もちろん、架空の銀行です。架空でないと困ります。

池井戸潤『シャイロックの子供たち』これがまたとても面白かったです。この作家の名を有名にしたのは言うまでもなくドラマ「半沢直樹」です(ただ私は未だに半沢シリーズは読んでいません)。
長原は、東急池上線。大田区だそうです。…知らない(笑)
そんな地味な土地(住んでいる人には申し訳ない)を舞台とした銀行ドラマなのですが、まあ問題だらけの銀行なのです。副支店長のパワハラ、暴力沙汰から始まり現金着服事件、失踪、揉み消し…ついには殺人。そこに銀行員の出世への打算や苦悩も描かれ、動機はそこからなのです。おおなんともやるせない…
しかしこれは銀行員でない私にもかなり実感できる部分もあります。会社という組織に勤めている以上、感じるところは多いのではないでしょうか。実績が求められ、己を犠牲にしてモーレツに仕事街道を歩む、というか駆ける…ただ駆けた後に生える草は。
そう考えると仕事における自己犠牲的奉仕の気持ちが薄れてしまうのが私なのかもしれないと思うようになります。(いや、仕事はちゃんとやるが仕事以外のものも大切にして生きたいということです)
社会に生きる者、会社に生きる者としてじんわりといろいろ考えさせてくれる作品です。
それにしても、銀行員って本当に大変なのですね。大多数の銀行員の仕事に対して頭が下がる思いを抱きました。