カフェ誇大妄想にて

 

マスター:暑い夏だと思ったらあっという間に秋だな。

マスターこむぎ

こむぎ:さびしいわねえ~あ、小島さん、ひさしぶり。

 

マスター:最近見なかったけどどうしたの?

先輩:ちょっとこもりきりになっちゃって…

ふゆ

ふゆ:まさか、コロナにかかってたとか?

こむぎ:冗談はやめてよ。

先輩:ちょっとやることが多くなって混乱気味で…まず、新サイトを整備しなくちゃいけない。ほぼ完成してるゲームを完成させてアップロードしなくちゃいけない。なのに王道RPGを作りたくなってしまって…

ふゆ:王道RPGって、ストーリーが一本道で、大きなフィールドマップがあって、モンスターと戦闘があって、主人公が男で、女の子はセクシーなかっこをしてて、王女様と結婚するようなゲームのこと?

先輩:まあね。一本道と言っても、今回は王様のお城の地下に魔王城がある。

こむぎ:じゃあいつでも魔王城にお邪魔できるんだ。

先輩:でも魔王城に行くには入口がどこか見つけなきゃいけない。お城の地下に魔王城があるという情報を得なきゃいけないし、中に入って魔王を倒せる勝算を得なきゃいけない。嫌なんだよね。魔王を倒すためにひたすら強化アイテム集めるだけで40時間とか遊ぶの。

こむぎ:先輩はそういうの好きなんだと思ってた。

先輩:少しならいいんだよ。あんまりやるとさすがに飽きる。

ふゆ:王様の城の下に魔王の城があったら、王女様と結婚したら魔王を攻めに行けないじゃない。

先輩:その結婚は初夜で破れる予定…ところで貴人に化けているモンスターが男に化けてるのと女に化けてるのとどっちが差別的だと思う?

こむぎ:差別が怖くて創作ができるかぁ!

先輩:梶みたいなことを言うね。

ふゆ:王女様、モンスターなんだ。

マスター:どっちが差別的かはわからないけど、ショッキングなのは女だろうな。

先輩:じゃあ、男の主人公が浴場に行って男の人にあかすりやマッサージを頼んで、そいつがモンスターだったら?

マスター:それも嫌だな。

先輩:きょうはホットケーキをお願いします。

後輩:出かけるときはやんでいたのに雨に降られた!

後輩

マスター:天気がころころ変わるのは台風が接近してるせいかな。

後輩:ホットミルクと焼き芋ください。

マスター:ご注文ありがとうございます。

ねえ、間近にいる人間がモンスターが化けていた場合、それが男と女でどっちがショッキング?

後輩:女かな?ショッキングというよりそのほうが受けるというか、話題になるというか…

先輩:やっぱり女か…じゃあ主人公(男)は王子と結婚させるか…

こむぎ:ショッキングとか話題になるとかじゃなくて、そもそもどっちが差別かって話だったよね!男と結婚させればいいってものじゃないでしょ。

先輩:ははは、その通りだ。

こむぎ:王様のご褒美が結婚というのも変でしょ。現代の物語とは思えない。

先輩:王様はずいぶん前から王女との結婚をちらつかせているし、婚礼がちょっと異様だし…まあ、結婚でハッピーエンドではない、という話にはするつもり。

後輩:先輩、こむぎちゃんのゲームも新サイトで発表する予定なんでしょ!早く整備したほうがよくないですか!

先輩:もうちょっと新ネタを整理してからね。

後輩:ところで先輩、主人公が結婚する王女が怪物で、それを倒してしまった場合、世間はその人を勇者だと思い続けてくれるのかな?

先輩:王女がもともとモンスターなのか、モンスターが王女とすり替わったかで話は変わってくると思うけど。善人である王女がモンスターと入れ替わっていました、という場合でも説明は難しいだろうな…ええい、こういうときは火事にして混乱に乗じて逃げるのだ。

ふゆ:『精霊の守り人』でも火事にして逃げてたわね。

こむぎ:それ、「王道」のゲームでやること?

マスター:本当のところ、どうしたいの?

先輩:そもそも魔王城の上に城を建てて都にしたのが王様。王女は…

こむぎ:モンスター?

後輩:じゃなくても、結婚を続けたら取り込まれてしまう、って話にしたいわけ?

先輩:うん…

後輩:先輩はそういうの好きそうだから。

先輩:問題は、結婚するつもりで城に残るプレイヤーのこと…

こむぎ:「ふたりはしあわせにすえながくくらしました。おしまい」でいいよ。そのあと「タイトル画面に戻す」で。

先輩:結婚イベントが始まる前に、「セーブしますか?はい・いいえ」を挿入して注意を促すか?

後輩:注意喚起だと思うかな?

先輩:……それにしても、セリフで敬語使うと思考が停止してしまうなあ。下書きは全部てやんでえ語で組み立ててあとで敬語にすることにしようか。

こむぎ:なんでもてやんでえにするのもある意味しんどい。

後輩:王様が魔王城の上に城を建てたのはなんで?

先輩:隣の国の軍事的脅威に対抗するために、かつて「魔王」が城を構えた要害の地に移動したんだてやんでえ。

後輩:魔王を封じ続けるためじゃないんだ。あれ?

先輩:何?

後輩:今でも魔王の気がその辺に漏れ出てて、勇者たちがそれによって攻撃をしくじる変数を設定しよう、とかしてない?

先輩:なんでわかるの?

後輩:それがいつもプロジェクトをしくじる原因じゃないですか。そういうのを「エターなる」っていうんでしょ?

例の新サイトを整備する方が先じゃないの?

先輩:せっかく思いついたんだから考えを整理したいだけなのに…