子供の命を救うために。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

子供の命を救うために。。。

人権教育啓発推進センターが発行する月刊誌「アイユ」6月号では、いじめや指導死などの問題に取り組む一般社団法人〈ここから未来〉理事で教育評論家の武田さち子さんにインタビューしました。



子供に関する活動を始めるきっかけはお嬢さんが小学生の時にいじめに遭ったことだったそう。武田さんは裁判を起こしても遺族に開示されることがなかったいじめに関する報告書を長年調査しています。



その数は300件以上。「自分の子供に何があったのか」「学校はどうしていたのか」など、遺族が本当に知りたいことを知ることはかつては出来ませんでしたが



武田さんも成立に尽力した「いじめ防止対策推進法」(2013年施行)に遺族に説明をするようにという文言が入り、ようやく知ることが出来るようになりました。



「遺族が知ることができない第三者委員会では意味がない」遺族に寄り添った内容を可能な限り盛り込んでもらえるように武田さん達は訴えたそうです。



法律が出来て10年以上経つのにいじめも、いじめを苦にした自殺が無くならない現状を憂う武田さんは、いまだに学校が旧態依然としているからだと指摘します。



いじめ防止法の条文を先生がちゃんと読んでないばかりか、教育委員会でさえよく分かっておらず、わざと嘘をついているのかと思っていたら、ただ知識を持っていないだけというお粗末さ。



SNSの普及により小中学校でネットいじめが実際に増えています。タブレットでプログラミングなどを学ぶ前に、人を助けることが出来るけれど人を傷つけることもある道具だと先に教えるべきだと武田さん。



親が学ばなければ子供の命を救えないと活動をしていますが、年齢が上がるほど、ひどいいじめに遭っているほど親に心配をかけたくないなどの理由から、親だけには言えないという子が多いとのこと。



いじめ自殺をした事例を見てみると先生に直接相談したりアンケートにいじめがあると書いていたり、60%以上が何らかのSOSを発していたそうです。



「気のせいじゃないか」「自分で解決しろ」「スクールカウンセラーに相談しなさい」などと先生から言われてしまうケースもあり、生徒は相談しても無駄だと諦めざるを得ません。



先生の長時間労働は長年問題になっていますが、まずは小学校の段階できちんと先生がいじめへの対処法を身に付けて、子供をサポートできるような環境を整える責任が国にはあると訴えます。



2022年度のいじめの認知件数は過去最多の68万件。また長期間の不登校や命にも関わる〈重大事態〉も同様に過去最多になっています。



いじめが少なくなったということは学校の評価の対象にならず、逆にいじめに沢山対応したと報告するとそんなに遭ったのかと評価が下がってしまう矛盾があり



いじめ対応に一生懸命に取り組んでいる先生が、そんな暇があったら次の学力テストまでに1点でも2点でも点数上げることを考えなさいと、校長に怒られたという笑えない話が現実にあるそうです。

 


武田さんは暴力を伴わない不適切な指導による「指導死」についても問題提起しています。「指導死」とは人前で大声で怒鳴られたり、人格を否定するような発言をされるなど、行き過ぎた指導により自死を選んでしまうこと。



「その子が弱かったからだ」「その子のことを思って自分はやった」不適切な指導を繰り返し指導死を招いた先生はDVの加害者と共通点があり、自分のせいだとは思っていない場合が多いそう。



言葉自体をまだ先生達が知らない状況で、法律も無いので調査もしてもらえないそうです。行き過ぎた指導は精神的に子供を追い詰め、時には大人になっても苦しむような傷を負わせることになります。



子供達が苦しんでいるのは大人の責任であり、いじめの被害に遭っている子供にSOSの声を上げなさいとは簡単には言えないと武田さん。



教育に関わる全ての大人に対しては「子供の話をきちんと聞くこと」そして「本当に子供のためなのか」ということを今一度問い直して欲しいと訴えます。



理事を務める一般財団法人〈ここから未来〉は、いじめや学校事故の調査研究、講演会や出版を通じて情報発信をしていますが、最終的にはこういう団体が必要なくなることが目標です。



失われてしまった命を無駄にしないためにも、そしてその子が残した教訓を次の命を救うために生かしたい…。



各地の図書館をまわり書籍や裁判の情報を集めている武田さんが2000年に立ち上げたウェブサイト「日本の子どもたち」には、全国で起きているいじめの事例が掲載されています☞


http://www.jca.apc.org/praca/takeda/