが、決して金銭が目的じゃないのは確かでしょう。
金銭目的なら、あんなに粘る必要ないですからね笑 いかに自分の罪を軽くすればいいか、合理的に考えて行動するでしょう。
では、役所広司の目的とは何なんでしょうか?
何故あんなに、福山雅治を翻弄させたいのでしょう? あんなに裁判を長引かせたいんでしょうか?
殺人は紛れもない犯罪で、悪の行為だと思います。しかし、役所広司は殺人を正当化しようとしている。仮に広瀬すずの親父が性的虐待をしていて、従業員に対しても冷遇していて、本当に性根腐ったやつだとしましょう。
しかし、どんなに腐ったやつでも殺していい理由にはならないのです。これが生善説の考えで、人間が守るべき良心だと思うんですよね。
しかし、役所広司にはそれがない。彼は生善説を完全否定し、「生まれた瞬間から殺されていい奴がいる」とまで言っている。そしてその考えを、福山に植えつけようとしている。こちら側に誘おうとしているのです。
私には、役所広司が「ダークナイト」のジョーカーのような、純粋な悪魔に思えてしまいました。
皆さんはどうお考えでしょうか?
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