先輩:えっと、ここがこの間のたまみちゃんがアンモナイトの生地を買った生地売り場か。
後輩:白々しいな。作者がモデリングした空間だと言ってしまえよ。
生地を全部同じ柄にしてしまったり、棚に布を収めようとしたら爆発させてしまったり、初心者のやりがちなミスをやっちまったんだろう?
先輩:巻かれた布が棚の中で自然に傾くように物理演算の「リジットボディ」を設定するんだが、「パッシブ」を仕込んだ箱や棚の形状を「メッシュ」にしておかないとオブジェクトが重なり合ってしまって爆発を起こすんだ。
まあ、この部屋に設置したものは大体満足しているんだけど左の奥にある巻いてある布、あれに困っている。
後輩:黒いラベルの付いた模造紙かな?
先輩:ほんとは木綿のカラーシーチング、仮縫いや雑貨づくりでよく使う安価な布なんだけど、あれを棒にただ巻いてあるもの(円筒を少し加工したもの)を作ったつもりなんだ。黒いラベルなんか貼ってない。
自然に傾くようにこっちにもリジッドボディを設定したが今は外してある。なのに黒の「ラベル」がとれない。カメラを真上に設定すると写らなくなるけど、この画像、左手前からスポットを当ててあるんだぜ。光が当たった面の反対側の陰じゃない。なんなんだ?
後輩:売り場にしては空白が多いね。
先輩:もっといろいろ並べるつもりだった。「作品サンプル」として飾るつもりのアンモナイトの「ぬいぐるみ」。
後輩:ぬいぐるみ?ソフビ人形かと思った。
先輩:大き目の「動眼」がチャームポイントだ。
後輩:生きものっぽすぎてきもいんですけど。もう少し柔らかさとか出せない?ぬいぐるみらしくさあ…
先輩:さて…体の部分を赤の水玉プリントにしてみようか?
後輩:それじゃダメだと思うけど。
先輩:これを生地売り場に迎え入れるにはスケールの問題があってさ、こいつは殻部分をジオメトリ―ノードのチュートリアルをもとにして作っている。高さが62メートルあるらしい。生地売り場は原寸なのに。縮小できるけど。
…ふうむ、水玉よりタータンチェックがいいかな?
後輩:短くて先っちょが丸っこい脚なら生きものらしいきもさが減らせるかな。ボーンを設定してるようだけどアニメデビューは?
先輩:アニメーションは考えてない。それより実はまだまだわからないことがあるんだ。
こちらはもう4年もいじっている猫モデルの顔のどうしても直らない箇所。黒い変な模様になる。
短いダンスのアニメーション付き。
オブジェクトモードやレンダリングモードでは表面に出ない辺や面が見えるんだけど、直そうとして編集モードに入ると見えなくなるんだよね。「メッシュ→クリーンアップ」にいくつかあるコマンドを片っ端から試すんだけど消すことができない。
ピンクの字で書いた問題だね。緑の字で書いた方は「ウエイトペイントでいずれかのボーンに関連付けられてない頂点」があると発生する。モデル全体を移動させてみると発見できるぞ。
後輩:服がはだけるという問題は?
先輩:このモデルは袖なしのワンピースをガボッとかぶせて肩で固定しているだけだからはだけ方がひどい場合は脱げ落ちてしまう。アニメスタートのとき(1フレーム目)に手や脚が服に食い込んでいると服が手や脚にくっついてるとみなされてそのように動く。手が服に食い込まないポーズでスタートするとクロスシミュレーションをプリセットの「シルク」にしてもそうそうめくれることはない。
後輩:がっかり。
先輩:ともかく、最大の問題は猫の顔の黒い模様だよ。「Blender メッシュ 黒い影」とかで検索すると面の向きが裏返っていたり正しくない面が重なっていたりすると変な黒いのが出る、と出てくる。けど、「ほかのモードだと余計な辺や面が見えるのに編集モードで見えない」とか、「どっから光を当てても真っ黒いものが貼りつく」とか、どう検索していいかわからないんだ。
猫の顔は問題の箇所を削除して作り直せばいつか直るはずだけど、形を復元できる自信がないんだ。
後輩:ライティングとかアニメーションは?
先輩:今はムリ。あとで…