(2)行政改革プランの通信簿

行政改革プランは、

a)基本方針…冒頭で示した「3つの行政経営改革指針」を受けて定めた改革の方向性。

b)改革項目…改革を具体化するために解決すべき課題のこと。

c)取り組み…課題解決のための具体的な取り組みのこと。成果を測るための指標と5年間で達成すべき目標を設定しています。

の三層構造となっています。全体で73ある目標のうち、達成できる指標は56で77%の達成率を見込んでいます。

行政経営改革プランについては、計画に掲げている基本方針ごとに、目標達成率90%以上を「大変よくできました」、達成率80%以上90%未満を「よくできました」、達成率80%以下を「もっと頑張ります」と評価しました。

【基本方針1 透明性の高い行政運営の実現】は目標達成率60%で「もっと頑張ります」でした。

市役所の代表電話とコールセンターの電話番号を一本化し、年中無休で午前7時から午後11時まで問い合わせに対応できるようにし、ケーブルテレビやインターネットでの情報発信も積極的に行っています。市長と市民が地域の課題について直接話し合うなかで「地域ミニ市政懇談会」を年30回以上開催しました。今後は広報のあり方を検討し、対象者にとって最適な広報活動へ転換する必要があります。また、市民協働の姿を市民と職員が理解・共有する取り組みも求められています。

【基本方針2 効率的・効果的に市民ニーズに応えられる行政運営の実現】は目標達成率86%で「大変よくできました」でした。

町田駅前連絡所の開所時間・日数を拡大し、南町田駅前にも連絡所を開設しました。さらにコンビニで納めることができる税金などの種類を大幅に増やしました。窓口利用者の総合満足度が92.1%でした。公園内のスポーツ施設を公園との一元管理化、ごみ収集業務の委託化、公立保育園2園の民営化なども実現しました。今後はコンビニ等の民間機関との連携をより進め、民間でも実施可能な業務は積極的に民間に任せるとともに、職員の市民対応の質を向上させる取り組みも必要です。

【基本方針3 人と組織の能力向上】は目標達成率94%で「大変よくできました」でした。

職員定数を5年間で100人削減する予定です。特殊勤務手当てを原則廃止し年間2400万円削減しました。人事考課制度を導入し、管理職のボーナスや昇任に反映させることで、職員の意欲と能力を高めます。任用の早期化や研修のあり方を見直しました。このように市民から求められる職員像を具体化するために取り組みました。さらに人材育成に力を入れ、組織のOJT能力の強化なども必要です。

【基本方針4 持続可能な財政の確立】は目標達成率67%で「もっと頑張ります」でした。

これまでの「予算使いきり型」から「予算節約型」に変えるため、インセンティブ予算制度を導入し、コスト削減しました。情報システムを更改することで管理コストを約1億円削減しました。複式簿記・発生主義による新公会計制度の導入を進めています。今後も徹底した歳出の縮減を進めるとともに、債権回収のあり方についても検討が求められます。土地・建物・設備等の資産管理についても管理コストを削減し、費用対効果を高めるために資産管理の効率化が課題です。

(3)中期財政見通しの検証

中期財政見通しの2011年度の計画額と予算計上額を比較し、計画期間の進捗率を明らかにしました。

【歳入】

・ 市税…進捗率98%

法人市民税は。毎年0.2~0.3%の伸びを見込んでいましたが、景気低迷により、2011年度は計画額を30億2千万円下回りました。

・ 譲与税・交付金等…進捗率92%

国税・都税に連動する譲与税・交付金等は、景気低迷に伴う減収の影響により、2011年度は計画額を8億6千万円下回りました。

・ その他の収入…進捗率203%

計画上見込んでいなかった臨時財政対策債を37億円見込んだことによる増加です。

【歳出】

・ 人件費…進捗率99%

定員適正化プランによる職員数の適正化、再任用制度や任期付き職員の採用などの取り組みの結果。

・ 扶助費…進捗率100%

毎年3.5%の伸びを見込んでおり、2011年度予算では対前年比9.4%増を見込む事により、ほぼ計画額どおりとなりました。

・ 繰出金…進捗率109%

計画額と比べ、国民健康保険事業会計で25億3千万円、後期高齢者医療事業会計で7億4千万円の増額となりましたが、その他の特別会計ではほぼ系家苦学どおりでした。

・ 経常事業費…進捗率98%

計画額を毎年266億円としており、2011年度の予算では19億の差額が出ました。

・ 政策的事業費…進捗率99%

公共施設の整備等の投資的経費の伸びのほか、任意予防接種事業費の増額などから、計画より9億円の増額となりました。

(4)中期経営計画全体の課題

目標達成が困難な指標の理由を分析したところ、その理由は主に「指標・目標設定」「事業選択」の2点にあります。

【指標・目標設定】

事業の目的と指標が不整合であるにもかかわらず事業をすすめてしまったため、施策実現に貢献できない事業がありました。

指標の定義・数値の最低方法が不明確であったため、推進部局と担当部局でのマネジメントが十分にできず目標達成が困難になった事業がありました。

指標・目標の合意形成が不足していたため、事業展開が遅れてしまったものがありました。

【事業選択】

施策への貢献度が低い事業を選択してしまった場合、検討し組み替える柔軟性が必要でした。しかし、計画策定時に選択した事業を固定して展開したため、目標達成が困難になった施策がありました。

このような現象が起こった根本的な理由は、「この計画で具体的に何を実現したいのか」というビジョンや課題の浸透が不十分であったことです。今後は、実現したいビジョンや解決したい課題を掲げる意図を明確化し、事業を検討するプロセスにおいて目的・指標・事業内容の関係性を精査したうえで計画を策定する必要があります。

また、各部局が自律的に組織をマネジメントえきるように、2006年度に「仕事目標」制度をつくり、中期経営計画を連動させながら計画を推進してきました。しかし、計画を実行する初期段階において十分な連携ができませんでした。中期経営計画と「仕事目標」との連携をより強化していくことが求められます。